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  春風 作者:給湯器
幸せな?誕生日 第4話


「ちゃんと誉められた気がしなくて何か素直に喜べないんだよなー…。」


昼間の千秋と健太と広幸の3人の言葉に納得出来ない壱春はブツブツと呟きながら歩き出す。
その壱春の両手には皆で買い込んだ大量の花火と少しの飲食物が入ったビニール袋。

準備が有ると言う事でそれぞれが1度家に帰り、昼間好きなだけ騒いでいったリビングの後片付けをする壱春は、改めて花火の入ったビニール袋を見て我ながら良い案を思い付いたと1人頷いていた。

『それにしても…美波先輩は本当に掴み所が無いな…。』


予定が決まって直ぐに壱春の家を飛び出し、楽しそうに走っていった美波先輩の行動が少しだけ壱春の気持ちを不安にさせる。



そしてその日の夕方河原に着くと既に、千秋は勿論だが奈緒と梨沙も待っていた。


「ハルちゃんおそーい。こういうのは普通男の子が場所取りするもんでしょー? 」


「場所取りって…俺達以外……ジョギングしてる人しかいないじゃねーかよ。」


千秋の言葉に辺りを見回すが、河原にブルーシートを広げているのは自分達だけ。


「誕生日なんだってー? めでたいねーっ!」


「おめでとー!」


「ははっ!ありがと平山に安田。お前等も虫よけスプレーやっといた方がいいぞー。」


ブルーシートの上に荷物をのせると袋の中からスプレー缶を取りだし手渡す壱春は、既に首の辺りを蚊に刺され少しだけ赤く膨れている所を指でかいていた。


「おーまたーーっ!!」

「うぃーっす。」


「おっ!ケンタもヒロも時間通りにちゃんと来たなー、って…凄い物かついでるなヒロっ!?? 」


2人の声に振り向いた壱春は、広幸の持って来た特大のロケット花火を見て驚く。


「…素人がそんなの打ち上げて平気なのか? 」


「大丈夫っしょー!!普通に売ってるんだからさー!!」


ワハハと笑いながらその特大ロケット花火をブンブンと振り回す広幸に、皆は少しだけ心配になる。


「と、取り敢えずその特大花火はおいといて、後は美波先輩か…。」


携帯電話で時間を確認すると、約束の時間よりも10分程遅れている美波にメールを入れようと携帯を開き美波のアドレスを探し始めた壱春。
するとタイミング良く美波が丁度河原に到着し皆に声を掛けてきた。

「ごめぇーん遅れたぁーっ!ちょっと歩き辛くてさぁー。」

カランカランとなる下駄の音と共に美波の声のする方を見て、男女問わず5人がしばしの間無言になる。

それは皆が美波の浴衣姿とその雰囲気に見とれていたからかもしれない。

その中に勿論壱春も含まれ、いつもは訳の分からない美波に振り回されっぱなしだが、不覚にも今は…その美波に目を奪われてしまっていた。



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