始業式 放課後第7話
…ミニゲームに加わって1時間後…。
「壱やん…そろそろ……ギブだぁー…! 」
大声で叫び、人工芝に仰向けに寝そべる『ヒロ』。そして
「俺達は…部活の後…なんだからなっ…イチハル! 」
自分の膝に手を置き、肩で息をする『ケンタ』。
そう、戸高広幸『ヒロ』と河上健太『ケンタ』の2人は、サッカー部員であり、
親友の壱春と共に中学生時代、全国ベスト4まで勝ち進んだ時のメンバーでもある。
広幸は、人工芝から身体を起こし、『自慢のアフロ頭』を触りながら壱春に話し掛ける。
「壱やんは、相変わらずサッカーうんまいなぁー! どうか我がサッカー部にぃー!! 」
笑いながら手を合わせる広幸を、健太は横目で見ながら、
「……ヒロユキッ! しつこいぞ。」
と、肘でアフロ頭を小突く。
広幸は健太に構わず喋りだす。
「今のメンバーに、壱やんが加われば、全国制覇だって夢じゃない! 健ちゃんもそう思ってるだろぉ?! 」
「あぁ勿論………って、何…急に真面目な顔してるんだ!このアフロ頭!! 」
笑いながら、真面目顔の広幸の首を掴む健太。
…壱春の事を…
親友の事を真面目に考え、そしてソレを素直にぶつけてくる『ヒロ』と、
親友の事を思い、壱春の心情を察して、気遣ってくれる『ケンタ』。
この『親友の2人』を見ながら、大笑いする壱春。
「ま…いった…」
健太の腕をポンポンと叩きながら、青ざめていく広幸…。健太が慌てて手を離すと同時に、
「って言うわけないっしょぉー! 」
『ゴツン!』という音と共に健太に頭突きを食らわし、距離を置く広幸。
「………ってやる…。そのアフロ頭…刈ってやるぁぁ!!」
…
……。
本気で追い掛けるケンタと、笑いながら逃げるヒロ。
そして後から2人を追い掛ける…残っていた部員8人…。
『第1回 アフロ頭刈り大会』の商品は、『牛丼並み盛り』。
牛丼並み盛りで、アフロ頭を本気で追い掛けるその『体力』と『チームワーク』があれば地区予選は楽勝だな……。
そう思いながらボールを片付けようと、回りを見渡す…。
ボールの横に、1人の少年が立っていた。
少年が…足でボールをフワリと上げ、壱春に話し掛ける。
「ノーバンしませんか?」
「おっいいね!」
壱春はそのボールを地面に落とさずに少年に返し、少年もまた地面に落とさずに壱春に返す…。
少年が巧い事はすぐに分かった。トラップもボールタッチも丁寧で柔らかい。
そして何より…
壱春の左足方向だけを狙ってボールを返して来るからだ…。
…そして少年はボールを高く蹴り上げ、口を開いた…。
「なんで右足だけしか使わないんですか?」
「ちょっと怪我しててさ…。」
高く上がるボールを見ながら…顔をしかめる壱春。
「怪我は1年以上前に治ったって、聞きましたよ…? 天才レフティーの壱春先輩。」
その少年の言葉に、ボールを目で追うのを止め、壱春は無言で…ニコニコ笑う少年を、しかめっ面で見る…。
ボールは1度地面で跳ねた後、壱春の左手に当たり、転がって行った…。
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