始業式 放課後第6話
…突如現れたラスボス『小雪』の登場により、3人の中に少し緊張感が漂う。壱春だけは、少しどころではないのだが…。
「美波さんと千秋さんは、姉妹で仲がよくていいですね。」
ニコニコと笑顔をむける小雪に、壱春の胸は高鳴り…
「私にも仲の良い弟がいて、今年度から、この学園に入学したんですよ。」
『フフッ』っと笑った小雪を見て、壱春は自然と笑顔になった。
ここで小雪は壱春を見て、美波に質問する…
「こちらの……『ニヤニヤ』している男性は誰ですか?」
『笑顔のつもりが、ニヤニヤしてたのか俺っ!? 』
慌てて口元を左手で覆う壱春。
美波はその壱春を見ながら…
「あぁ…こっちは千秋の同級生の壱春で……」
美波は言葉を途中で止め…考える…。
そして美波は壱春の腕を取り、口を開く……
「千秋の『同級生』の壱春で、私の『恋人』なの! 」
…
「「はいっ!?!?」」
千秋と壱春の声が重なる。
『えへへっ』っと頬を朱色に染めて、ニコっと笑い、壱春の腕に自分の細い腕を絡める美波…。その細い腕からは想像出来ない程に…美波の腕は強く絡められていた。
ソレを見て修羅のような顔になる千秋…。
背中に変な悪寒がする壱春…
「ちょっ!!美波先輩!腕を…!」
美波に絡められた腕をほどくよりも早く、壱春の身体は少し後方にさがり
「ぐはっ!」
両膝を着き、胸を手で押さえながら咳き込む壱春…。
「千秋……お前は…なんて事するんだよ……。」
目の前には『口を開け壱春を見る、美波先輩と小雪先輩』。
そして『本気で右の肺を殴った千秋』がいた…。
壱春の言葉に我を取り戻したのか…うろたえ始める千秋。
そしてそのまま喋り出す…
「ハッ、ハルちゃんは私のだもん! 」
『……おいおいおい! 』
…『変な事』を言う千秋にも美波にも、ツッコミたいが…壱春はまだソレを言葉に出来る状態ではない。その壱春を気遣う事もなく、『千秋』『美波』『小雪』の3人は好き勝手な事を言い始めた。
「やっぱり千秋に、春坊はエッチな事したんだ!? 」
『してねーよ…』
「ハルちゃんはいつも…エッチな目で私の胸を見てるもん! 」
『可哀想な目でみてるんだよ…。』
「二股は…バレないようにやりましょうね壱春さん。」
『 ……。』
ふと壱春の瞳から溢れるひとすじの涙…。
『俺は泣いてるのか…。』
壱春は自分の頬を手の甲でぬぐい、制服の膝の部分についた砂を落とした。
そして『幼馴染み』の2人と『憧れの人』に背を向け、人工芝のグランド中央へと、1人走り出していた。
「ヒロッ! ケンタッ! 俺も混ぜろっ!!」
ミニゲームをしているサッカー部へと向かい走った…そう叫びながら……。
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