修学旅行2日目夜 第7話
「…えーーっ!?もう終わりなの?ハルちゃんっ!」
「……こら…てめぇ…何…ふざけた事…言ってんだよ…。まさかの……アトラクション…感覚なら……キレるからな…。」
千秋を降ろして壁に寄り掛かりながら座り込み、息を整える壱春。
千秋を抱えながら走っていた壱春の左腕は今にも痙攣してしまいそうな程に筋肉が張っている。
「……取り合えず今分かる事は、かくれんぼがまだ続いてるって事だけだな。」
溜め息をつき天井を見上げる壱春に、近くの自動販売機で買って来たジュースを飲む千秋。
その表情はさっきまでとは違い少し生き生きとしていた。
「それでハルちゃん、次の作戦はっ!?」
「作戦って…、最初からそんなもんないってのーっ。」
「やっぱりそうなんだっ!?? 行き当たりばったりって事かー…。」
そんな事を呟き考え込む千秋を見て、座り込んでいた壱春は立ち上がり、千秋の持っていた飲みかけのジュースを手に取り勢い良く残りを飲み干した。
そして疲れた表情ながらも、千秋に笑顔を向けながら壱春は話し掛けた。
「心配すんな。 一応体力の続く限り守ってやるよっ。約束だからさっ!!」
爽やかに言った少しキザな台詞など聞いていない千秋は、空になったジュースの缶をただジッと紅い顔で眺めている。
『ハルちゃんから……ハルちゃんからの間接キス…………!!!』
千秋の中では、旅館の最高級の部屋に宿泊という事など足元にも及ば無い物を、今この瞬間手にしていた。
そして我に返った千秋は壱春の言葉を聞き逃し、壱春を見上げて謝る。
「……あっ、ごめんごめん。ボーッとしてたよ。 何か言ったハルちゃん? 聞いてなかったからもう一回言って? 」
「……っ!!誰が言うかっ!!」
千秋と同様に顔を真っ赤に染めた壱春は千秋を置いて歩き出す。
「ハルちゃんどこ行くのっ!? 」
「トイレだよ、ト・イ・レ!!」
1人歩き出す壱春の後に続き、駆け寄って来て直ぐ横を歩いていた千秋は、その言葉に渋々男子トイレの前で立ち止まる。
用をすませた壱春が、鏡の前で『自分は今裸なんだ』と思い出した頃、
トイレの入り口から千秋の叫び声が聞こえてきた。
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