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  春風 作者:給湯器
前日
「ハルちゃんゲーム楽しい?」

明るい声で尋ねてくる少女の名前は沢尻千秋
家が隣で同い年の同級生だ

「お〜…」

素っ気なく返事をするのは三田壱春
サッカーゲームが大好きな主人公である

「ハルちゃん髪のびたね」

「そうだなー」


「私が切ってあげよう!」

「別にいいけど…大丈夫か?」

これでもカリスマ美容師目指してるんです!っと何故か自信満々に、机の引き出しに入っていたハサミをチョキチョキ鳴らせて胸を張る千秋。
苦笑いの壱春の顔を覗き込み、前髪を指で束ねてハサミで慎重にカッーーー…


「ちょっ! テレビ見えねって!」

体を無意識に動かしてしまう壱春。その瞬間―――

『ジャキン!』

「あークソ千秋! お前のせいで同点ゴール決められちゃったじゃねえかよ!」

テレビ画面を見て悔しそうに文句を言い

「オイ千秋聞いてんのか?」

千秋の頭を掴み、無理矢理自分の顔に顔を向けさせる。

「…んぁ?」

千秋のいつもは大きな二重の目が、点になっていた。

そして千秋はブルブルと震える左手を急いで背中の方へ回し、目を右へ左へ泳がせながら
「ハルちゃんが急に動くから…だから…ちょっとだけ豪快に……。」


ん? 豪快になんだよ…? ちょっとまて!千秋お前もしかして!?

それを言葉にするより早く壱春は膝を立て、部屋の隅に置いてある大きな姿見の鏡に歩き出す。


「ハルちゃん! ダメ…ダメ! 千秋の鏡は使用料1回1万円なんだよ!?」


おバカな事を言い始める千秋を引きずりながら壱春は鏡の前に立つ…


「…ぬぅぅあぁんじゃぁこりゃぁーーー!」


普段は物静かな壱春の声が静かな夜の町にこだました…。
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