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でらっくすあとがき ねたばればれたね パート1

最初に断っておこう。

これは物語ではない。落書きである。

やたら長いので携帯の方は要注意。

 机上で空論を騙るのはやめなさい。



 承前。


 自分の小説を読み返してて思った。

 ああ……なんつーかね、ホント自分はお酒を美味しく飲みたかったんだなぁと。

「いや、いきなり何の話ですか?」

 お酒の話に決まっているだろう。日本酒とか飲んで『うめェ』とか言ってみたかった。そんな後悔をしている僕は間違いなく下戸なのだ。お酒なんて飲めたこともない。ビール一杯で酔っ払う。ビールは一杯目が一番美味しいらしいからそれでいいのかもしれないけど、やっぱり熱燗とおでんとかそういう組み合わせに憧れるわけだ。

 ああいう風に美味しく呑まれるとね。少しばかり羨ましくなるわけだよ、主人公。

「最終的に主人公にしたのは、他でもない貴方でしょうが?」

 読者様に人気がなかったら、普通に後味の悪い終わらせ方にしておいたさ。通称、Eランクエンド。作者が物語に飽きた……最悪のパターンのエンディングだ。

 ちなみに、今から語る物語でもない後書きは、作者的にはZくらいの位置づけになっちゃうかもしれない。二年前の自分の文章を見返すっていうのは、本当に勇気の要ることなんだからな。

「や、正直貴方の苦労は至極どうでもいいんですが。どの道……私が今後苦労するのは目に見えてますしね」

 うんうん、諦観が染み付いて実にいい感じじゃないか、メイド。

「……貴方ってメイドとか好きでしたっけ?」

 OLや大正浪漫とかは大好きだけど、メイドはあんまり。メイドに『さん』とか付けるのはもうこれ以上ないくらいにイラッとくる。メイド喫茶とか崩壊すればいいと思う。

 あーあ、誰か大正浪漫書いてくれないかなぁ。

「需要はともかく年代的に短いですからね、大正時代。和洋折衷がいい感じに織り交ざっているので、私も嫌いではないですが」

 あとはなんかこー『後は俺に任せて先に行け』とか『待たせたな!』とか『勘違いするな、お前を倒すのは俺だ』とか『俺を誰だと思ってやがる!』とか『かかってこいやああああああああああ!』とかもわりと好きだ。熱いのはいいことだと思う。

 つい最近気づいたんだけど、ライトノベルってさ、なんかこー可愛い女の子が表紙を飾っててね、一寸も読む気が起きないんだよね。僕が望んでいるのは鼻血とか鮮血とか咆哮とか、そういう魂の雄叫びだというのに。GONG鳴らせ。

「……20歳過ぎてそういう趣向もいかがなもんだと思いますが」

 僕もそう思うが、現実は面白いけど熱くはないんだから仕方ない。それにショタコンよりはましだと思うがね。君が彼にときめいたのは、彼がデレた中学生くらいからだろう。果たして20近い女の子が中学生にときめいてしまうのはどうなのか?

「う……ま、まぁ否定はしませんが。仕方ないでしょう、可愛かったんだから」

 恋愛経験とかないからね、君。錬鉄技術ばっかり磨いてきたから、学校にも通ってないし。ゆとり教育すら受けられなかった子がいかに迷惑かっていうのを、最近の若者には思い知ってもらいたいですなぁ。はっはっは。

 まぁ、ゆとりって言っても親が馬鹿だからゆとりになってしまった面もあるから、結局のところ全部悪いんだろう。どう足掻こうが教育ってのは絶対に必須だし、教育を受けられなかった惨憺たる結果がこれなんだから、ちょっと考えれば分かりそうなもんだね。

「いくら作者でも、しまいにゃぶん殴りますよ?」

 算数の問題です。台形の面積の求め方は?

「(上底+下底)×高さ÷2です」

 地理の問題です。インドとインドネシアの違いは?

「……か、カレーの作り方が若干違うんですよ。きっと」

 国語の問題です。夏目漱石の代表作は、『我輩は■である』ですが、■に入るのは?

「じ、人格者?」

 機械工学の問題です。鍛流線とはなんでしょうか?

「金属組織とは基本的に『点』の集合体で作られていますが、その『点』を叩くことにより『線』に変えることによって金属組織は強度を増します。この作られた『線』のことを鍛流線と呼ぶのです。具体的に説明すると、金属を叩くことにより固体の中の隙間をなくして一つの強い固体にすると同時に、鋳造時に生じた泡、ガス(気孔)を圧着させ結晶粒を微細化し、金属組織を改良し機械的性質を改善し、同時に目的の形状を作り、機械加工を省略又はその工数を減らすことができます。いかに上手く鍛流線を生成できるかが鍛造と呼ばれる技術の真価というわけですよ。さらに付け加えるなら」

 みんな、お勉強は全体的にまんべんなくやろうね! おにーさんとのお約束だゾ!

「ちょ、待ちなさい作者! まだ話は終わって……」



 ちょうでらっくすあとがき:ねたばれればたね。


 できれば、始まらないで欲しかった。



 さぁ、そういうわけで、でかいあとがきをやっちゃおうという自爆企画。ちょうでらっくすあとがきの開幕です! 司会進行は『本編で一番報われない女』こと山口コッコ嬢と、作者こと田山歴史でお送りします♪

 ブラウザの戻るボタンをクリックしたら開幕しますので、よろしくね♪

「♪とかつけても、嫌々やってるのがバレバレなんですが」

 うるせぇな。本当はやりたくねーんだよ。あとがきに作者が顔を出すってのはまぁまぁよくあることだとしても、なんで自分の作ったものを今更説明せにゃならんのだ。……まぁ、ここまで書いたら後はネタバレくらいしかやることがないのも事実だけど、それと感情とはまた別問題なんだよ。

 大体、こんなハイテンションな物書きが世界に存在してたまるか。JKなローリングさんだろうが、夏目漱石だろうが、物書きってのは基本スロースターターなんだよ。

「本編の時と更新速度が違いすぎますもんね」

 まぁ仕方ないよ。週に一度は更新できる。そう思っていた時期が僕にもありました。

 大体、後半の遅筆の理由に苦手なジャンルを書いたからってのもある。明るくしようが暗くしようが、恋愛モノってのはいつになっても慣れないねぇ。

「別に恋愛をしたことがないからではなく? というか、あれって恋愛モノですか?」

 残念ながら恋愛モノだ。この世界には『切ない』、『心に響く』、『泣ける』とかふざけたお題目を掲げている人もいるみたいだけど、恋愛ってのは戦争で闘争だ。基本は抜き身の刀で斬り合うのが恋愛ってもんだろう。

 物語の恋愛は、今まで読んだ限りじゃ本当にファンタジーに近い。真剣に恋愛小説を書いている人にはいや本当にまじで失礼だとは思うケド、超痛快妄想伝『恋空(れんくう)』が一時的にでも流行った時点でなんか色々おかしいと思う。

 某高校ホス●部とかの●めカンタービレとかは本当に面白かったけど、あれは漫画だし恋愛要素よりも他の要素が面白さに拍車をかけているしなぁ。

「……いや、貴方みたいなモノの考え方はむしろ珍しいと思いますが」

 恋愛。継承。戦闘。生存。娯楽。

 生きる上で最重要かつどんな物語にも含まれる要素だ。特に恋愛は『種の繁栄』という生物として欠かせない要素として存在している。厳しくても当然だと思うケドね。

「あの……ちょっとお殴りしてよろしいですか?」

 いや、待て。なんでいきなりそうなる?

「なんか言い方が学者的で異様に腹が立ったもので。むしろ殴ります」

 待て待て! さすがに一般人にぐーぱんちはないだろう! ちょっと見栄を張るくらいいいじゃないか。現実は惨憺たるもんなんだから!

「むしろ引きこもり気味のオタクですよね? フィギュアとかいっぱいですよね?」

 無理矢理キャラクターを設定しようとするな! 引きこもってねぇし会社勤めだし美少女フィギュアの良さとかもさっぱり分からねぇよ! 仮に僕にフィギュア製作能力があったら、問答無用でバーサーカーVSランサー(マスターはバゼット)とか作るわ!

 あ、でもこの前電気屋で見かけたバイカンフーの超合金は欲しかったな。値段が諭吉さんの戦闘能力を軽々超えてたから諦めたけど。

「……どっちにしろ、まともな嗜好じゃありませんよね」

 自覚はあるが仕方がない! だって熱血とか大好きなんだもの!

「はいはい。とりあえず、サクサク次に進みましょうか」

 次って……アレか。なんか一話ずつコメントしていくみたいな感じ?

「いや、それしかないでしょうが」

 ……嫌だなぁ。今見たけど、この小説って番外編含めて70話あるんだぞ? 読み切りの無印コッコさん含めると71話だよ? まず読み返すのがかったるいよ。

「貴方が書いたんでしょうが! いいからさっさとやりなさい! 貴方の小説は雑談が無駄に長すぎるんですよ! そのくせ情景描写がやたら少ないし!」

 ちっ、これだから主人公はいかん。いきなり致命的な欠点を突きやがる。

 大体、情景とか描写しても楽しくない。朝の風景なんて窓の外から見たそれでいいじゃないか。人のドロッドロした内面とか描写してる方が楽しいし。

 小学校中学校の経験不足の方々は仕方がないとしても、高校生になったら妄想くらい自在に使いこなしてもいい頃合だと思うんだ。K-1もそう言っているし。

「いいから、さっさと始めなさい! こっちも暇じゃないんです。どーせ貴方のことだから、現実空間に戻った時には記憶だけ綺麗にすっ飛ばして、時間はそのまま経過させるつもりでしょうが! 今の私には30分のロスがそのまま命取りになるんですよ!」

 ケケケ、どうせ仕事が遅れた時間だけぎゅーされるとか、そういう微妙な命取りだろうに。内心嬉しいくせに必死で否定する君に幸あれ。それでこそ主人公にふさわしい。

「だ、誰が嬉しがってるんですかっ!?」

 はい、そういうわけで本格的なあとがきの始まり始まり〜。

「あ、コラ! またさっきと同じパターンじゃないですかーーーーーー!!」



 読み切り・僕の家族のコッコさんについて。


「えー……そういうわけで、まずは読み切りから。これは確か最初は企画モノだったんですよね? キャラクター案だけいただいて、後は自由に調理するという」

 うん、とりあえず『メイドのコッコさん』と穏やかな日常っていうテーマだけいただいて、後は本当に自由にさせてもらった。自由って素晴らしいよね。自由万歳。

「……自由って言葉は、決して『好き放題』って意味ではないと思いますが?」

 自由にやっていいって言われたから自由にやらせていただきました。後悔は……いつも通りほんのちょっとだけしている!

 本当にやりたい放題やっちゃったからね!

「まぁ……反省しているなら私から言うべきことは特にありませんが」

 ちなみにストーリーの方は少々王道を目指してみた。男の子がさらわれて、メイドが助けに来る。問題なのは男の子の性根が腐っていて、メイドがチェーンソーを携えているくらいだろうか。この時に彼女に渡すイルカのブローチは色々と重要なアイテムのはずなのだが……作者が忘れっぽいせいで最後の最後まで微妙な扱いになっているわけで。

「……いや、私が言うのもなんですが、どれもこれも大問題だと思います」

 イルカのブローチは最初から決めていたんだケド、君の武器をモーニングスターかチェーンソーかの二択で迷ったんだよねェ。最終的には、やっぱりここは神殺しすら可能にするチェーンソーしかないと思ったんだけど。

「そうじゃなくて! まぁ、正直……もうちょっと格好いい武器にはできなかったんですか? 鋏とかチェーンソーとか、他の人たちに比べると私だけなんか色物って気が」

 剣を握っていいのは、覚悟がある人間だけだ。

 刀を握っていいのは、決意のある人間だけだ。

 槍を握っていいのは、剛毅な人間だけだ。

 槌を握っていいのは、切り開く人間だけだ。

 笛を握っていいのは、楽しませる人間だけだ。

 弓を握っていいのは、専心たる人間だけだ。

 銃を握っていいのは、意味を知る人間だけだ。

 拳を握っていいのは、心ある人間だけだ。

「えっと……つまり?」

 上記以外の武器から選んだ結果だ。これは物書きとしてのルールなんでね、悪く思わないで欲しい。

 あと、格好いい武器なんてものは世界中のどこにも存在しない。それは武器が格好いいのではなく、その製作者や使い手が格好いいだけだ。

 簡単に言えば、格好悪い人間には格好悪い武器がお似合いたいイタイごめんなさい。

「やまかしいです。格好つけてないで、もっとちゃんとまともな返答を寄越しなさい。心の中はどうであろうと、私が納得できそうな理由を!」

 君の性格上遠距離系武器はありえないし、鍛鉄士が拳を握ったら設定の生殺しもいいところだろうさ。かといって、笛以外の上記の武器を使わせたら最後の最後に彼が死ぬ。彼が適度に重傷を負いつつ、かつ生き残るためには鋏とか色モノの武器を使ってもらうのが一番手っ取り早い。……もちろん、そんなことを最初から考えていたわけじゃないが、色物の武器ってのはインパクトがある上にそういう風な『融通』が利きやすい。

 正当であるが故に、使いづらい面ってのもあるんだよ。大体、庭仕事をするのに剣とか刀とかはかえってやりづらいでしょ?

「あー……そういえば四年前は庭いじりばっかりしてましたね、私」

 いや、君がそれを忘れるのはどうなのよ?

「最近は盆栽しかいじってませんからねぇ。庭の世話は冥さんや彼がやってますし、盆栽は盆栽で楽しいからいいんですが。知ってますか? 盆栽ってああ見えても深い世界で……」

 そういうわけで、長い話はスルーして一話にごーごー♪



 第一話 僕の家族と私の主人について


 いや、導入だからか、第一話ってつまんねぇわ。解説することもほとんどない。

 普通の導入です。じーさんと娘とメイドと誘拐犯と少年の話。

「をい」

 基本的にプロローグって嫌いなんだよ。最初だから伏線引き放題だし。

「最初が一番肝心だと思いますがね。小説なんて最初の三行を読んでもらえなきゃそれで終了って媒体でしょうが」

 うん、それは確かに。読んでもらえなきゃ小説なんぞただの文字の集まりだし。しかも論文とかそういうものじゃないから役にも立ちはしない。

 そこで、田山歴史は考える。目を引きやすい小説とは一体なんなのか?

「ライトノベルだと、基本的に可愛い表紙にしてますよね」

 あれ実は逆効果だと思うんだよなぁ。みんながみんな可愛い表紙にしたらさ、結局は上手い絵師さんの小説が目立つじゃん。そのくせ挿絵って扱いだから報酬も安い。結局は絵師さんの絵を売るための展示場みたいになってるし。表紙に騙されてクソったれた小説を何冊掴まされたか分からないからねぇ。ホント、困ったもんだ。

「……ちなみに、貴方の言うクソったれた小説ってどんなのですか?」

 大抵途中で放り出すから、タイトルなんて覚えてないって。

 ああ、でも一つだけ覚えてるか。ダブルブ●ッド。

「自分で振っておいてなんですけど、タイトルを伏字とはいえ一部出してしまうのはさすがにどうかと思うんですがっ!?」

 ああ、これは単純に好みの問題。僕はハッピーエンドが好きなんだよ。

 あんな『ある意味ハッピー』なのは御免こうむる。……まぁ、寿命が尽きようとする最後の瞬間にやりたいことやって満足したってことなら、僕が言うコトはなにもないんだけどね。これは本当に好みの問題だから。

 ……まぁ、本当に文句が言いたいのは最終巻の発売が、その前の巻が発売されてから四年後っていう忌まわしい事実なんだけどね。いつまで待たす気だ。うっかり買っちゃったじゃねぇか。前の話は大体覚えてたから読み返しはしなかったけど。

「四年経っても、前の話を大体覚えてる貴方はもう駄目だと思います」

 何回も読み返しちゃったからね、その辺は仕方がない。

 それに、最近は西●維新先生の小説以外は読んでない。読めば面白いのは分かってるんだけど、小説のネタがまだ尽きてないからね。書く方に集中してる状態だし。

「で、話を元に戻しますが、目を引く小説ってなんでしょうか?」

 ハードカバーにして、斬新な表紙にして、ばしばしテレビでCMをすればいい。

「……ぶっ飛ばしますよ?」

 いや、わりと核心を突いてると思うケド?

 結局のところね、大人って生き物は『ハードカバー』ってお題目がついていればなんとなく安心するもんなんだよ。大人が読む本を読め。立派な本を読め。子供っぽいのは駄目。活字を読め。感想を書け。ハリーポッターと指輪物語がOKで創竜伝があかんってのはどういうことだ? 今思い出してもつくづく意味が分からないと思う。

 感想文なんざ書きたいものだけ書いてればいいじゃないか。模範解答が欲しいならもっと利口な子供にオススメ図書を薦めろィ。

 あと、源氏物語とかを熱烈に薦める国語教師がいたけど、あんなドロッドロの恋愛小説のどこが文学だ? むしろエロ小説に分類されるだろ、どう考えても。

「死にそうなくらいに暇が余りまくってた、貴族が考えた萌え小説ですからねぇ」

 ……言い得て妙だね、その表現。

 ま、小説にしろなんにしろ、最初は見た目が肝心ってことだね。

 だからそう……もっと血とか鼻血とかを出しまくった熱血系の小説を僕らは必要としていいんじゃないか! 俺に任せろとか言ってみてもいいんじゃないか!?

「はいはーい、それじゃあお次は第二話になりまーす♪」

 残念ながらまだ俺のターンは終わっちゃいないぜ!

 ちなみに、『モモ』は熱血でもなんでもないけど冗談抜きで傑作だから、みんなちゃんと読破すること。おにーさんとのお約束だぞ!

「いい加減にしなさーい♪」

 げはーっ。



 第二話 コッコさんと〇〇泥棒


 一話の説明に八百字ほど使って正気の沙汰ではないですが、続いて第二話です。

 えっと……ああ、中二病患者の話です。

「ヲい!」

 ちなみに厨二病という表現は、中学校二年生、もしくは中学生の方には非常に申し訳ないと思っているのですが、反論をする前に三年待って欲しい。高校二年生になった頃、中学校二年生の頃の自分が一体何をしていたのかを思い出して、耐えることができれば、好きなように文句を言ってもいいと思う。

「……それ、ある意味確信犯ですよね」

 やんちゃしたい年頃ってのはいつでもあるもんだよ。

 あ、この回の話だけど、サラリーマンを磔にしたらインパクトがあるだろうかと思ってやったんですが、思った以上にほのぼのしてしまいました。困ったもんです。

「いや……そもそも、この物語が目指してた所ってそういうものじゃ?」

 最初はね。ただ、君とあのクソガキでほのぼのってのは無理があったね。あの狐は完全無欠のギャルゲー主人公だし。君は根性甘ったれたオンナノコだったし。

「うう……かなり否定できない部分もありますが、貴方にだけは言われたくないです。あと、彼は別に美少女ゲームの主人公でもなんでもありません。かなり誤解です。修羅で鬼畜な笑顔が可愛い男なだけです」

 誤解でもなんでもないさ。元々、僕はそういう野郎を主人公にしたんだから。まぁ、当然のごとく作中では酷い目にあっているけど、それはあの狐を嫌うが故だ。

「主人公を嫌ってる作者って……いいんですか?」

 他の人はどうか知らないけど、僕は主人公を考える時は、必ず『自分が嫌いなタイプの人間』を想定する。今回は『最低の男性像』をイメージした。

「………………」

 実のところ、あの狐は一般常識と照らし合わせると『普通』でもなんでもない。四年前の君の行動を『仕方がないなぁ』で済ませられる男が世界に何人いると思う?

「えっと……そう言われると、私としてはちょっと弱いんですが」

 まぁ、そういうことを許し続けて結局破綻したわけだけど、つまるところあの狐は君のわがままを許容できる程度には心の器が大きい男だったってことだ。

 男に究極的に必要とされるのは、運動能力でも甲斐性でも顔の造形でもない。

 女性を許せる心の広さと、あらゆることを面倒がらない『マメさ』に尽きる。

 この小説ではわりともてている狐だけど、それは歴史的事実(豊臣秀吉とかは女性に対してものすごくマメだった)やら経験則(やたらもてる先輩はやっぱりマメだった)に基づいている。実際にこんな男がいたら、男としては普通にイラッとくるぞ。

「うーん……でも、かなり鬼畜な面もあるんですけどね」

 鬼畜なのは、見知らぬ女の子と君にだけみたいだけどねぇ。

 ちなみに見知らぬ女の子と君への鬼畜っぷりは全然レベルが違う。

「……あの、一つだけ聞いていいですか?」

 なにさ?

「私……これから彼と上手くやっていけるんでしょうか?」

 君がくじけない限りは、確実にやっていけるよ。

 まぁ、わりと好き放題生きてきたんだ。ツケを返すと思って、精々あの男に微妙な感じでいじめられ続けられるといい。

「今の時点で思いっきり挫けそうなんですが。……大体、四年でなにがあったのかセクハラに磨きがかかってるんですけど、どういうことですか? 急に後ろから抱きつかれたりとか、すごく心臓に悪いんですけど!」

 ……たぶん『可愛いから』とかそんな感じの理由じゃないかね。僕には理解できないがそういう趣味の人もいるんだろうね。

 あと、酒飲んだ時に分かると思うケド『寂しがり屋の甘えん坊』が奴の素だからね。

 本人にその自覚があって、かつ自分の素を嫌っているから、変な方向に努力しまくるような奴になっちゃったんだよね。……まぁ、嫌ったのは変な風に甘えて生きている君を見ていたからなんだけど。

 そういうわけでおおむね君のせいだ。頑張って責任を取るといい。

「……うあああああああああ」

 さてさて、あんまり行数を食うのもなんなので、次の話に進みまーす♪



 第三話 坊ちゃんと愉快な友人たちについて


 毎度お馴染みでもなんでもなくなっていく三人娘登場回。

 一人は狐を振って百合ロードに踏み込み(とはいえ、百合とは少し違う。詳細は後で説明)、一人は最終話まで地味に登場、一人は最終的に執事をゲットしてわりといい役回りを演じてくれました。

 後半で明らかになることですが、狐の野郎は本当に後輩に甘いことがよく分かる一話となっております。屋敷の登場は少なめ。

 ついでに言えば、新木章吾登場回でもあります。

「あー……そういえばそうでしたね。あの男今どこでなにやってるんでしたっけ?」

 嫁の尻に敷かれてるよ。境遇としては君とほぼ一緒だ。

「私は尻には敷かれてません。……と、私だけは思っています」

 まぁ、僕としてはどっちでもいいんだけどね。

 それはそれとして、なんで君たちって仲悪いんだっけ? 執事が頑固者で君も頑固者だからどっちも妥協する点がないのは分かるけど、なんかきっかけとかあったっけ?

「ああ……えっと、確か新人の頃にあまりにもうるさいんで『話は分かりましたが、それはそれとして新木さんって女性と付き合ったことあります?』って言った途端に音速で嫌われましたね。今ではちょっと悪いことしたと思っていますが」

 いや〜……なんつーか、昔から地雷を踏む人だったんだなぁとちょっと感心。

「どーゆーことですか?」

 温室育ちの君と違って、普通の人は学校に行くし恋もするってことさね。

「いえ、意味が分かりませんが。辛い失恋でもしてたんですか?」

 ん、失恋っていうより、ほぼ死に別れだけど。

「………………」

 実際には生きてるけど、彼女の方が執事ともう二度と会うことはないと思っていたりする。執事長とその彼女の物語を昔書いていたことがあってね。結局結末しか思いつかなくてデスクトップの奥にしまってあるけど。

「うーわぁ。知らず知らずのこととはいえ、ちょっと罪悪感が」

 まぁ、その辺はお互い様ってことで。君も執事に『親の顔が見てみたいものだな』って言われてマジギレしてるでしょ。

「……そういえばそうでしたね。ってなんで貴方がそれを知ってるんですか!?」

 いや、作者だから! 忘れるなよ!

「そういえばそんな設定もありましたね。作者のくせにさっきからネタバレせずに雑談ばっかりですが、それはそれでいいのでしょうか?」

 悪いケド、残り68話もあるのにこの時点でネタバレしてたらネタが尽きるんだよ。僕はそれほど裏設定的なものを煮詰めているわけじゃない。

 そもそも、語り手が君と僕だけだから話に発展性がないしな。

「作者、言いたいことはそれだけか?」

 やぁ執事さん。ゲストキャラクターとしてご登場ありがとう。

「ゲストキャラなら君曰くの三人娘の誰かを呼ぶべきだろう。私なんか最後にちょろっと登場しただけだろうが!」

 あーはいはい。これだから余裕のない大人は心が狭くて嫌だねェ。

 大人しく嫁さんに首筋でも噛まれて困っていればいいじゃない? 四年間の放浪生活に見合うだけの幸せくらいはあって然るべきだと思うし。

「……はっはっは。さすがに殺したくなってきたぞ」

「下には下がいるんですね」

「山口。なんだその哀れみに満ちた目は。親指とか立てながら肩に手を置いたって、私は別に悲しくもなんともないからな! 勘違いするんじゃない!」

 ちなみにこっちのメイドもどきは、疲れ果てて思考力が失せた狐に『まくら』の一言で押し倒されて、そのまま抱き締められて寝入った野郎を見ながらどうしたらいいのか分からず、結局夜明けまで一睡もできなかった逸材だけどね。

 この女に首筋に噛み付くくらいの度胸があれば、もーちょい幸せになれると思う。

「……すまん、山口。今度酒でも奢ろう」

「幸せですがそれがなにかっ!? べ、別に悲しくなんてありませんからね! 勘違いするんじゃありませ……ぐすっ」

 はーい、幸せ自慢も佳境になってきたところで三話にれっつごー!

『殺してやる!』



 第四話 坊ちゃんと愉快な友人たちWITHメイドについて


 あのさぁ……大人って普通我慢するもんだよ?

 よってたかってボコボコにするのは、さすがに社会的にどうよ? つーか、途中で執事をフェードアウトさせなかったら殺すつもりだっただろーが。

「いいから、物語の解説をしてください」

 演技姉妹と馬鹿メイド。それから友人どもの話だ。

 狐の人格が疑われる話で、剣道少女の話でもある。

 ちなみに、物語中で黒霧姉妹が庭を破壊しているシーンがあるけど、あれはあくむさん経由の情報から危険を察した舞さんがやったことだね。

 もちろんあくむさんとて詳しいことまで分かっているわけじゃないけど、念のため、折角手に入れた平穏を壊させないようにするために、目をつけられるのを覚悟で派手に暴れたわけだ。

 最終話の伏線を、一応ここで張ってある。

「……や、それは嘘ですよね?」

 本当だ。この『庭』のギミックについては最初から用意していた。

 使わないなら使わないで放置すればいい。こっそり張った伏線なんてそんなもんだ。

 使わない方が楽で良かったんだケドね。……誰かさんが暴走したせいで使う羽目になっちゃったのが残念だ。

「はいはい、どーせ全部私のせいですよーだ」

 いい大人が拗ねるな。あの狐はどう思うか知らないが、ちっとも可愛くない。

「……貴方もかなりひねくれてると思いますが」

 いや、普通の女性だったら優しくするけどさ。僕は友人に無理矢理連れて行かれたメイド喫茶に嫌な思い出があるから日本人のメイドは大嫌いなんだよ。仮にいたとしても、エマ級じゃないとメイドとは認めん。

「あの……それはむしろ、貴方という人間がメイドマニアであることの証明なんじゃ」

 メイドってのは英国あたりに普通に存在した職業だ。現在も存在するかは検索神ぐーぐる様の力を借りるつもりもないから知らないけど、ハウスキーパーから家庭教師まで色々あるが、それらを総称して日本じゃ『メイド』と呼ばれている。

 職業としてのメイドはかなり好きだけど、『ご主人様、今日のメニューはいかがしましょうか(はぁと♪)』などと猫撫で声で言われても、可愛くもなんともない。わりと女性に縁のない生活を送っているけど、本物の殺意を覚えたのは久しぶりだったな。……そのくせ客が少ないからって厨房の裏で生クリームカッ食らいやがって。ブタになれ。

 まぁ、その店は潰れてもう存在してないケドね。ケケケ、いい気味だ。

「……どう考えてもメイドマニアとしか思えない発言なんですが」

 いや、僕の好みはリン●キューブ・アゲインのリ●ダみたいな女性だから。野生的で粗野でエロ可愛い女の子の方が絶対にいいと思う。

「なんにしろマニアックですよね……」

 君にだけは絶対に言われたくないセリフだ。ショタコンのつり目好きのくせに。

「28歳と20歳じゃ、もうショタでもありませんし」

「確かに、社会的に8歳差は問題じゃないですけど、問題なのは山口さんが中学校の頃のご主人様にときめいてしまったという事実だと思うんですが?」

「……あの、舞さん。なにやってるんですか?」

 と、いうわけで今回のゲストは勇者こと黒霧舞嬢だ。

 ようこそ、ある意味勇者。

「いや……その『ある意味』ってなによ?」

 あっはっはっは、まぁ大したことはない。馬鹿の演技が得意だなぁと思って。

 いや、第四話のことなんだけどね。

「う、うっさい! 仕方ないでしょうが、まだ屋敷に入って間もなかったし、そもそも狐がどういう人間か知ってればあんなことはしなかったわよ!」

 今ではその狐にふぉーりんらぶ・きゅんきゅん♪ ですよ。とうとうデレましたよ、この意地っ張りは。妹にくれてやるつもりで共有財産。いい買い物しましたね♪

「デレとかそういうのはないから! なんとも思ってないとはまぁ言わないけど、テンとはどっちかっていうと友達とかフレンドとかそういう関係で!」

「あの、舞さん。さすがに力いっぱい否定されると……かえって怪しいんですが」

「ち、違います! そりゃ確かになにもなかったとは言いませんけど、関係としてはわりとプラトニックというか、とにかく山口さんの思うようなことはありません!」

 ではでは、そのプラトニックな関係の一場面をどうぞ〜♪

「ちょっ!?」


『あれ? ちょっと、テン。冷蔵庫のプリン食べたでしょ?』

『ああ、ごめん。お昼前にちょっと小腹が空いて食べちゃった』

『むぅ……あれ結構楽しみにしてたんだけど』

『ん、分かった。じゃあこの課題が済んだら買いに行ってくるよ』

『ほほぅ? なるほど、テンにとって私は課題よりも優先順位が下の女だったのね。いやいや、これは冥ちゃんにも報告しておかないと』

『どうぞー』

『ゆるっ!? いや、ちょっと……なんていうかそういう反応ってどうなのよ?』

『冥の名前とか出さずに、舞の言葉でちゃんと言えば動かないこともないよ』

『……今食べたい』

『じゃ、買ってくる。飲み物とか欲しい物ある?』

『コーラ』

『はっはっは、素直でよろしい。素直な舞の方が可愛くて好きだぞー♪』

『いいから、さっさと行きなさい! ばか!』

『はいはーいぎゅー』

『ひゃあああああああああああああああああああああああっ!?』


「うっわ……なんですかこの激甘過ぎてとろけそうな空間は?」

 Aランクエンド後の会話を一部抜粋。Sランクでもこんな感じの会話はしょっちゅう、ちらほら、わりと頻繁に見受けられますなぁ。はっはっはっは♪

「これはつまり、寂しがり屋同士がくっつくとバカップルになるしかないということなんでしょうか?」

 その通り。……だから舞エンディングを書くのはためらいがあったのサ。

 結局、ああいう形にして誤魔化したけども。

「しかし……本当にネタバレしてませんねぇ」

 これもある意味ネタバレ。作品ってのは読者がにやにやできなきゃ意味がない。

 さて、そういうわけで三話は大体この辺でいいかな。

 あ、バカップル勇者。略してバカ者。出番は一旦終わりだから帰ってもいいよ。

「こーロースーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 そういうわけで、光速で逃げながら第五話でーす♪



 第五話 坊ちゃんとある日の休日風景について


 京子さん登場回。お休みとおはようの回。

 ラブコメものとしてはわりとありがちだけど、わりとどうでもいい回でもある。

「貴方は作品に愛着とかないんですかっ!?」

 あるけどない。読まれない限り物語ってのは便所の落書きと一緒だよ。

 創作意欲が続く限りは書きたいけど、尽きたらそれっきり。

 僕の予定じゃ大学生の中盤くらいで尽きるはずだったんだけど……社会人になってもまだ尽きない。一体どういうことだろう?

「いや、別に知ったこっちゃありませんが」

 おやおや、冷たいことだ。狐への愛情は四年経っても冷めなかったというのに。むしろ覚めているというのに。

「……それ、別に上手いことは言えてないぞ」

 というわけで今回のゲストキャラは煙草呑みのロリ巨乳。元伝説のメイドこと梨本京子嬢です。メイド→スナイパー→メイド→割烹着の人という経緯を経ている、ある意味この物語のキーパーソンと言えなくもないでしょう。

 タイトルはメイド服とRPGでヨロシク。あ、RPGって対戦車ライフルだから。

「山口。お前も毎回面倒ごとに巻き込まれて大変だな」

「もうそろそろ慣れた頃合ですが……ホントいちいちイラッときますね、この作者」

 いやぁ、君たちに嫌われてもさっぱり悔しくないなぁ。はっはっは。

「ところで作者。前々からちょいと知りたかったことがあるんだが、いいか?」

 ん? なんだい改まって。

「いや、テンのことなんだけどさ。別にあたしとテンってそれほど特別なこととかなかったわりに、あいつってやたらあたしに優しいじゃん。……それはなんでかなと思って」

「そういえばそうですね。京子さんには異様に優しいですよね、彼。一目惚れとかそういうのともちょっと違うと思うんですけど」

「そーだな。確かに外見はアイツの好みじゃなさそうな気がする。テンの好みは……ちょいとスレンダーな感じだと思うんだが。舞とか虎子みたいな」

 いや、その辺はあんまり関係ないかな。狐は外見にはあんまり頓着しない方だし。

 というか……好きな人ができたら自分の好みなんざ完全にお構いなしになるからなぁ。自分で書いてて引いたことも多々あるし。

「じゃーなんでだよ? 美里だって鼻ブチ折るまで辛かったって言ってたぞ?」

 ああ、あの野郎は生粋のツンデレだから仕方がない。……とはいえ、美里さんの場合は少し例外かな。あの時は美里さんのオーバーワークを解消するためにピエロを演じたようなもんだし。

 ただ、京子さんの場合はツンの状態がほぼ存在しないと言ってもいいね。それは極めて単純なことで、分かりやすく明快で、とてもとても大切なことだけど。

「どーゆーこった?」

 ありていに言えば、『ご飯が美味しかった』からなんだよね。

「……は?」

 だから、ご飯が美味しかったからあの野郎は一瞬で君に惚れ込んだわけだね。他にも色々あるけれど、一番の要因はそれかな。

「いや……それだけ?」

 それだけ。それだけだけど、大切なコト。

 母親不在が多く、基本的に自炊が大半、付け加えるなら寂しがり屋の人間が一人で食べるご飯ってのは不味さが20%ほど増しになる。

 家に帰って来れば誰かがいて、ちゃんとご飯が用意してあるってのは、あの野郎にとってはそりゃもう嬉しいことだったんだよ。

 ついでに言えば、君は煙草を吸ってなんだかんだ言いながらも、きっちりちゃんと仕事をこなす人だったからでもある。煙草を吸うのは多少のマイナスだったかもしれないけど、あの狐はそういう人をないがしろにするような野郎じゃなかったってことでしょ。

「……一目見て気に入られたってのも、いいんだか悪いんだか」

「ですねー」

 ま、今の状況はともかく、屋敷にいた頃は悪いどころか滅茶苦茶優遇されてたわけだし、今は今で出張してる時以外は宿の食堂でご飯を食べるようにはしてるみたいだから、今も昔も確実に好かれてるんじゃない?

「それが大問題なんだよ、ばかたれ」

 おやおや、なにかご不満でも。愛情表現が多少ストレートになっただけで、あの野郎は今も昔も変わらずにああいう感じですよ?

 それとも、それ以外になにかとても困るようなことでも?

「いや……だから、ちょっと対応に困るんだよ。困っちゃいるが……まぁいいけど」

「京子さん、なにかされてるんですか?」

「いや別になんでもない。問題はない。オールグリーンだ。あたしはまだ戦える」

「?」

 いや、実は今厨房では三匹の猫を飼っているんだけどね。

「うああああああああああああああああああああああ! 言うなばかたれ! 言ったら殺す! 必ず殺す! 絶対に殺すからな!」

 はいはい、仕方のない人だねェ。ここからが楽しいのに。

「あの……どういうことですか?」

 可愛いものを見る時の人の笑顔ってのは、思ったより可愛いっていうお話。

 じゃ、今回はこの辺で、サクサクと第六話にれっつごー♪



 第六話 コッコさんと綺麗な洋装について


 各種衣装の話。美里嬢の誕生日ちょい前で、アンナさん登場の回。

 ああ、よく読むとアンナさんってぶっちゃけ要らないキャラクター……。

「キャアアアアアアアアアアアアアアア! い、いきなりなんてことをほざきますのこのクソ作者! 謝りなさい、私に謝りなさいですの!」

 と、いうわけで今回のゲストはアンナ嬢。最終回他色々な場面でいちいち物語を引っ掻き回し、面倒にしてくれました。本当に出さなきゃ良かった。

 あ、忘れる所だった。ごめん。

「謝罪がなんかもうこれでもかってくらいに取ってつけたような感じですの!」

 はっはっは、まぁそんなもんだろう。

 さて……ところで、楽園の時間は楽しめたかな?

「……なんのことですの?」

 とぼけるなよ、姫皇剣。舞さんのAランクエンディングは、Sに至るまでの道の一つだ。正確には亜流の流れを辿ってはいるが、大筋では変わっていない。

 狐の彼に恋をしたのは、無駄でもなんでもなかっただろう? 本来なら在り得ないはずのものが、君が諦めたものがたくさんできたじゃないか。恐らく、彼も白も滅も舞さんも、もちろん他の人たちも、君が望めば君を助けてくれる。

 少しは、身の程ってものを知ったんじゃないかな?

「作者のくせに生意気ですの。なにもかも知った風なことを」

 知った風じゃない。知っているんだよ。作者だからね。

 かといって、僕は作者であっても全能じゃない。回収し忘れた伏線も腐るほどあるだろうし、登場させたまま放置したキャラクターだってもちろんいる。話の流れは大雑把で場しのぎで、情景描写に至っては惨憺たるもんだ。

 正直に言えば、君たちを思い通りにコントロールすることすらできない。

「……だから、なんですの?」

 作者なんてその程度ってことだよ。読者に落書きもどきの小説未満を、君たちに娯楽を提供するしか能がない存在ってことだ。

 それでも……わりと意地はあるんだ。こう見えて10年ほど続けてきたからな。

 ま、長いストーリーを構築する能力に難があるから商業的に評価はされないだろうけど、こっちは自分の書きたいものを趣味で書いているんでね。わりと後悔はしていない。

 それと同じように、君にも意地を張れる趣味はあるだろう?

「ふん……貴方の言いたいことくらい、分かってますの」

 そりゃ重畳。じゃ、そういうことでフォローの方は頼んだ。

 悪役のために住みやすい世界を。いい男のために在り得ない世界を。

「そういうこと言ってると、貴方がヲタクだって勘違いされますの」

 はっはっは、まぁそれはそれで一興。読者様には作者ってのは精一杯に痛い人間だと思ってもらわないとこっちが困る。

 作者なんかロクな人間じゃない。そういうもんだと思ってもらいたい。

「……相変わらずロクでもないですの、貴方」

 ひねくれ者だからハッピーエンドが好きなのさ。なにかを考えさせられるようなエンディングはもう見飽きた。世界が崩壊するような無意味なエンディングもまっぴらだし、壊れた人間が壊れたまま終わるエンディングも御免だね。

 ハッピーエンドはどこにだって転がっている。必死で足掻いて手を伸ばせ。なんの伏線を張っていなくても、助けを求める手を掴む人間くらいはいるだろう。

「……それでも、助からない人だっていますの」

 手を伸ばした後は運だ。その手を誰かが掴むか掴まないかは誰も知らない。

 だが、独りでも足掻くことはできるだろう。戦場とかサバンナのど真ん中とかそういうどうしようもない状況じゃなければ、わりとなんとでもなるもんさ。

「詭弁ですの」

 詭弁が大好きだから物語を書いている。君だって似たようなもんだろう?

「はいはい。それじゃあ、忙しいですからそろそろ退場してよろしいですの?」

 ああ、手間を取らせたね。記憶は飛ばすけど、後のことは色々よろしく。

「貴方に言われなくても私の意志でやりますの。……いつものように」

 じゃあよろしく。君の働きに期待する。

「そっちこそ、書きたいものがあるんだったらさっさと書けですの」

 善処するよ。……ま、いつになるかは分からないが。


「さてさて、私の休憩も終わったところで、次は第六話になります」

 ドレスの話。山口嬢がわりと似合う服を着る話になります。

「……あれ、いつもの毒舌はどうしたんですか? ツッコミどころがありませんよ?」

 いや、別にいつもボケてるわけじゃないから。

 美里嬢の誕生日の準備なだけだし、それ以外に語るところもないからねェ。

「なんかあったんですか?」

 察しがいいやら悪いやら。なに、ちょっと詭弁で遊んでいただけのことさ。

「……むぅ。なんか気になりますね。そうやってお馬鹿を装っている時に限ってなんか重要なことに関わっているってのは、彼のやり口と同じです」

 気にすることはない。君には心底関係のないことだからね。

 アンナさんって実は要らないキャラじゃね? とかそんな感じの話題だったぶげっ!

「おお、どこからともなく凄まじい勢いで鉄球が……って、生きてますか?」

 あ、案ずることはない。作者はベ●マが使えるから大丈夫。

 ああ……星が見える。

「……えっと、そういうわけで次は七話になりまーす♪」

 え? だって、日本に『文』なんて単位は大昔にしか存在しないよ?

 川向こうに渡すだけじゃん。ただでいいじゃん。六文なんてそんな金額は……。



 第七話 みんなと楽しい誕生日会(幕間)について


 いじめっ子冥さんとのお話。完全なる息抜きに書いた模様。

 軋む心に、はぜる闇。あくまで『自衛』のために舞さんに刷り込まれたバカキャラクターが少しずつ壊れていくように描いておりますが、多分失敗してるネ、テヘッ♪

 しかし、いじめっ子が覚醒していくのはこの時からと言えなくもないので、狐にしてみれば幸福の始まりという名の泥沼に足を踏み込んだ感じで。

「冥さんっていじめっ子なんですか?」

 そもそも、この物語に出てくるメイドはおおむねいじめっ子だ。

 有坂さん家のメイドを見ろ。いじめ放題じゃねぇか。

「それ、私の妹なんですが」

 ホント、君たち姉妹は全員寂しがり屋なくせにSで困る。

 正直言えば君はかなり環境的にはマシな方だったりするんだよ? 有坂さん家はもとより、四季さんの家にいる灰色なんかもう完全なドSだったりするし。

 斗馬くん登場時や度々出てくる彼女は、『他人用』の仮面をつけているし、四季さんと向かい合う彼女は『甘える用』の仮面をつけているが、由宇理と向かい合った瞬間に修羅になります。

 由宇理って超可愛い。八つ裂きにしてやる♪ みたいな。

「………………えっと」

 ああ、これは別に君のせいじゃないからそんな責任感じなくてもいいよ。

「いやそれでもですね、妹の普段の所業を聞くのはちょっと恥ずかしいというか……」

「分かります。特に姉の普段の行動とか、恥ずかしくて聞いてられませんよね」

「また唐突に登場しましたね、冥さん」

 はい、そういうわけで今回のゲストはミス・生殺しことアルティメイド3の黒霧冥嬢となります。

「作者さん。なんですかそのグロいあだ名は。メイドはともかく生殺しって」

 僕が言うのもなんだが、自覚がないってのが一番恐ろしいと思う。

 ぶっちゃけると、君がやっているエグい行動がそのまま宿の全員に影響している。

 まぁ、僕には関係のないことだから別にどーでもいいんだけど。

「そうですよ。作者さんには関係ないんですから、あんまり不謹慎なことは言わないでください。いい加減にしないと首ちょんぱですよ?」

 おいおい、さりげなく斬首するぞって言ったぞ、この冥土(メイド)

「お指パチンとかの方がいいですか?」

 超おっかねーよ! パチンとか可愛い表現使ってなんとか誤魔化そうとしてるけど、切り落とす気満々じゃねーか!

「古代中国には四肢を牛に結び付けて一斉にダッシュさせるという処刑法が存在したのですが、現代日本でも牛を車に代用すれば十分可能なのではないかと愚考します」

 考えるな! いい加減にしねーと普通に出番減らすぞ!

「ところで作者さん、我が宿おすすめのパフェなどはいかがでしょうか?」

 素晴らしい手の平の返しっぷりだね。まぁいいけども。

 さてと……幕間だし、今回は短くていいか。じゃあ張り切って次の話へ……。

「いえ、ちょっと待ちなさい作者」

 ん? なにさ?

「冥さんの行動で宿の全員に影響があるって……どういうことですか?」

 聞いたままそのまま。あるがままに受け入れるがよろしかろ。

「いえいえ、これは聞き逃せませんよ。……なんか前々から、彼のエロ行動が多くなる日があるんですが、それとなにか関係が?」

 おっとまずい。名探偵並の鋭さだねコッコ嬢。

 さすがにミス・生殺しは少しまずいネーミングだったか。反省反省。

 では、次の話にれっつご……。

「で、具体的に冥さんはなにをやらかしてるんですか?」

 おっとこれはものすごくまずい。逃げ出せる雰囲気じゃなさそうな感じ。

 さて……ゲームをする際に狐を椅子代わりにしたり、戯れに狐の後ろから抱き着いて耳を噛んでみたりと甘えまくったりしてることは言ってもいいのか悪いのか。

「悪いに決まってます。本当に殺しましょうか?」

 いや、でもねぇ。その被害は主にコッコ嬢や舞嬢にセクハラという形で表面化してるわけだから、むしろ行き着くところまで行っちゃった方がある意味健全だよ?

「19歳なので無理です」

 む、未成年なら仕方がない。煙草もお酒も20歳からだし。

 じゃ、会話の流れがヤバくなってきたところで次の話に……。

「行けるわけないでしょうが! 冥さん及び作者! とりあえず正座しなさい!」

『だが断る』

「ポーズ決めながら決め台詞言っても、格好良くはないですからね!」

「いえいえ、しかし私に限らずメイドという人種は主成分(あるじせいぶん)を摂取しないと生きてはいけないのです。ちなみに主成分は彼にくっついたりすることで摂取でき、接触面積が大きければ大きいほど有効に吸収できると既に立証されています」

「作者、そんな設定は存在するんですか?」

 設定っていうか定説なら存在するよ。付き合い始めとか新婚のバカップルに。

「冥さん!?」

「……えっと、しかしですね。今の状態が私にとっては生きる動力源のようなもので、これを切らすことは、つまり死を意味していると言っても過言ではないかと」

「言いたいことは分かりますが、いきなり後ろから彼に抱きつかれるこっちの身にもなって欲しいんですが?」

 できないことに対する僻みに聞こえなくもないから不思議だね。

 だから、さっきから言ってるように首筋に噛み付けばいいんじゃね?

「死にたいですか。そうですか」

 大人なのに本気でぐーを握るのは本当にどうかと思うぞっ!?

 まぁ、別に首筋に噛み付かなくても、現状でわりとバランスは取れてるからそのままでもいいとは思うケドね。どっちかに偏ると狐がぶっ壊れると思うし。

「どーゆーことですか?」

 美里嬢と生殺しメイドが甘え担当。

 バカ勇者と君が甘えさせ担当。というか、苛められ担当。

 割烹着のロリ巨乳はわりとオールマイティに振舞えるので、どっちでも可。

 Aランクエンディングが一番書きやすかったのも京子さんだし。

「……改めて見ると、つくづく健全という二文字からはかけ離れてますね」

 そりゃ仕方がない。狐が本当に欲しがったのは恋人じゃなくて家族で、ついでに言えばその家族と過ごす楽しい毎日が欲しかったんだから。

 その狐の甘言に乗ったのは君たちだ。狐ってのはあくまで『共有物』なんだから、大切なら精々使い潰さないように大切に扱ってやるといい。

 ま、大切じゃないなら瞳のハイライトが消えるまで蹂躙してやればいいと思うよ。

「生々しい表現はやめなさい。まぁ、そういうことなら現状維持にしておきますが」

「その通りです。変化を望むのは簡単ですが、それに伴う痛みは想像以上のこともあるのです。つまり、私がご主人様に甘えまくるのもわりと正しいことと思われます」

「冥サン。貴女はすこーし自重なさい。こっちにも限界ってものがあるから」

「ひゃい」

 では、和やかな空気のまま第八話にいきまーす♪



 第八話 みんなと楽しい誕生日会(前半戦)について


 お誕生日会の話。美里さん登場の巻。

 読み返してて思ったケド、なんで僕の小説のエセ拳法使いはこんな無茶に強いんだろうか? 言峰●父とか烈海●とか渋川剛●の影響なのは間違いないけども。

 ちなみに、美里嬢は筋肉と骨の『質』そのものが常人とは違うので、普通の人が扉をブチ砕いちゃいけないよ?

「ああ、そうだったんですか。どんな鍛え方したらあんなになるのかと思ったら……」

 や、それでも美里嬢は別格だけどね。『合気』という名目の人体構造を最大限に利用した破壊術だから。異世界の人とはいえ、普通だったら京子さんくらいの『若干すごい』程度の身体性能しかないはず。

 まぁ、彼女たちがいた世界は重火器で戦うのが基本だったし、拳で戦うんだったら美里嬢みたいに愛と勇気だけでティガレック●ぶっ殺すくらいじゃないと、生きていけないくらいに敵が破格に強かったからねぇ。美里嬢も作中じゃ全力出してないし。

「どんな世界の話ですかそれは。……あと、モンス●ーハンターの話はやめなさい」

 レウスとティガには殺されまくったけど、ナルガさんは三戦くらいで慣れてしまったので少し拍子抜け。ディアブ●スの強さは相変わらずチート。あいつは時間の使い方が上手すぎるんじゃ。特にDLクエの角が一本しかないやつ。

 あと、ヴォル●ノスよりガノ●トスの方が絶対に強いよね。異次元タックルとか。

「女の子とか絶対についていけませんよ、その話題は!」

 みんなモンハン厨になってしまえー。まそっぷ。

 話を元に戻すけど、美里さんたちの世界は、虚獣っていう化け物じみた生物が跋扈する世界で、本来なら大人しいその獣たちは、全世界と敵対しようっていう一人の嘘吐きによって変異し、人類をメタメタに虐殺しました。

 RPGに出てくる魔物が全力で人間を殲滅にかかったと思いねぇ。

 その世界を救って伝説となった部隊が、かつて美里さんの夫が率いていた10人から成る部隊。

 結局、美里さんとその夫の人が最終決戦の途中で脱走して、一人は戦死、京子さんは伝説と化してしまったために戦争が完全に終結する前に世界に排除され、残りの六人は戦争終結後に故郷に帰ったり、戦争の後始末してる。

 帰郷した六人の内、有坂友樹はこの戦争で魔法使いになっており、芳邦鞠も究極メイド化しているし、ちょい役アウラさんもその六人に含まれているけど、まぁそのあたりはわりとどーでもいい設定だよね。

「いや……どーでもいいっていうか、それはもっと先の話でバラす設定では?」

 蛇足蛇足。こっちの物語に関係ない事象は全て『どーでもいい』として扱います。

「それもまたざっくりしすぎてるような気がしますが……まぁいいでしょう」

 しかしこの話、読み返してみると……本当に狐ってただの女垂らしだよね。君たちが殴りたくなる気持ちも大いに理解できるわ。

 京子嬢のくだりのあたり、口説いてるようにしか見えないもん。

「今思うと……あの人は心を許した相手には、あーゆーことをナチュラルにやってしまうところがあるんですよね。特に長い髪とか手入れするの好きですし」

 通説によると、女性の髪をいじりたがる野郎は、大抵エロいらしいけど。

「んー……否定できない部分もありますが、肯定しかねる部分もありますね。テンさんはなんていうか、普通に女の子の髪をセットしてしまう人なので。冥さんの髪も5割くらいはテンさんが結い上げてるそうですし」

 それはつまり筋金入りのドエロス野郎ってことなんじゃ……。

「まぁまぁ、男の子は基本助平だから別にいいんじゃないかしら?」

 と、いうわけで今回のゲストは橘美里嬢。別名、人間凶器です。

「凶器とはいきなり失礼ですね、作者さん?」

 いやまぁ君ら全員凶器みたいなもんだけど、特に美里嬢の場合は凶器でしょ。

 あらゆる意味で。

「……なんだか、色々と秘密を知っているようですね?」

 作者だもん。ある程度は割り切って欲しいと切に願う。

 別にこの場で殺してくれても構わないけど、この劇場内では僕には自動で蘇生(レイズ)がかかる仕組になってるし、殺すと1ペナルティです。

 具体的には、出番がちょっと減ります。

 逆に増えるかもしれないけど、その場合でも嫌な役どころになるかと。

「む……本当にさりげなく嫌なことしやがりますね。作者権限って卑怯です」

 いやまぁゲームマスターみたいなもんだし。その代わりこの物語で君らを自由に動かせた試しはないから、あんまり意味はないんだケド。

 時折頭で考えてることとキータイプする指が別の動きをするしなぁ。病気なのかな。

「病気だと思います」

「間違いなく病気よね」

 うっわ、ひでぇ。……仕方ない。ここはあえて逆に出番を増やしてあげよう。

 本編の第二話はドレス再び、第三話は狐の嫁入りの予定だったけど、ここは予定を繰り上げて第二話に温泉に行こう『美里っち編』を、第三話に買い物に行こう『阿修羅編』をお披露目するしかなさそうだねぇ。

「タイトルだけで既に不吉なんですがっ!?」

「この人の場合、出番を増やすと言ってもバラエティ要員であることが大半ですからねぇ。おまけに動かしやすい人に限って滅茶苦茶ひいきするし。京子ちゃんや舞ちゃんなんて、作中でひいきされまくりですしね」

 人聞きの悪いことを言わないで欲しいな。別に動かしやすい人をひいきしてるわけじゃなくて、人に合った出番を提供してるだけだってば。

 大体そんなこと言ったら、友樹や由宇理や執事や死神さんあたりの出番が滅茶苦茶増えることになるんだけど、それだと君らの出番はほとんどなくなっちゃうよ?

 基本的に、野郎と野郎のかけあいの方が書きやすいし。

「……いやそれはそれとしてですね、出番が増えるのはいいんですが」

「そうよねぇ。もーちょっとこう……甘い展開というか、ラブい展開というか」

 ……読者がニヤニヤしそうな、蜂蜜のような展開がお望みだと?

 言いたいことは分かるけど、あんまりそういうの書き慣れてないからなぁ……。

「では、修行だと思って頑張ってください!」

「ふぁいとですよ! 成せば成る、なにごとも訓練あるのみです!」

 ……どこの鬼軍曹なんだよ、君らは。

 えっと……まぁいいや。じゃ、君らの言う甘い展開ってやつをショートショートでちょっと書いてみようか。

「もちろん、主人公であるこの私を大プッシュですよね!?」

「待ちなさいコッコちゃん! ここはメインヒロインの一人であるこの私がふさわしいんじゃないかと思いますよ!」

「美里出番多いじゃないですか! 私なんて意外と惨憺たるもんですよ!」

「出番が多いわりに扱いが惨憺たるものなんだから別にいいじゃない! たまには美味しい所を総取りしたってバチは当たらないと思うの!」

 では、面倒になったのでやめたBランクエンドから一コマをどうぞ〜♪

『は?』



『キツネ。ちょっと聞いて欲しいことがあるんスけどね』

『なにさ?』

『日差しがあちぃ。溶ける。むしろ枯死する。海行きたい。蝉うるせぇッス』

『それくらい我慢しろよ。大体、金が勿体無いからって理由で選んだ安アパート部屋に遊びにくるお前が悪い。つーか、なんだかんだ文句言うわりには二泊目じゃねぇか。ちゃんと四季さんの所に戻れよ』

『いやだってさぁ、キツネはもう高校生じゃないし、むしろ中卒だし、学校辞めてるし、それどころか男も辞めてるし、むしろ高倉テンコーだし?』

『守るものがないと、わりとなんでも開き直ってできるもんだろ。知り合いのねーちゃんが手術とか不要の性別転換薬をくれたわけだし、やりたいことをやるためには女の方が都合がいい。なんせ、高倉家に限っては基本性能が違うからな』

『……アンタには足枷がついてるくらいがちょうどいいッスよ』

『ん、それは重々承知してる。……って、お前らもボクにしてみりゃ足枷みたいなもんだけどな。二人とも好き勝手やってるわりに脇が甘い』

『キツネは全方位甘いッスけどねー。さっきからスカートから下着が見放題だぜ』

『あ、やっぱりこの角度だと見えるか。んー……女性らしい服ってことで由宇理オススメのメイド服ってのを着てみたけど上手くいかないな。仕方ない、甚平に着替えるか』

『あっはっは、待ちたまえキツネくん。甚平なんて無粋なものじゃなくて、そのままをキープが一番ベストでしょう。キツネってのは気に食わないけど美少女メイドとかもう最高に勝ち組の気分ッスよね』

『……由宇理、普通にぶん殴っていいか?』

『まぁまぁ、それはともかく膝枕とかして欲しいッス』

『いやまぁ別にいいケドさ、後でなんか奢れよ』

『手作り和風ハンバーグとかでよかったらなんぼでも奢ってやるッスよ〜♪』

『さりげなーく人のツボを突いてくるよな、お前は』

『と、いうわけでまくらまくら〜♪ ひざまくら〜♪ 上を見上げれば夢がいっぱい、下を見下ろせばロマンが一杯のひざまくら〜♪』

『……前々から思ってたんだけど、由宇理って本当に女か?』

『いやだなぁ……メイドって存在の前には、男女の境界などもはや意味を持たぬのさ』

『いや、少し待て由宇理。メイドってのはそんな浅いもんじゃない』

『お前はどっから出てきたんだよ、友樹!』

『メイドってのは、自分より早く起きて、自分より家事全般が上手くて、自分より遅く寝て、時折主を慰めたり叱咤してくれる人じゃなきゃなっちゃいけないんだ。少なくともワンピースとエプロンドレスを着るだけでメイドと呼ぶことはできないな!』

『キツネにメイドの資格がないとでも言うつもりッスか? この家事万能超人の世話焼きレディが、メイドにあるまじきとでもっ!?』

『ふ、資質は十分だが、果たしてそれでメイドたる資格は得たとは言えないな! メイドを名乗るのであれば力を示すがいい。そう……選ばれしメイドだけが言えるあの言葉で、己が力を示すのだ!』

『くっ……そこまで言うんだったら、ばしっと言ってやれッス、キツネ!』

『お還りなさいませ、ご主人様♪』

『ぎゃああああああああああああああああああああああっ!?』



 はっはっは、実に甘い展開じゃないか。我ながらよく頑張った。感動した!

「あ、コッコちゃん。それは悪手ね。飛車はいただいたわ」

「銀の打ち捨てで詰みですよ」

「えっと……あれ、一手足りないわよ? むしろ飛車打ちで私の勝ちだし」

「ぬ……ぐっ」

 いっそ清々しいくらいに無視かい、君ら。

 だって、これはあくまであとがきだし、ここで普通にショートショートとか書いたらあかんでしょうが。

「いや……それ以前に、設定がかなりツッコミづらいんですが」

 舞さんのAランクエンディングは伏線だったというオチなんだけど、面倒なのでやめました。というかAランクエンドに時間をかけすぎたね。

 そろそろ本編が書きたくなってきた頃合だから、仕方ないっちゃ仕方ない。

 甘い展開はそっちに残しておきたいんでね、悪く思わないで欲しい。

「舞さんとの甘い展開は普通に書いてたじゃないですか」

 あの二人は毎日大体あんな感じです。

「毎日大体あんな感じっ!?」

 あれだって実際はわりとまともな方だよ? そこの危険物と狐の甘い展開なんて、アレをさらにスイーツ(笑)にしたような感じだし。

 ………………見たい?

「私としては見たくありませんけど、見たいって人はいるんでしょうか?」

 やー……いるんだかいないんだか。

 二行程度公開しておくと、大体こんな感じです。


『あの、美里サン? 帰って来て早々なにやってんすか?』

『説明しましょう。橘美里は一日一度高倉天弧の背中に顔を埋めて思い切り深呼吸しないと死んじゃう体なのですよ』


「………………」

「こ、コッコちゃん? その『うわぁ、こいつ本当に駄目人間だな』っていう目はちょっとやめて欲しいかなって思うの。なんか心が痛いから」

「とりあえず……お説教ですね」

「ち、違うの! ほら……人肌恋しい時って、誰にだってあるじゃない?」

「美里と冥ちゃんが甘えまくるせいで、彼が色々と不安定になるんでしょうが! ちょっとは自重しなさい!」

「ちょ、えっと……こら、作者さん! 貴方のせいでまた厄介なことに!」

 僕は知りません。二行程度の甘えっぷりで怒られることになる貴女の素行が悪い。

「いいからちゃんと聞きなさい、美里。大体貴女は美咲ちゃんといい彼といい、心を許した相手にはとりあえず甘えまくりじゃないですか! 少しは自重なさい!」

「だ、だから違うのよ、コッコちゃん。これには深い理由が……」

「黙らっしゃい! 前々から思っていましたが、美里は……」

「………あうううううう」

 はい、そういうわけでお説教が始まったところで次の話に行きまーす。



 第八.五話 みんなと楽しい誕生日会(舞台裏戦)について


 彼と執事の出会いの話。要嬢のラブキュンストーリーその1と解釈しても可。

 さりげなく、陸君登場回でもありますが、誰もそんなコトには気づかない仕様です。

「いや、絶対に気づかないと思いますが」

 仮面とボイスチェンジャーつけてるし、そもそも名前も出てきてない。

 まぁ、陸君は事態に中心にはいなかったけど、空倉方面の話は、書くと血生臭い話になっちゃうからあえて省いた部分も多々あって正直書きづらかった面もあるかな。

 実際、陸君が本物の実働部隊で、かつ狐が空倉家と話をつけなかったら、舞さんにさっくり殺されてた可能性もあるわけだしね。

「……実働部隊っていうと、冥さんみたいに人外殺し専門の方々ってことですよね?」

 そーゆーこと。陸くんは情報収集の方が専門職だったから、実際に前線に出て冥さんや舞さんを追うようなことはしなかったってだけ。

 追った人たちは一人残らず例外なく、皆殺しにされてるんだYO☆

「いや、そんな可愛く言っても、心に引っ掛かるものはありますから。……まぁ、私としては舞さんがやったことを肯定するつもりはないですけど、どーせ舞さんは自分自身を永劫に責め続けるんでしょうから、なにも言いませんよ。私も同じ穴のムジナですし」

 ほう? 殊勝な意見だね。

「この程度は当然ですよ。彼なら『舞に害を及ぼすような奴は存在している時点で間違えてるから、死んでいいよ』くらいは言うと思いますが」

 ああ……絶対に言う。それは間違いなく言うね。

 でも、人を殺すってのは果たしてどうなのかね?

「もちろん、駄目でしょうね。……でも、舞さんはその罪も背負って生きていくと、冥さんを助けると誓った時に背負っている」

 ふむ、確かに。

「昔は分かりませんでした。でも、今なら分かります。そんな尊い覚悟を邪魔するような人間は、全員例外なくことごとく死んでいい。舞さんが願ったのは、ただ妹を助けたいだけ。しかも世界の敵でもなんでもなく、純粋で人殺しに耐えられないような、そんな可愛い妹を助けたかっただけ。たった……それだけですから」

 ……それだけで、何十人も殺してることを是とするのは、おかしいと思うけどね

「ええ、間違っていますよ。それがなんですか? 私たちは身勝手に生きている。彼を利用し、みんなで寄り添って、互いの傷を舐めあいながら生きている。……前提から既に間違えているんですから、今更一つや二つ間違いが増えたってどうってことはない」

 ………………。

「ただ一つ確かなのは、私は家族を守るということだけ。元々死んだような身です。やりたいこともあんまりない。だったら……私を必要としてくれた人たちを全力で守る」

 ……なるほど、ね。

 うん、実にシンプルで分かりやすい。

 確かにそれは身勝手だ。家族が大切だから、家族を守る。家族がどんなことをやっていようが、それは一人一人が背負う罪で罰だから、自分には関係ない。

 それでも……関係なくとも、その人を守ることくらいはできるってわけだ。

 はっはっは、呆れ果てた偽善っぷりだねぇ。

「いや、偽善ですらないんですけどね。むしろ自己満足ですから」

 まぁいいんじゃない? 守りたいなら守ればいい。

 それでこそ……主人公たる人間にふさわしいってもんだ。

 大体、女の子を利用して金を稼ぐってのは最低な行為で絶対にやっちゃいけないよね。暗殺でもなんでもさ、誰かを利用するってのは駄目だ。

 利用したかったら対価を払うのが原則ってもんだろうし。

「……さっきと言ってることが違いますが?」

 物語りは嘘吐きなんだよ。当たり前のことだけど。

 あ、勘違いしてもらっちゃ困るんだケド、別に君を試したわけでもないよ。単純に君の意見が聞きたかっただけ。

 四年後のキミって最終話以外出番ないし。

「わりと痛い所を突いてきますね。……というか、タイトルになってるわりに私の出番って作品全体を見ても、そんな無茶苦茶多いってほどじゃないんじゃ」

 ………………。

 じゃ、今回はゲストなしでお次は第九話になりまーす! しーゆーねくすと♪

「あ、コラ! また逃げますか貴方はあああああああああああああああ!!」



 第九話 みんなと楽しい誕生日会(後半戦)について


 宴会の話。彼と美里嬢の話。

 独りで生きていこうとする女性を傍観できなかった、馬鹿野郎の話。

「……ツッコミどころは?」

 いや、だから。僕だって毎回ボケてるわけじゃないからね。

 ちなみに今回のコンセプトは『宴に乗り遅れた企画者』。せっかく企画したのに自分ではそれを楽しめないという寂寥感をちょっとだけ表現してみました。

「お祭とかに恨みでもあるんですか、貴方は」

 高校の時に地元の祭に行こうと思って友達誘ったけど、全員彼女と行くってことになって結局一人で行ったケド、あまりの寂しさに速攻で帰った思い出くらいしかないよ。

「……すみません」

 そこで目を逸らされると、なんかものすげぇ悪いことした気分になるね。

 ま、友情はその程度でいいんだよ。友達よりも彼女を優先するのは当然のことだ。ちなみにその友人はできちゃった結婚しちゃって高校辞めちゃったけどね。

 ざまぁw

「いやそこで『ざまぁw』ってのはさすがにどうかと思いますが!」

 いやまぁ幸せにやってるみたいだし、その程度は言ってもよかろうよ。

 ちなみに注訳あたりで芝村さんのゲームがわりと好きだと書いていたけど、アイドレスになったあたりから、なにをやっているのかさっぱり分からなくなった。流れが理解できないゲームってのは傍観している立場の人間としては、ちょっとしんどい。

 枡田さんのゲームは未だに大好き。俺の屍を越えていけ。そして謎の村雨くんはやっぱり打ち切られた。……チクショウ。

 と、いうわけでツッコミどころを作ってみたけど、どうだろうか?

「はいはい。変な要求をした私が悪うございましたよ」

「コッコちゃんは変なところで凝り性だものねぇ」

「……話の流れから予想はしてましたが、今回はやっぱり貴女ですか、美里」

 はい、そういうわけで今回のゲストは危険物こと美里嬢となりました。

 話の主要人物だし、まぁまぁ妥当な線かと。

 しかし……改めて読み返してみると、美里嬢も野郎の扱いがそこそこ上手いことがよく分かる一話となってるわけで。

「あの……できればそっちの話題は避けてもらえないでしょうか? さっきのお説教がボディブローのように響いてる感じなので」

 仕方ないなぁ、それじゃあ別の話題にしようか。

 ラブい話に見えなくもないけど、今回の話には実は色々と伏線を仕込んである。

 狐の歪みが直接的に見えるのもこの辺りからだ。

「どういうことですか?」

 簡単なことさ。ちょっと考えればよく分かる。

 小説ってのは簡素な媒体だ。文字でしか相手に伝える手段を持たず、あとは読者の想像力に委ねることになる。故に……小説は色々なギミックを仕込みやすい。

 たとえば、一つの恋愛描写があったとしよう。男女が想いを伝え合い、好き合っていることを証明する。そういう描写だ。

 二人が中心のシーンだ。自然と情景描写は少な目になる。

 そう……たとえば、その二人の背景で世にも無残なぞぶぞぶといった感じの、描写するのも吐き気を催すような残虐シーンが展開されていたとしても、その情景が描写されない限り読者にそれが伝わることはない。

「いや、そんな無茶なシチュエーションはないと思いますが……」

 設定によっちゃ在り得るさ。男女が化け物だとか吸血鬼だとか、ホラーモノとか。そんな書き方をする作家がいるかどうかは不明だけど。

 つまり……ただでさえ曖昧さが残る小説という媒体において、一人称という表現方法は既にトラップの一環なのさ。

 一人称……独り語り、独りよがり。逆を返して孤独語り。

 現実と照らし合わせてみれば、狐の異質さはよく分かるはずだ。

 前向きだから誰も気づかないだけだ。あの方向性が少しでも後ろを向いた瞬間に、誰でも彼が『異質な存在』であることを見抜けたと思うがね。

「んー……異質とは少し違うような気がしますが」

「テンさんは、異質いうより一生懸命な人が好きな人で、自分も一生懸命に生きてる人ですからねぇ。ちょっと行き過ぎたところもありますけど」

 ま、そういうことだね。

 お節介の焼きたがり。つまるところ、彼は一生懸命生きてる人に必要とされたいと常に思っているような男だった。

 だから我慢強いし、容赦もない。優しいけれど、誰にだって厳しい。

 そんな人間が普通の範疇に収まるわけがない。……裏の裏を読めば、この話からそれを推測することも十分可能なんだよ。

「いや、普通の人はそんなことはしないでしょう」

 物語を楽しむコツ、その1。作者の嘘を見破る。一人称は真に受けない。

 ひぐ●しの鳴く頃にも使われてる手法だ。鬼隠し編とかはまさにこれだし。

 この物語の場合は、狐の言葉を君が真に受けちゃったことで破綻したわけだ。

「……分かってます。ま、あんなことはもう絶対にやりませんよ。今の彼も私も自分の心の内を多少は吐き出すようにしてますし。……主に拳でですが」

 ちゅーとかぎゅーの方が確実だと思うケドねぇ。そこの危険物みたいに。

「……なんかもう、怒るのも面倒になってきましたね。美里はそういう風習や文化を好む痴女だと解釈しておきましょう」

「ち、痴女って……それはいくらなんでもひどいと思うわ。それに、コッコちゃんだってさりげなく膝枕とかしてもらってたじゃない」

「あー……あの時は正直飲み過ぎました。京子さんのおつまみと、彼が持ってきた日本酒がやたら美味しかったのもありますけど」

 ああ、そういえばキミらはお酒強かったね。

 ちなみにお宿のメンバーでは美里>コッコ=京子>舞>冥>狐の順番でお酒の強い順が決定しています。宿の中では筆頭で酒が弱い狐でも、度数の低いお酒をちびちび舐める程度だったらわりと飲める。ただし、酒癖が悪いので本人は自重しています。一口で酔っ払うと断言しているのは、コッコ嬢やら京子嬢が飲むお酒が強いせいもある。

 ビール二口飲んだら酔っ払う僕とは違うのだよ、チキショウ。

「貴方本当に弱いですもんね」

 保険の先生のお墨付きだ。文化祭でやったアルコール強度検査で、今まで見てきた生徒の中で五本の指に入るくらいに弱いからなるべくお酒は控えるようにだってさ!

 あ、付け加えるのを忘れてたけど、美里嬢はビール、コッコ嬢は日本酒、京子嬢はジンと泡盛、舞嬢は甘いお酒(カルアミルク等)全般、冥嬢は未成年だけど飲む時は赤ワイン、狐は甘酒が好み。

 未成年には面白くない設定を暴露する作者、田山歴史!

「……書いてる途中で気づいて誤魔化そうとするのはどうかと思いますが」

「というか、普通はプロフィールとかから公表するもんじゃないんですか?」

 馬鹿を言うな。そんな細々した設定を考えていたら、僕の脳が破裂する。

 つーか、誕生日も血液型も設定しにくい人が二人ほどいるしね。異世界出身だし。

 小説の人物設定を明確に決めない作者、田山歴史!

「なら、私と京子ちゃん以外の人は設定してるってことでいいのかしら?」

 ……いや、なんぼなんでもスルーはいかがなもんよ。せっかく、日本版スパ●ダーマの良さが分かり始めてきたというのに。

 まぁ、それはどうでもいいか。とりあえず四人だけ血液型だけ紹介すると、狐はA型、冥嬢はB型、舞嬢はO型、コッコ嬢はAB型という感じ。

「……ちょい待ちなさい。何の資料も見てませんでしたが、今決めませんでした?」

 いや、前々から血液型だけは決めてたよ。

 狐のきっちりした生活態度はA型(正確にはAA型)で間違いないし、冥嬢の時折見せる空気の読まなさっぷりは間違いなくB型に該当する。わりと強気な人間に流されるのはO型の舞嬢。流されると言えば聞こえは悪いが、要は柔軟性があり人に合わせることを知っているってこと。コッコ嬢はAB型の天才肌で若干二面性がある。爽と鬱の差が激しいのが特徴的だけど、独創性があり個性的でもある。

 血液型占いってわけじゃないけど、人物の傾向から血液型だけは設定している。

 逆に誕生日は適当だね。むしろ設定すら決めていない。四季のどれかに生まれたとかは適当に決めているけど。ちなみに誕生日回が唯一存在した美里嬢は初夏生まれ。

 あまりにも細かい設定は、作品が破綻する原因の一つになりがちだ。書きながら決定してもいい部分は、人物のキャラクターが確定するまでは設定すべきじゃない。

 読者ありきの読み物だ。読者が知らなくてもいい設定はむしろ決めなくてもいい。

「む……作者のくせにちょっと説得力あるじゃないですか」

 逆を返すと、そこまで精密に設定を決めた上でキャラクターを自在に動かせるなら、それはもう確実に出版してもらった方がいい。

 出版。実にいい響きだ。印税とか超欲しいなぁ。金が欲しい。時間も欲しい。

「……こういう人にだけは絶対に出版させてはいけないと思いますが」

「同感だわ」

 はっはっは、僕もそう思う。

 ……っと、今気づいたがちょっとまずいな。

「まずいって、なにがですか?」

 文字数。この時点でいつもの物語よりかなりオーバーしてる。

「………………」

 あっはっは……やべぇな。書き過ぎた。

「……つまり、次回に続くってことですか?」

 そうなっちゃうね。

「どーすんですか! あと七話もこんなことやるんですか!?」

 いや、もうちょっとスピードアップするよ。いくらなんでもこれは引く。自分で今気がついて普通に引いてるし。

 まぁ……四話くらいはつぎ込んじゃうかもしれんけど。

「私としては二話くらいで終わらせて欲しいんですが?」

 善処します。

 と、いうわけで次回に続く! シーユーあげいん!

「……はぁ」

「大変ねぇ、コッコちゃんも」

「まぁ…………いつものことですけど、ね」



 と、いうわけでパート2に続く!

どうしよう。ものすごく自爆な気配がする。

つーか、あとがきでパート2ってなにさ? ない。ありえない。そもそもこのあとがきでの自分の性格がありえない。まごうことなきドSじゃん!

途中で自分自身を抹殺しようかと思ったケド、残念なことにパート2に続きます。

さて……次はどうしようか。 

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