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魔法少女ブラッドピンク

作者:ロメル


 前世紀より先進国では少子高齢化が進み、労働人口の減少が重大な問題となっていた。工場等のオートメーション化を進めても、どうしても人の手を必要とする部分が残り、当初は無機質なロボットがその代役を勤めた。しかし人手不足の波は開発途上国にまで及び深刻なまでの労働力不足に陥っていた。

 今世紀に入りヒューマノイドが登場すると、その活用範囲が瞬く間に広がったのは、当然の流れであると言えよう。ヒューマノイドが、人手不足に悩む各方面で積極的に受け入れられるだけの下地が十分にあったのである。もちろん、問題が無かったわけではない。ヒューマノイドが登場した初期には、人間と機械の中間的存在である彼らをどのように扱うのかで問題が生じた。しかしながら、彼らがより人間らしくなるに連れて、人間と同様に扱うのが妥当だと言う主張が主流を占めるようになった。そして彼らを含めた人口は、減少から停滞へと移行した。

 ガイノイド・ブラッドピンクはそんな時代に開発された個体である。ガイノイドとは男性型のアンドロイドと対を成す女性型のヒューマノイドのことである。正式名称は、ブラッドピンク-N915ISO型で、建物の警備や治安維持のために開発された。身長は、一般人を威圧しないように140cmとガイノイドとしても低め。人間と区別しやすいように髪の色は薄いピンクで、軽くウェーブし肩にかかっている。外見は完全に少女……いや、幼女である。当然スペックは外見の通りではない。第7世代の有機電子頭脳を搭載し人間のような曖昧な思考が可能な上に、身体能力も平均的な成人男性の3倍強となっている。

 彼女は、あらゆる方面から活躍を期待されてこの世に生まれた。これは、そんな一人のヒューマノイドの日常を描いた物語である。



 魔法少女ブラッドピンク



 2199年4月1日。

「おはようございます!今日も元気に、変質者にゾンビ、痴漢さんやロリコンさんに制裁を加えるのですよ!」

 今の時代、この四者を同列に並べることを気にする人はいないのです。とにかく午前8時に派出所に顔を出した後は、パトロールに出発なのです。今日のお供は、山本君なのです。山本君は一つ後輩のピチピチギャルなのですよ。

「先輩、おはようございます。今日も元気ですねぇ」

「当然なのです!元気だけがとりえなのです!さっそくパトロールに出発するのです!
部長殿!ブラッドピンク-N915ISOと山本、パトロールに行ってくるのです!」

 部長たちに見送られ、今日も元気良く出発したのです。
 出発して20分後、さっそくゾンビがわらわらと下水道から這い出してくるところを発見したのです。ちなみにゾンビと言うのは半世紀ほど前に発生した、蘇った死者という困った存在なのです。なぜ困った存在かと言うと、放っておくと細胞分裂よろしくどんどん増殖していくのです。人間に危害を加えるような事件は起きていないのですが、とにかく害虫と同じ存在として駆除されるのが基本なのです。

 ゾンビ発生の原因は一般に、マッドサイエンティストが作り出したナノマシンだと言われているのです。元々が死者なので、見つけ次第強制的にあの世にお帰り頂くのですよ。見敵必殺で後ろからプシュッとヤるのですがその前に変身です!これが無ければ魔法少女は名乗れないのです。

「せっとあっぷなのですよ!」

 ピカッと光ってサービスタイム!ナノマシンがリボンを構築し、際どいところをしっかりガードしながら変身するのです。これでこそ魔法少女なのです。変身に要する時間は約20秒。これで、普通のゴスロリ衣装がゴスロリ戦闘服になるのです!ちなみに、ゴスロリ衣装が僕の普段着であり制服でもあるのですよ。
 ついでに変身シーンをチラチラ見ている男の人にはロリコンポイントが加算されるのです。ポイントが溜まると黄色い救急車が来るのですよ。ちょうど100ポイントを超えたロリコンさんがいるようです。黄色い救急車の出動を要請しておくのです。

 黄色い救急車が都市伝説だったのは前世紀までのお話なのです。悪乗りした官僚が『ロリータコンプレックス撲滅措置法』制定のどさくさにまぎれて実現させてしまったのですよ。今ではロリコンさんが発見されると“保護”して治療を施すことに決められているのです。

 閑話休題。今は目の前のゾンビどもに集中するのです。なるべく目立たないように物陰に隠れながら、少しずつ間合いを詰めていくのです。そして背後から一気に『ゾンビころり業務用スプレータイプ』をプシューッと掛けてあげるのです!効果は抜群なのですよ。原理は知りませんがゾンビたちがどんどん溶けて透明な液体になってゆくのです。もっとも、匂いが少々……いえ、かなり酷いのが玉に瑕なのです。

「すごいです!先輩!惚れちゃいそうです!」

 すごいのは僕ではなくこのスプレーなのです。そしてここまで後輩がまったく働いていないくても仕方がないのです。この仕事は人間には任せられないのです。何しろ『ゾンビころり業務用スプレータイプ』は大型犬くらいの大きさで重さも30kgはあるのです。こういうところは分業なのです。人間の担当は『ゾンビころり中和剤』を撒く仕事なのです。中和剤を撒いておかないと、匂いが酷いと苦情の元になるのです。

 中和剤をまき終わったところで一件落着なのです。ちょうど良いタイミングで黄色い救急車も到着したのです。先ほどのロリコンさんを連行してしまうのです。救急隊員さんたちの手際もよく、ほとんど手伝いを必要とせずに乗せて行ってしまったのです。プロはさすがなのです。


 他に問題も無くパトロールを終了し、時間はお昼時なのです。お昼ごはんを食べて、書類仕事を片付けたらまた外回りに出発なのです。



「では次の任務、痴漢のおとり捜査に出発するのですよ!せっとあっぷなのです!」

 再び、ピカッと光って変身です。もう一度言うのです。変身するから魔法少女なのです。今度は普通の人間の中に紛れ込めるように、髪の色を深い赤に、服装も少しだけ露出の多めな可愛いフリルの付いたものに変更なのです。派出所内での変身なので、更衣室での変身なのです。うっかりロリコンさんを身内から出すわけにはいかないのですよ。


 さあ、帰宅ラッシュの真っ只中に出陣なのです。なるべく獲物のいそうな込み合ってる車両を狙って電車に乗るのです。
 今日はすぐに獲物がかかったのです。ですがここは少しだけ我慢なのです。えさに喰いついて、獲物が油断したときに一気に勝負を決めるのですよ。

「迷惑行為禁止法違反の現行犯で逮捕するのです!神妙にお縄に付くのですよ!」

 有無を言わせずに右手をつかみ上げ、手錠をかけてしまうのです。さらに痴漢さんの左腕を後ろにひねりながら壁に押さえ付け、左手にも手錠をかけて完了です。
 今度はこの後輩はホントに役に立っていないのです。

「何でいつも先輩ばっかり狙われるんですか?ズルいです」

 それは、僕が可愛いからなのですよ。別にズルくもなんともないのです。しかしこれをはっきりと告げるのは可哀想なので黙っておくのです。

「俺はやっていない!濡れ衣だ!」

 痴漢さんはいつもそう言うのです。この40代のサラリーマン風の男性も同じ台詞を吐いてくれたのです。うるさいのでとっとと鉄道警察の詰め所に連行するのです。

「俺は無実だ!」

 詰め所に連行されてもまだ言い張るとはしぶといですね。ここは一気に沈めせてもらうのです。

「僕は確かに触られたのです!そして、アンドロイドは嘘をつけないのですよ?」

 この言葉が決め手となり自白を始める痴漢さん。今どきアンドロイドは嘘を付けないと信じているなんて可哀想なのです。

 さて、これにて一件落着なのです。後は部長に報告して今日の任務はおしまいなのです。お疲れ様でした。
空想科学祭2011
空想科学祭2011BLUE部門参加作品

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