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第6話:イタズラ始動

 さて、前回の予告通りにミッションを開始しようと思う。


 幸か不幸か明日、瑠奈は友達と映画を見に行くと言って出掛けるので、家にいるのは俺と綾乃のみになる。


 まぁ綾乃のことだから簡単に騙せるだろうと思って、ふかふかの布団にくるまって寝た。


 そして今日は土曜。学校は休みなのでゆっくりと寝られ、起きたらイタズラ開始と心に決めて寝ているのだが、いやに体が重い。


 両腕はもちろん、足も動かない。しかも肺も圧迫されているために息苦しい。う〜ん、小さいころに憧れてた金縛りが今来たか。


 とりあえず俺は最悪の展開を恐れながら、恐る恐る目を開けた。


 ・・・。


「自分の部屋で寝やがれ綾乃ぉ!」


「ふにゃ…? おはよー…お兄ちゃん」


 寝ているのか寝ていないのか良く分からないくらいに目を開けた綾乃が俺の上に覆い被さってた。しかもご丁寧に手足をロックして…。先手を取られるとは、俺もまだ未熟か。


「とりあえずどきなさい。そして自分の部屋で寝なさい」


 俺の胸の位置で静かに寝息をたてている奴に言う。まぁただ言っただけじゃ絶対に起きないので、軽くほっぺをこねくり回しながらだけどね。


 コネコネ……。


「むー…。もうちょっと…」


「それはダメ」


 コネコネ……。


「……すぅ」


 コネコネ……。


 ・・・。

 こいつほっぺを色々といじられてるのに寝やがった!


 凄まじいまでの眠気だな。


 とりあえず何時までも妹と同じ布団にはいられないので、綾乃を横にズラして、這い出た。仕方ないので、デッカいあくびをしながら階段をおり、誰もいないキッチンへ向かう。


 キッチンに入って目に飛び込んできたのは、既に出掛けた瑠奈の置き手紙だった。え〜と、内容は……と。


 《綾乃の朝ご飯は冷蔵庫の中に、竜兄のは冷凍庫にそれぞれあるから。昼は適当に食べてて。それじゃ、行って来まーす♪》


 ・・・。


 行って来まーす♪ じゃねぇだろ。なんで俺のだけ冷凍庫に保存されてんだよ。


 明日覚えてろよ瑠奈。お前には俺が考えることが出来る最大級のイタズラをお見舞いしてやるからな!


 なんて良いながら冷凍庫に手を伸ばす。目玉焼きとかが凍ってたら嫌だな…。


 ゆっくりとドアを開けると、レトルトカレーがタッパーの中でガチガチに凍って入ってた。はぁ、解凍めんどくせぇ……。


 タッパーの蓋を外し、電子レンジの中で加熱しながら、俺はイタズラ計画を開始した。


 現在の時刻は10時。瑠奈が帰って来るのは予想では5時あたりだから、4時まではイタズラ出来る。因みに、スケジュールはこうだ。


『AM11時、は虫類大作戦』


『PM1時、勘違い大作戦』


『PM3時、ガキっぽく耳に息大作戦』


 ・・・。


 我ながらくだらない発想だ。でも綾乃にはこれ位が丁度良いはずだ。回避は出来ないはず。多分。


 そうこう話しているうちにカレーが解凍出来たので、食べ始める。ただし超スピードで。


 人外の早さで完食した俺は、昨日買ってきたカエルやら蛇のオモチャを取り出した。


 どこから? なんて突っ込みは禁止です。このオモチャは一瞬本物と思うほどの出来。重さ、柔らかさ、感触、全てが気持ち悪いほどクリソツ(死語?)


 それを綾乃がいる俺の部屋の前に数体配置した。


「さて、どう反応するかねぇ」


 キッチンのイスに座り、ケータイをいじり始める。俺の部屋から物音が聞こえてきたので、そろそろだな。


「……きゃぁぁ!」


 扉の開閉音と共に綾乃の絶叫する声が家中に響いた。意外に大声だせるのな、あいつ。

 ドタバタと音をたてながら階段を降りてきた綾乃に挨拶する。


「朝からどうした」


「へ、部屋の前に、は、は、は」


「……なんで笑っている」


「違うよ! は虫類が!」


「なに、見に行こう」


 俺はイスから立ち上がり単身階段へ向かい、は虫類シリーズを両手いっぱいに持ち上げながら、再びキッチンへ向かう。


「お、お兄ちゃんそれ!」


 戻って来た俺を見ると、凄い勢いで後ずさりした綾乃。

「あぁ、これはオモチャだよ」


 蛇の尻尾を持ち、軽くぶら下げる。その姿を見た綾乃は、少しオドオドしながら近づいてきた。


「…本当?」


「おぉ。どうだ、一発で目ぇ覚めたろ」


「脅かさないでよ〜お兄ちゃん」


 ホッとした息をもらし、その場にペタンと座り込んだ。


「まぁ良い。とりあえず俺は朝飯を食べたから、綾乃も早く食べろよ」


「分かったー」


 ふむ、mission1は成功に終わったようだな。


 綾乃の朝飯も電子レンジで加熱し始め、俺は居間のソファーに座ってTVを見始めた。別にTVは点けなくて良いんだけど、次のイタズラまでは暇だしね。にしてもイタズラに成功したから安心したのか、単に寝不足なのか、急激な眠気に襲われた。


 俺の睡魔の強さは既に知ってると思うから省くけど、今回の強さは世紀末覇王クラスだ。

 奮闘むなしく、俺は眠りについてしまった。


―――――――

―――――

―――


「えぃっ♪」


「…冷たっ!」


 何者かの攻撃により俺は目覚めた。時計を見ると、今はPM2時。予定狂った……。


 ガッカリしながら声のする方、つまり後ろを振り向くと綾乃の姿は無かった。ならば俺にこんな仕打ちをする奴はこいつしか居ない。


「なんでいるんだ? 瑠奈」


「友達が急用できたらしくて、映画みたらそのまま帰って来たんだよ」


 くそ、さらに予定狂った…。瑠奈がこの家にいる以上、綾乃に対してのイタズラはもう無理だ。ならばいつも俺に極悪非道なことをやる奴に天罰を下さなくては。といっても『耳にふーっ』とやるイタズラしか残っていない訳ではあるが。


 え、勘違い大作戦はどうした? うん、それもやろうかなと多少思ったんだけど。瑠奈の思考の早さでは、イタズラにならないので却下したんだ。



「とりあえずお帰り。それより、『えぃっ♪』って言いながら俺に何をした」


 俺の背中には水滴がいくつも付いていた。だいたい予想は出来るんだけどね。


「氷を背中に入れただけだよ」


 やっぱりな。だって俺の足元に正方形の氷が転がってるしね。


「暇だなぁ瑠奈も」


「竜兄ほどじゃないけどね」


 それはどういう意味だオイ。俺は床に転がっている氷を拾ってから立ち上がり、流し台に投げた。部屋で作戦を練ようとして踵を返すのだが、


「そういえばお昼食べたの?」


「あ……」


 タイミング良く腹の虫が鳴いた。朝飯食べてから寝ただけなのになぁ。消化の力も凄い。


「綾乃と私はさっき食べたから、あとは竜兄だけだよ。なに食べたい?」


「うーん、とりあえず普通のものを」


 俺は苦笑いしながら瑠奈に言ってキッチンのイスに座り、イタズラの事を考えながら待つことにした。そして待つこと10分……――――。


「出来たよー」


「お、ありがと」


 クルッと反転してきた瑠奈が手に持っていたのは、チャーハンだった。


 ふむ、本当に普通の昼飯を作ってくれた。いつもこんな感じだったら、良い義妹なのになぁ。


「今も良い義妹じゃない♪」


「ははは……」


 勝手に心の中を読む奴に良いも悪いもあるか! とりあえず昼飯を食わないわけにもいかないので、できたてのチャーハンを口の中に入れた。


「ふぅ、ご馳走様」


 綺麗に平らげ、皿を持って流し台に向かう。皿に水をはって洗おうとすると瑠奈が、


「いいよ、私やるから」


 と言って腕まくりしながら俺の横に立った。


 もしかしてチャンス到来? そう思った俺はすかさず瑠奈の耳に息を吹きかけた。まぁ効果はあまり期待出来ないんだけどね。と思いきや、俺の予想を遥かに超えた反応が返って来た。


「ひぁっ!」


 耳に息がかかった瑠奈はすかさず手で耳を覆い、しゃがみ込んだ。これはまさか…。


「お前、耳弱いの?」


「う…。よ、弱くなんてないよ」


 顔を真っ赤に染め上げて立ち上がった瑠奈が言う。


 そんな言葉を聞くと、再び同じことをしたくなってしまうじゃないか。という訳で、また瑠奈の耳に息を吹きかけた。今度はピンポイントで。


「ふゃぁ!」


 力無い声を上げ、よろよろと後ろに下がりイスに座り込んだ。一つ分かった。瑠奈は耳が弱いらしい。しかもかなりの度合いで。


「ほぅ、瑠奈にも可愛いとこあるじゃないか」


「か、可愛いとかは別として、耳はもう止めてぇ…」


 瑠奈はイスの上で体育座りのような状態になっている。もちろん両耳は軽く塞いでいる。


「分かった分かった。とりあえず謝るよ」


 俺は瑠奈の頭を撫でながら謝った。 弱点が発覚した以上、瑠奈対策も完璧だな♪



 余談であるが、瑠奈は仕返しとして俺の晩飯は作ってくれなかった。そして料理器具から調味料に至るまで全て封印されたため、何も食べられなかった。


 腹、減ったなぁ・・・。

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