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第19話:やっぱり凛先輩は強いです(by竜也)

 え〜、発表します。

 皆様のおかげでなんと読者数が三万人を突破しました!!


 いやはや、もう感謝感激雨あられなのです。なので次回は特別編を開催予定! とは言っても単なる旅行編だったり……(笑


 これからも竜也たちの応援、よろしくお願いします(=^▽^=)

 今日は部活の日。着いていく遊びにいくと騒いでいた瑠奈と綾乃は兄貴に任せて撃退し、俺は久しぶりに夏の日差しを浴びながら学校へと走っている。


「ふぅ、やっと学校についたぜ」


 ふと気がつくと校門前に俺の担任と、コブラツイストをかけられている海斗がいた。・・・ゴリラがコブラツイストをやるんじゃない。


「おはよーっす」


 触らぬ神になんとやら、俺は挨拶をして横を通り過ぎる。


「た、竜也! このゴリラの化身をなんとかしてくれ!」

「すまん、それは無理だ。大人しく天に召されろ」


 ぎやああああああああ、という叫びが真夏の青空に溶けて混ざり、俺は部室へと向かった。


 部室へ入り、純粋無垢な後輩達に挨拶をされて返す。気のせいか、皆ぎこちない笑顔や放心状態になっている。


「おいどうした後輩達」

「部長が『良〜いこと考えたっ♪』って言いながらどっか行っちゃったんです……」


 ふむ、確かに悪い予感だけがする。

 とりあえずここに突っ立っているわけにはいかず、さらに泣き出しそうな後輩達をなだめながら各自やることをやらせた。


 一時間が経ち、二時間が経ち。後輩達は脱獄でもするかのようにコソコソと逃げていき、残る部員は俺ともう一人。とはいっても俺と後輩Aはもう帰るのであるが。ちなみに凛先輩はまだ帰っていない。


「それにしても先輩、よく部長とコンビ組めますよね〜」


 組んだ覚えは無いがな。


「まぁなんつーか、慣れたんだろうな」

「へえ……先輩っ、頑張って下さいね! 私個人的に応援してますから!」


 そう言いながら後輩Aはスカートを翻して走りながら去っていった。はて、なぜ顔を赤くしていたのだろうか。


 歩きだすと、後ろのほうから誰かが近づいてくるのが分かる。そして、とてつもない殺気を放っている。俺はほぼ反射的に振り返り、


「……なんすかその奇妙な装備」


 目の前には凛先輩が仁王立ちしていた。

 ぶかぶかのヘルメットに安全第一のステッカー、どこから持ってきたのか分からないフリルつきドレス、そして片手には黒くてデカいスーツケースを握り締めている。統一感は一切ない。


「それよりも竜ちゃん、今のはなにっ!」

「なにって、後輩と帰ってただけじゃないすか」

「うそ! だって手を繋いでたじゃない! あわよくばホテル街にまっしぐらだったんでしょ!?」

「……そういう誤解を招く言い方は止めて下さい」


 まず手すら繋いでないし。

 少し興奮気味の凛先輩はあまりにも危険で、いま別れると後輩Aの命が危ない。仕方ない、俺が受け持つか。


「んで部活ほっぽりだしてコスプレしながら肉体労働してきたんですか?」

「ううん、演劇部に乱入して、さらに小道具にヘルメットあったから奪…もらってきたの」


 どっちにしてもまともな人の反応じゃねぇ。

 まぁそろそろ先輩も引退するわけだし、ハメを外したいのかもしれん。


「そうよね〜、そろそろ私も受験だもんね」


 ・・・俺の周りにはプライバシーもなにも有ったもんじゃありません、助けて下さいお母さん。

 十字を切った俺は涙をぬぐい、


「そっちのスーツケースはなんですか?」

「あ、これ? 教えて欲しかったら部室まで来なさい」

「じゃいいっす」


 俺はすかさず立ち去ろうとする。言ってから気付いた、あれは触れてはいけないパンドラの箱だということを!

 開けたが最後、絶望だけ出てくるに違いない。


【竜也は逃げ出した!】


【しかし凛先輩に回り込まれた!】


「ふっふっふ〜、私から逃げようったってそうはいかないわよ」

「くっ……、ならば押し通る!」


 俺は軽やかに跳躍し、凛先輩の横を通り過ぎる。が、そこは凛先輩、カウボーイさながらの技術で俺の首にロープを引っ掛けた。


 つまり俺は犬みたいになっているということだ。


「さ、部室行くわよチャッピー」

「行きますからその呼び方止めて下さい……」


―――――――

―――――

―――


 そんなこんなで俺は部室に引き戻され、凛先輩は制服に着替えた。気に入ったのかヘルメットだけはそのままかぶっているが。


「んで来たからにはスーツケースの中身見なきゃいけないんですよね?」

「うん、じゃーん!」


 どうだ凄いだろう誉めてくれ、と言わんばかりの顔をしながら凛先輩はスーツケースを開け放った。

 中から出てきたのは多種多様で、暗視ゴーグルやら赤外線カメラやら望遠レンズとか、携帯型PCに代えの電池とか、見るからに毒々しい液体の入った瓶とかがゴロリと机の上に置かれた。


「えーっと、反応に困るんですが」

「え、なにに使うかって? しょうがないなぁ、教えてあげるよ」


 スルーかよ。てか使い方なんて聞いてないし。


「これらは私が趣味で集めたもので、竜ちゃんの私生活を盗聴してたの」

「へぇ、俺の盗聴ですか」

「うん、盗聴」


 ・・・。


「盗聴!? 今の今まで盗聴されてたんですか俺!?」

「反応鈍いよ……。まぁ付け加えて言うならば隠し撮りもしてたけど♪」


 ぐ! と親指を立てた凛先輩。

 あの、犯罪をした自覚はないんでしょうかねこの人は。


 つーかまてよ、二十四時間フルスペックで監視されてたとなると・・・、


「♪〜♪〜♪♪」

「凛先輩、その写真って……まさか……」

「そう、竜ちゃんのお風呂写真よ!」


 やっぱりな、凛先輩の行動は不可解だがこういう抜け目ないところはさすがとしか言いようがない。

 しかも写真は凛先輩が所有してるが、マスターデータの入っているディスクを回収しないことにはどうにもならん。


「さらにさらに、竜ちゃんが夜に【ピー】していたところも撮影済み〜♪」

「変なとこで伏せ字使わないで下さい!」


 一応フォローしとくけど、【ピー】の部分にはなにもいやらしい単語は入らないよ。・・・なんだその嘘つきを見るような目線はぁ!


「さぁって、次は編集しなくちゃ。私と竜ちゃんの思い出を、と」

「もう、止めて下さい……」


 ちなみにこのあと俺は精神崩壊を起こしかねた。

 だって凛先輩のPC容量のうち八割方俺に関することだったからね。うぅ、俺は生まれてきたことを後悔するぜ。


「あ、私の家にあるPCなら全データ竜ちゃんと私ね合成写真が詰まってるから♪」


 ・・・もう良いです、好きにして。

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