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第12話:部活プレイ?


「こんちはー」


 俺は今のところ誰も居ないはずの部室の扉を開け、中に入っていく。

 え? なぜ挨拶するかって?

 うーん、職業病みたいなもんだよ。


「ったく凛先輩め。あんな写真を校門に貼り付けて……。ここはビシッと怒らねばなるまい」


 ・・・まぁ無理だろうけどね。

 どうもあの人のペースは皆を巻き込むからなぁ。


 カタッ


「ん?」


 後ろのほうから音がしたので振り返ってみると少し湿っているハンカチらしきものを顔に押し当てられ―――。


「ぐ……ここは……」


 俺は意識を取り戻し、今自分がどこにいるのかを把握しようとした。

 天井から察するにどうやら学校内にいるようだ。だが納得いかないことが一つだけある。なぜか手足をベッドの四つの柱に紐で結ばれているのだ。


 ワケの分からない展開が進むなか、どうやら犯人らしき奴が奥から出てきた。


「ようこそ竜也君。我々のアジトへ」


 そこには大仏の被り物をしている奴が立っていた。


 ・・・なんで大仏なんだよ。

 もっとかっこいい物にしとけよ。


「ふっ…、私が誰だか知りたいか?」


「俺をどうする気だ海斗」


「っ!? い、いや俺は海斗ではない!」


 ゴム製の大仏をグニャグニャ動かしながら両手をブンブン振り回して否定する。すげぇ顔…。


「ネームプレートを見てみろ」


「あ……」


 アホめ。


「くっ、バレちゃしょうがねぇな」


 海斗は大仏のてっぺんを掴み、勢い良くはがして顔を露呈する。いつ見ても間抜けな顔だな。


「質問に答えよう。俺はある方々に依頼されたが故にお前を拉致及び監禁及び拘束及び、はだ……いや、これはとても俺の口からは言えないぜ」


 な、なに!? 海斗でも言えないなにかをされたのか俺!?

 つーか『ある方々』って誰……いや、考えるまでもないな。


「ふふ、目が覚めたようね」


 きらりと不気味に光る黒い伊達眼鏡をかけ、スクール水着に身を包んだ人、


「竜に……じゃない、貴方の探している人物は私たちよ」


 もはや廃れた文明、幻と化してしまったはずである昭和の名産ブルマに身を包んで顔の上半分を覆う白き仮面をしているやつ、


「ヤッホーお兄ちゃ〜ん♪」


 周辺の男子学生憧れの的である我が高校の女子専用制服を改造し、かなり露出度が高いのを着ている奴が俺の死角である部屋の隅から出てきた。


 そしてスク水とブルマは制服の発言によりかなり大慌てになり、挙動不審に陥った。


「はぁ……。なにやってんだ凛先輩と瑠奈と綾乃は」


「あらら……バレバレ?」


 全く悪そびれた様子の無いスク水が言った。声で分かるわ声で。


「ほ〜らやっぱり綾乃のせいで発覚しちゃったじゃない。あれほどバレないようにしろっていったのに」


 ブルマが制服に軽く怒る。

 制服はケタケタ笑いながら怒られており、反省の意図は見いだせない。


「拉致監禁及び拘束の理由はいったいなんですか?」


 ベッドの上で大に寝ている俺はなるべく大事にしたくないので、黒幕の凛先輩と瑠奈単刀直入に聞いてみた。

 綾乃は何を思っているのか分からないが黒幕の二人とは真逆の位置に歩いていく。

 歩いていく綾乃を目で追いつつ明解な説明を待つ俺に、


「お兄ちゃ〜ん、こっち見てー」


 突如綾乃の声がしたので首を右から左へと移す。

 俺はそこで時間が止まってしまったかのように硬直した。


「なんだこの際どい写真どもはぁ!」


 俺の目線の先、04年PCが3台並んでおりそれぞれに最新プリンタが接続されている。

 そして俺が叫んだ最大の理由は、デスクトップにデカデカと陣取っている3つの写真。

 いつの間にか各PCの横に移動していた瑠奈と凛先輩が説明しだした。


「竜兄これはね、爆睡していた時に撮ったやつだよ」


 そう言っている瑠奈の右横にあるPCには、『仰向けに寝ている俺の体に座っている瑠奈』の写真が。


「今回の目的はこの写真を撮りたかったから。でも安心してお兄ちゃん。これは誰にも見せないから♪」


 そう言っている綾乃の横にあるPCには俺の後頭部があり、その顔の先に綾乃の顔が密着しているのかいないのか見分けにくいという、『もしかしたら実の妹とキスをしているのかもしれない』という超えては行けない写真が。


「良い思い出になったわ〜」


 にひひ、と笑っても決して下品に見えない容姿の凛先輩の横にあるPCには、『上半身裸の俺と胸の白い悪魔を出撃させた凛先輩が隣同士で寝ている』という写真が。


 ・・・・・。


 瑠奈と綾乃のもヤバいことに変わりは無いのだが、目をつぶろう。しかし、最後の凛先輩のは納得いかん!


「因みにこのアングルで撮ってほしいという依頼を快く引き受けてくれたのが海斗君よ」


 瑠奈が指差す方向にいる海斗は『自分はなにも知りませんよ』と言わんばかりに目を泳がせている。


「説明はいいですから早くデスクトップから消して下さいよ!」


 俺は必死になってこの写真の存在を消してくれるよう頼み込む。


「でも竜ちゃん、今でこそ嫌がってるけど写真撮影の時、体のほうは正直だったわよん♪」


 わーわーわー!! この話はよい子の皆も見てるんだから!

 もう少しで禁止ワードに突っ込んじゃうんだから!

 つーか俺の体のバカぁ!


 腕と足を繋いでいる紐、いや鎖をガチャガチャ揺らしながら暴れる俺の肩にポンと海斗の手が置かれ、一言ささやく。


「ま……、これも人生だと思って割り切れや」


 ・・・・・。


 ブチッ


「? 今変な音しなかった?」


 ブルマ瑠奈が制服綾乃に言う。


「う〜ん、お兄ちゃんのほうから何か嫌な気配はするんだけどにゃぁ」


 制服綾乃は多少オドオドしながら後退していく。


「め、珍しくマジギレモードになっちゃったわね……」


 綾乃の行動を見た凛先輩も真似して後退していく。


 そして空気を今一つ読めていない海斗は―――――。


「ばっ、バカな! これがスーパーサイヤじ…ぶひゃぁ!」


 人外な力によって鎖を引きちぎった俺はそのまま海斗を力一杯ふっ飛ばし、体を自由にする。


「に、逃げなきゃ〜」×3


 綾乃、瑠奈、凛先輩は一目散に部屋から飛び出していき、いなくなった。


「さて……お仕置きの時間だな海斗」


「な、なんで俺だけ……」


「そこに海斗がいるからさ♪ いくぞぉ! 四十八手その一!」


「ギ、ギブアーーーップ!」


 海斗の必死の叫びを耳にしつつも、俺の怒りの矛先は変わらない。


 よし、次は四十八手その二だな♪




 後日談であるが、綾乃、瑠奈、凛先輩をまとめて補導し、反省文を書かせてPC内のデータを消去させた。

 いつまでこの仁義無き闘いは続くんだ……。

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