act.2 麗しの王子様<3>
今朝貰ったプレゼントを、何気なく開けた。
小さな箱の方には手作りのミサンガが、そしてカードには【憧れてます】の文字。
彼女たちがこういう物を手渡すキモチって、どういったものなんだろう、と常々考えさせられる。
事前に必ず同性であることを告げて、誤解のないよう意思確認をしているけど。
実際に誤解しているのはほんの一握り。
プレゼントを手渡して来る彼女たちの大半は、同性と認識しながら行動を起こしているんだ。
「憧れてます・・・か」
必死な顔で手渡されたら悪い気分はしない。
あの時にも感じたけど、可愛い、とすら思う。
「思っちゃうところが、“王子様”とか言われる所以なのかな」
指で摘み上げたミサンガを眺めながら苦笑する。
「あ、また?」
用事を済ませて戻ってきた未遊が、ミサンガに目をやった。
それには答えない。
勝手に、彼女の方が話し出す。
それがいつものパターン。
「男臭いのが苦手な子は、どうしても綺麗系に走っちゃうのよね。ついマリンを求めちゃうキモチ、分かるなぁ」
「綺麗系の男子だっているじゃん」
「マリンと比較したら殆どが全滅よ。・・あ、でもウチの竜崎先輩はいい勝負かも」
本日二度目になるその名を聞いて、ぴくり、頬が強張った。
「あの人は美人さんよねぇ」
「未遊、その表現おかしい」
確かに綺麗な顔立ちをしてるのは認める。
百歩譲ってそこは認めたとしても、美人、という表現はどうなんだろう?
色白で左右非対称が特徴的なアシメントリーのネイビーブルーの髪。
片方に流した長めの前髪から見える、少し吊り上がり気味の勝気なトパーズ色の瞳。
竜崎碧、とにかく気に入らない、男。
「だってー。あの色気は女子でも勝てないって」
「だからさ、表現がおかしい。あいつ、オトコだよ。美人だの色気だのって。それにあたしはアイツに色気なんて欠片も感じたことないんだけど」
「うふふ~。マリンは知らないだろうなぁ」
と何やら意味ありげに匂わせて。
「竜崎先輩ならノーマルもアリだけど、やっぱり萌えるのはBL的な攻めかなぁ。んー、でも受けで悶えてる姿も捨て難い!・・でもそれだとしっくりくる相手が思い浮かばないんだよねぇ。攻めなら、宙くん受けで!きゃあ~~っ、いいっ、それ!!」
「ヒトんとこの兄貴を腐った妄想に引き出すなって!」
近頃ハマりだしたというジャンルに当て込んで、一人盛り上がる未遊を窘める。
脳内がすっかり腐りきってるよ、この女。
「あ!マリンが攻めで竜崎先輩が受けっていうのも、アリかも」
「未遊っ!!」
それ以上言ったら、コロス。
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