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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

鋼鉄の悪魔編

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誰得展開

【前回までのあらすじ】

・サリー、消し炭
「ヌウウウウウウウウウウ」

白い巨人はわざと俺に恐怖を与えるかのように、ゆっくりと俺に迫ってくる。俺なんて、急いで攻撃する価値もないということか・・・正しい判断すぎる。

サリーが再生される気配はなく、カサカサで黒焦げのまま地面に転がっている。刀の放電でナノマシンまで焼き尽くされてしまったのだろう。自分でも思った以上に悲しい気持ちが湧いてくるが、悲しんでいる場合ではない。このままだとすぐに後を追うことになりそうだ。

「おいお前!ちょっと俺と話をしないか!?」

「ヌウウウウウウウウウウ」

あっこれ会話が成り立たないヤツだ。俺は会話によるハッキングを諦めて、サリーの言っていたことを思い出す。彼女はこの巨人を「不定形の」と言っていた。不定形タイプのロボット、つまり液体金属とかそういうヤツだ。伝統的に物理攻撃が通用しない非常に強力なロボットと思われているが、それは映画やアニメの影響で、実際にはそう強いわけではない。物理攻撃が効きにくいのは本当だが、電子的な干渉に極めて弱いので、ハッキングすれば簡単に無力化できるのだ。ハッカーにしてみれば雑魚中の雑魚であり、ラッキーなことに俺はハッカーである。

「ふん、相手が悪かったな・・・白まんじゅう。」

俺はポケットから愛用の端末を取り出す。この端末はマキちゃんの腕時計と同じく、遠隔で無線ハッキングするデバイスを搭載しているのだ。呼吸を整え、精神を集中する。敵の刀が振るわれるまで、2秒か・・・3秒か。長い。長すぎる時間だ。1秒もかからずに仕留めてみせよう。

サリーの仇め、覚悟しろ!

俺はキーを叩き・・・叩き・・・あれっ画面になにも映らない。っていうかヒビ入ってる。・・・ん、壊れた?マジで?甲板に落ちた時?それともロボットに撃たれた時かな?心当たりが多すぎる。

俺は端末をポケットにしまうと、相手を睨みつけて堂々と言った。

「・・・白まんじゅうとか言って、すみませんでした。」

「ヌウウウウウウウウウウ」

ダッシュで逃げ出した俺のすぐ後ろを、凄まじいスピードで大型ブレードが通過した。謝ったのに攻撃してくるなんて、よくないと思う。着ている服の光学迷彩は使用不能だが、パワーサポートは問題ない。そのノロノロした動きで、強化された俺の逃げ足には追いつけまい。余裕も余裕、大余裕・・・よゆ・・・

「・・・おっかねぇぇぇぇぇぇぇ!」

俺の口から自然と恐怖の叫びが漏れた。情けないなんて言わないで欲しい。実際に試してもらえば分かると思うのだけど、刃物を持った全身真っ白で3メートルもある巨人に後ろから追いかけられるのは叫びだしたくなるほどの恐怖体験だ。マキちゃんもサリーもいない今、俺の精神は限界を超えすぎて失禁しながら泡を吹いて気絶しないのが不思議なぐらいなのだ。しかも白い巨人はズシンズシンと地面を揺らしながら思ったよりずっと高速で追いかけてきてあんまり距離が開かないし、もし俺の進行方向から敵が出てきたら、いきなり挟み撃ちの形になってアウトなのだ。想像したら涙が出てきた。

「ヌウウウウウウウウウウ」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

しかしそれでも俺は無茶苦茶に逃げていたわけではない。よだれを垂らしながら逃げ続けること30秒、俺はなんとか目標地点にたどり着くことができた。俺の目の前にあるのは、この空母の心臓部である巨大な機械設備・・・ジェネレーターである。

「ヌウウウウウウウウウウ?」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、げはぁッ・・・」

ナノマシン持ちは体内で酸素が合成されるので息切れしない。俺の息が荒いのは息切れではなく、ただパニクっているだけである。ああ怖かった。しかしこのジェネレーターに密着していれば、白まんじゅうも滅多なことはできまい。案の定、白まんは俺の数メートル手前で立ち止まり、こちらの様子を伺いながらウロウロしだした。よかった、もし考えなしに突っ込んでこられたら、ジェネレーターが爆発してみんな仲良く木っ端微塵になるところだ。

「マキちゃん、マキちゃん・・・。」

俺は左腕の腕時計に話しかける。ひび割れた盤面は真っ黒のままで、俺の呼びかけには何の反応もない。

「やっばりダメか・・・。」

信じられないことだが、マキちゃんは電子攻撃を仕掛けたにもかかわらず、カウンターを食らってしまったらしい。しかもハードウェアごと焼き切られるという強烈なカウンターを。マキちゃんは高度な電子戦能力を持っているが、彼女が動作しているハードウェアはしょせん生体電流で動作している貧弱な腕時計型コンピュータである。処理能力自体は決して高いとは言えないのだ。スパコンや量子コンピュータ並の演算能力で一気に攻撃されれば、なすすぺもなく破壊されてしまうこともあり得る。

「・・・ん?」

いつの間にか、白まんはウロウロするのをやめてじっと立ち尽くしていた。

俺が疑問に思ったのはそのサイズだ。出会った時は身長3メートルぐらいあった気がするのに、目の前にいる白まんはその半分ぐらいしかないように見える。俺を追いかけてたくさん走ったから、ダイエットになったのかな?ダイエットに協力できてよかった。

この時、俺は気づいていなかった。天井からいくつも伸びた白い触手が、音もなく俺の頭上から接近しているのを・・・。

「うわっ!ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

気がつくと、俺の身体は無数の白い触手に絡め取られていた。手足に巻き付き、首に巻き付き、衣服の中にスルスルと滑り込んでくる。白まんは自分の身体を分離して、俺に気づかれないように天井から接近させていたのだ。ものすごい力で締め上げられ、俺は苦悶の声を漏らす。開いた口にも触手が入り込み、俺は力任せに首を振って、叫んだ。

「これ・・・これ・・・誰得!?」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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