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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

食料生産編

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会議

【前回までのあらすじ】

・主人公、拷問される
・ハル、食べ物を売るために偉い人に会う
「・・・以上があたしたちの提案です。」

知らない女性にホイホイついて行ったバカ男が拷問されているのと同じ頃、町の集会場。ハルとガイが大きなテーブルに並んで座り、その向かいに5人の人間が座っている。うち4名は男性で、ひとりは女性だ。並んだ5名はいずれも年齢がハルの倍以上はありそうで、いかにもこの町でのし上がってきた実力者であることをうかがわせる威圧感を出している。彼らが交渉の相手、一癖も二癖もある卸売組合の代表たちである。真ん中に座っている、5人の中でもリーダー格らしい貫禄あるヒゲを蓄えた男性が言った。

「なるほど・・・ハルさんでしたか、そちらの提示する条件はよくわかりました。申し遅れましたが、私は卸売組合の理事をしているバースといいます。頂いた書類の通りであれば、こちらにとっては破格の条件といえるでしょう。なにせ以前食料を仕入れていた『オニパセリ商会』の仕入れ値から軒並み半額以下ですからね。しかし・・・」

その横に座っていた細身の男性が言葉を継ぐ。

「食べ物というのはディストリビューターからのみ得られる大いなる自然の恵みである。人間が木から作った食べ物など・・・本当に信頼できるのかね?」

この世界において食べ物というのは、ディストリビューターから出てくる自然の贈り物という認識になっている。未だかつてない方法で、しかも人の手で生産される食料について、彼らが不安を抱くのも無理はない。だが、ハルにはこの不安を払拭する秘策があった。オロオロするガイをよそに、ハルは穏やかな笑顔を浮かべたまま、5人の代表を見渡した。

「あたしたちの開発した技術は、既存の食料を完璧にコピーするものです。供給する食料は、どれも今までの食料の完全なコピーなので、せんべいのゴマ一粒にいたるまで違いは全くありません。それはこちらの精霊様が保証してくださいます。」

ホログラムのマキちゃんが空中に現れ、丁寧に頭を下げた。その背後にはなぜか花びらが舞っていて、彼女の主人がこの場にいたら「演出過剰だ!」と突っ込んでいたところだろう。

「皆様、お初にお目にかかります。『精霊』のマキと申します。」

「せ、精霊さま・・・⁉︎」

「な、な、なんと・・・神々しい・・・⁉︎」

「なななな・・・ハルさん・・・?あなたたちの食料は、精霊様のお力で作っているということですか?」

ハルに代わって、マキちゃんが答えた。普段は絶対に見せない、営業用の美しい笑顔で。

「その通りでございます。私、精霊のマキが食料の供給をお手伝いさせていただいておりますわ。皆様のお口に合えばよろしいのですが・・・。」

「うわーっオレ、精霊さまと話しちゃった!うわー!」

代表のひとり、いかつい顔のおっさんが威厳を放り捨ててはしゃいでいる。この世界の精霊信仰は根強い。目の前に本物の精霊が出てきたとなれば効果は絶大だ。この後の交渉はトントン拍子に進んだ。そして話がまとまりかけた頃・・・それはやってきた。

「おいおい、私を差し置いてこの町の食料供給の話し合いをするなんて・・・ひどいじゃあないか!」

突然ドアを開けて入ってきたのは、二足歩行の豚・・・いや、豚のように肥え太った人間だった。全身に趣味の悪いアクセサリを身につけてギラギラと飾り立て、ツルツルの頭に脂が浮かんでいる。バースが立ち上がり、険しい顔を向ける。

「これはこれは『オニパセリ商会』代表のトンデル氏ではありませんか。今日の打ち合わせにはお呼びしていないと思いましたが・・・何用ですかな?」

バースの言葉にトンデルは明らかに気分を害した様子を見せたが、すぐに貼り付けたような余裕の笑顔を見せる。

「バース君・・・私にそんな態度を取るなんて、ずいぶん偉くなったものだなァ?」

「ふん・・・ディストリビューターの管理権限を独占してこの町の食料を牛耳り、長い間ずいぶん好き勝手にやってくれましたね。しかしあなたの唯一の武器であるディストリビューターは停止し、新しい食料供給主がすでに見つかりました。我々はもう、あなたの無茶な要求に怯えながら食料を買う必要はない。トンデルさん、あなたはもうおしまいですよ。」

どうやらこの豚、この町唯一のディストリビューターを牛耳って好き勝手やってきた悪党らしい。ハルとガイが黙って話の成り行きを見守っていると、豚は思いもよらないことを言い出した。

「バース君、あとでその発言を後悔することになるぞォ・・・?グフフフフ。」

あからさまにイラついた様子でバースが問い正す。

「どういう意味です?」

「もうすぐ、その精霊の主である男・・・オーナーだな、そのオーナーが『私に新しい食料生産設備を全て譲渡する』という契約書にサインをしてくれるんだよォ・・・。今、この町のある場所で、まさにその『話し合い』の最中というわけさァ。」

「な・・・なんだと⁉︎」

バースが驚愕し、ハルがマキちゃんを見る。マキちゃんはレイに連絡し、主人の居場所を確認しているようだ。ハルは声に出さず、神経接続でマキちゃんに話しかけた。

『精霊様、にーさんは今どこに?』

『・・・ハル様、ご主人様が行方不明のようです。』

『そんな・・・まさか、拉致されたんですか?』

『ええ、クソヘタレクソご主人様ならあり得ないことではございませんわ。でもハル様、どうぞご心配なく。すぐに解決しますので、あの豚様の言うことは無視なさってください。』

バースが怒りのこもった目でトンデルを見ている。

「貴様・・・まさか、暴力にものを言わせて彼らから食料生産設備を奪うつもりか・・・!どこまで腐った男なんだ!」

しかしトンデルは相変わらず余裕の笑顔を見せる。自分の勝利を信じて疑わない顔だ。

「グフフフフ・・・さて、何のことかな?今ごろ部下とオーナー氏が平和的に話し合いをしていると言ったのに・・・グフフフ。今のうちに先ほどの非礼を詫びたほうがいいのではないかね?ほら、靴でも舐めてくれれば許してやらんでもないぞォ?」

あまりの態度に頭にきたハルが立ち上がり、トンデルに怒鳴りつけた。

「黙りなさいよ、この豚!みなさん、大丈夫です。あたしたちのオーナーには精霊様の加護がついていますから!絶対に大丈夫ですよ!」

顔を青くしていた卸売組合の面々が、ハルの言葉に少しだけ元気を取り戻す。マキちゃんは本物の神のごとく、宙に浮かんだまま微笑みを絶やさない。そんなハルを見て、トンデルはしかし笑いながら舌なめずりをした。そしてハルの身体に向かって、ブヨブヨとした手を伸ばす。

「おやおや、これは元気でかわいらしいお嬢さんだァ・・・。なに、これでお嬢さんが路頭に迷うことになっても心配はいらんよォ。私の愛人135号として養ってあげよう・・・グフフフ。同じ年頃の友達もたくさんいるから、一緒にかわいがってあげようじゃぶべふぅ」

トンデルが言い終わる前に、ハルの鉄拳が唸りを上げて振り抜かれていた。不意を突かれたトンデルは、鼻から勢い良く血を吹き出して倒れ込む。

「ホガァ!ホガァ!このクソアマ、私になんてことを!絶対に許さんぞ!ホガァァァァ!」

さっきまで怒りに震えていたバースも、突然の流血沙汰にオロオロするばかりである。

「黙れって言ってるでしょうがこの豚!次に勝手に口を開いたら、ガトリングの的にして1ミリ四方の肉片に変えてやるわよッ!」

「ブヒィィィィィィ!おい部下ども、来い!この女を取り押さえろ!」

ランス譲りの迫力で怒鳴られたトンデルは、床に転がったまま這いずってハルから距離を取った。這ったあとには、いつ漏らしたのか黄色いシミがついている。

すぐに廊下から10名ほどの男たちが入ってきて、ハルを取り押さえた。背後から数名の男に身体をつかまれて身動きを封じられる。ガイも抵抗しようとするが、ついでといった感じで床に引き倒された。

「よくも・・・よくもやったな、小娘ェ・・・。」

それを見ていたバースが割って入る。

「待て、トンデル!なにをする気だ!無法なマネは許さんぞ!治安維持部隊に連絡して・・・」

「ブヒィィィィィィ!黙れ青二才ィ!治安維持部隊の連中など問題ではないわァ!この小娘にはじっくりと話をしてやる必要がありそうだァ・・・私の屋敷で、じっくりとなァ・・・!!!」

鼻血を流しながらトンデルがハルを睨みつける。しかし当のハルにはまるで動じる様子はない。トンデルの視線を真っ向から睨み返して、落ち着いた声で言った。

「喋ったわね・・・1ミリ四方の肉片決定よ。」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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