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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

食料生産編

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拉致

【前回までのあらすじ】

・アメリカンドッグ祭り
「それではご主人様、今日は一日、ハル様のサポートをさせていただきますわ。」

マキちゃんはそう言って俺にお辞儀をした。腕時計は俺の腕ではなく、ハルの左腕に巻かれている。今日のハルは店の制服をビシッと着込み、いつもよりパリッとした雰囲気だ・・・これはこれで可愛い。表情もなんだか引き締まり、気合が入っているのが見て取れる。

「精霊様、今日はよろしくお願いします!」

「はいハル様。精一杯サポートさせていただきますわ。・・・それとご主人様・・・ハル様が私と一緒な以上、さほど心配はしていませんが・・・私の目が届かないからといって・・・浮気など・・・なされませぬよう・・・。」

マキちゃんが刺すような殺気を放ちながら言った後、ハルとマキちゃんは出かけていった。今日も俺の背中は冷や汗でビショビショだ。俺が浮気なんてするわけないじゃん・・・知らない女性と喋れない的な意味で。

町に食料を供給することを決めた俺だが、問題は流通だった。プラズマライフルの木で作った食べ物を町に行き渡らせるには、町の商業ルートに乗せる必要がある。というわけで、今日は町の卸売組合の代表たちとその打ち合わせのため、ハルとガイ、そしてマキちゃんが町の集会所へ出かけて行った。本当はハルがスキャニャーの仕組みや生成可能な食料の量、種類などを全て把握して交渉に臨めればいいのだが、残念ながら今まで町に全ての食料を供給していたディストリビューターが止まっている以上、ゆっくり勉強してもらう時間はない。というか早く食料を流通させないと食料品店の店頭から商品が消えてしまう。なので今日は、マキちゃんにハルのサポートをしてもらうことにした。打ち合わせ中にマキちゃんがアドバイスすれば、まず悪いようにはならないだろう。俺が打ち合わせに行けばいい?いやいや、偉い人とか怖いし。無理。

「・・・暇だな・・・。」

部屋にぽつんと取り残された俺は、実際のところものすごく暇だった。エドは最近活躍しすぎなのでナナと遊びにいくように言ってしまったし、ウォーリーはいつも通り店番だ。レイはいつも町のどこかをぶらついているか、そうでなければマキちゃんのストーキングをしているのでどこにいるのかわからない。いつも一緒のマキちゃんがいないので話し相手もいない。なんとなく趣味的なプログラムを組む気にもならないし、ネットサーフィンしようにもこの世界にはまだネットがない。早くネットを普及させようと改めて誓った。しかし暇だ。

「・・・散歩でもするかな。」

とてつもなく珍しいことに、俺は1人で散歩することにした。冷凍前は100年でも自宅から出なくて平気だったのに、この世界に来てから俺もずいぶん変わった気がする。今日も外は日差しが焼けるように熱く、雲ひとつない青空が広がっていた。

「あの・・・すみません、そこの方?」

「はっははははははははい⁉︎」

自宅を出てほんの100メートルほど行ったところで突然声をかけられ、挙動不審な返事をしてしまった。声の方を見ると、知らない若い女の子がいる。道でも聞かれるのかな?ちゃんと答えられる自信がないぞ。キョドり的な意味で。

「ああ、やっぱり・・・あの・・・私と、お茶してくれませんか?」

「はははははははははははい?」

予想外すぎる言葉に、俺のキョドりが加速する。

「あの・・・ダメ、ですか?」

「いやいやいやいやいやややややや・・・ナナナナンデデスカ?」

俺がなんとか絞り出した質問に女の子はほんのりと頬を染め、上目遣いで答えた。清楚な雰囲気の女の子・・・それに、胸も大きい。今日はマキちゃんがいないから、女の子の胸をちょっとくらい見ても正確な時間を計測されることがないぞ。いや、そんなにガン見しないけど。たぶん。

「あの・・・前から何度かあなたをお見かけしていて・・・その・・・かっこいいな、って・・・。・・・やだ、私ったら、恥ずかしい・・・!あっ、誰にでもこんなこと言う女だって思わないでくださいね!!こんなこと言うの初めてなんです!」

「あばばばばばばばば」

女の子はほとんど思考停止になった俺の手をおずおずと両手で握り、小さな声でもう一度「ダメですか?」と聞いてきた。柔らかい手。「ダメジャナイデス。」と答えるのがやっとだった。

「こっちです。静かで落ち着く店があるので・・・。」

「はははははいはいはいはいはい」

女の子に手を引かれ、迷路のように入り組んだ細い路地を入っていく。徐々に人の気配が少なくなり、物騒な雰囲気が漂ってくる・・・が、俺の頭はピンク色に染まっているのでまるで気づかない。暗い地下への階段を下り、狭い入り口をくぐる。そこは小さな明かりがひとつ天井からぶら下がっているだけの、薄暗い地下室だった。背後で重い鉄の扉が閉じる音がした。

「こんなにホイホイついてくるアホがいるとは思わなかったサ・・・信じられないぐらいチョロかったわよ。」

さっきまで清楚な雰囲気を醸し出していた女の子が、いつの間にか悪そうな目つきになってタバコを吹かしている。そこでようやく気がついた・・・あ、これ、ヤバイやつじゃん?

「オラ、おとなしくせえよ。まぁ暴れても暴れなくても痛いのは一緒だけんどもな。」

背後から男の声が聞こえたかと思うと思い切り後頭部を殴られ、混乱しているうちに椅子に縛り付けられていた。がっちりと身体を固定され、まったく動かすことができない。椅子に座らされた状態で背もたれに首を、肘かけに手首を、椅子の脚に俺の足首を縛り付けられた形だ。これは・・・古い映画で見たことあるなぁ。拷問するときのスタイルだ。え?拷問されるの、俺?冷静に周りを見ると目の前に大きなテーブルがあり、とがったりギザギザした形の色々な道具が置いてある。どう見ても拷問器具です、本当にありがとうございました。

「お前さんが・・・新しく町に食料を供給しようっていう店の・・・オーナーだな?間違げぇねぇーか?」

「・・・ええええええええっと」

ドモッていると、激しい衝撃で視界が揺れた。どうやら殴られたらしい。口の中に血の味が広がり、地面に何かが落ちた小さな音がした。たぶん俺の歯だ。

「オラはグズが嫌いだぁ。ハキハキ答えろよぉ。」

「(偉そうにしやがって・・・俺は何も喋らんぞッ!)はい。」

「よぉし・・・まずはぁ・・・指をもらうか・・・それとも目を潰すか、なァァァァァ?」

「(ふん・・・好きにしな。貴様がなにをしても、俺の心を折ることはできないぜ!)ヤヤヤヤメテクダサイ」

どうも思ってることと出てくる言葉が一致しない。やっぱり知らない人って怖いわ。

「グフフフフ・・・悪く思うなよぉ・・・。お前さんは手を出しちゃいけねぇ商売に手を出そうとしたんだァ・・・グフフフフ・・・」

「ちょっとアンタ、あんまりやり過ぎるんじゃないわよ?あたしも楽しみたいんだからサ。フフフフフ・・・。」

女が笑い、男が机にならんだ怪しげな器具に手を伸ばす。中でもひときわ凶悪なフォルムの、鈍く輝く刃物を取るとニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。・・・これはまずい。俺の頭は恐怖でいっぱいになり、自然と口から情けない言葉が漏れた。

「・・・れる。・・・ぜったい・・・」

「あぁ!?なんだァ!?ハキハキ喋れよォ!」

「これぜったい・・・あとでマキちゃんに怒られる!」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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