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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

電話普及編

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電話、普及する

【前回までのあらすじ】

・ネッコワーク爆誕
・ネコを使った音声通話が実現する
・ンナー・・・ニャニャニャニャニャニャ・・・(呼び出し音)
「はい、これでお客様のネコでも『電話』がご利用いただけるようになりました。使い方は非常に簡単で・・・」

俺は今、ハルが経営するネコ販売の店・・・ハルの店というか、自分の店だが・・・に、やってきていた。横に長く伸びたカウンターでは、5名ほどの名も知らぬ店員の女の子たちが、それぞれお客さんに電話機能の説明をしている。それにしてもハルの店はすごい。当初はネコを売るためだけの簡単な店をイメージしていたのだが、店内はネコの首輪、おもちゃ、メンテナンス用品が所狭しと並び、壁にはネコのクリーニングサービスの紹介や自分のネコを自慢するコンテストの情報などがびっしりと貼りだされている。俺にはこういうセンスはないから絶対無理だ。

店員さんたち(相変わらず怖くて話せないので名前すら知らない。みんな若い女子だから)が行っているのは、すでに販売したネコに電話機能を追加するアップデートサービスである。本当はわざわざお客さんにお店に来てもらわなくても、町中にいるネコにネッコワークから強制アクセスしてアップデートすることもできるのだけど、それはやめておいた。ちゃんと電話の使い方やネッコワークの仕組み、電話でやってはいけないこと(イタズラ電話とかその他もろもろ)などを説明し、またそれらを詳しく記載した紙のマニュアルを渡すことにしたのだ。なにせ電話というものが存在しなかった世界なので、お客さんがどんな使い方をするのか予想できない。なるべく丁寧に説明し、使い方が悪い人はいわゆる垢バン・・・使用禁止措置もありえる、という点をしっかり説明する。

「それで・・・メロンちゃんに、『電話して』っていえばいいのね?」

客のおばさんが質問している。

「はい、ネコが・・・メロンちゃんが認識している相手であれば、相手の名前や愛称を告げるだけで電話をかけることができます。メロンちゃんが知らない相手の場合、たとえばお客様から私に電話する場合であれば、『ネコの店の店員のハナコに電話』といえばかけることが可能です。他にも、『モノちゃんの主人のハナコ』など、ネコの名前と組み合わせでかけることもできます。」

「あら、あなたの子はモノちゃんっていうの。可愛らしいわね。」

「ありがとうございます。」

「ま、メロンちゃんのほうが可愛らしいですけどね?」

「ああ?なんつったお前?」

おお怖い怖い。どうしてみんな、自分のネコのことになるとすぐ殺気立つのだろう。実際、売っているネコの基本的な形に違いはなく、差異といえば模様ぐらいのはずなのに。店員さんとお客さんが取っ組み合いを始めるのは見たくないので、俺はそそくさと店の奥に引っ込んだ。

「にーさん、窓口はどうだった?」

休憩中のハル店長が声をかけてくる。店長をやっている時のハルはいつもの胸元がゆるいタンクトップではなく、白いブラウスに紺色のエプロンとスカートという、清潔感のある制服を着ている。ゆるくないのは多少残念だが、これはこれでかわいいので好きだ。

「ネコは人を狂わせるということがわかった。」

「・・・?ま、おかげさまで新しい売上ががっつり入ってるし、アタシは助かってるよ。」

そう、電話サービスは有料である。といっても月に500ボルで定額という、超低価格だが。原価なんて俺が徹夜でプログラムを書いた人件費ぐらいしかかかっていないのでタダにしようと思ったのだが、ハルに却下された。

「なんでタダじゃだめなの?俺としてはみんなに使ってもらって、はやく電話を普及させたいんだけど。」

「にーさん、考えてみて。もし無料でスタートして、将来、この電話サービスが私たちだけじゃ管理できないほど大きくなって、人をたくさん雇う必要が出てきたらどうする?給料を払うためにいきなりお金をとるぞ!って言い出して、お客さんたちは納得すると思う?」

「う・・・」

「それまでタダだったものを有料にしたら、怒る人がたくさんいると思うよ?それに、お金をとるにしたって、誰からどうやって払ってもらうのか、仕組みを考えないといけない。どこの誰が電話サービスを使ってるのか、調べるのは簡単じゃないでしよ?最初からきちんと窓口で顧客名簿を作って、管理でもしない限りはね。」

「ぐぬぬ・・・」

「わかった?」

「わかった。」

本当にハルの商売センスはスゴい。ハルのほうが実は俺より高度な文明で冷凍されていて、最近目覚めたとかじゃないのか。

「ご主人様は、自分のやりたいこと以外に興味がなさすぎるのですわ。お金のこととか私のこととか私のこととか私のこととか、もっと興味を持つべきことがあると思われます。」

それからの展開は早かった。1月もしないうちに町の電話普及率は90%を超えた。・・・これはつまり、町の人たちの90パーセント以上が自分のネコを持っているということになる。度が過ぎたネコの町だ。町のいたるところでネコとおしゃべりしている人を見かけるようになり、そこかしこでニャニャニャと鳴く声、つまり着信音が鳴り響く。商売に電話を使うのも当たり前になり、ネッコワークを利用した電話はあっという間に生活に欠かせないインフラの1つにのし上がったようだ。

「うーん・・・しかし・・・うーん・・・。」

「ご主人様、どうかされまして?」

「いや、失敗したことがひとつあるんだ。」

「あら、こんなに順調に計画が進んでおりますのに、一体なんでしょうか?」

首をかしげる美しいメイドさんに、俺は心の底の後悔をぶちまけた。

「名前だよ!『電話』って、そのまんまじゃん・・・。テレニャンとか、デンニャとか、色々考えたのに・・・。」

「・・・とりあえず、ご主人様を心配するだけ損だということは再認識いたしましたわ。」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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