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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

ネコ誕生編

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プラズマライフルの林、本格稼働

「いらっしゃいマセ。大型重機を狙撃するタメの大口径カスタムライフルですネ。はい、お客様のお身体に合わせて調整させていただきマス。いえ、たった今、我のアイカメラで計測させていただきまシタので、お手数はおかけしまセン。ご一緒にHEAT弾薬はいかがでスカ?」

ここはランスさんの店のカウンター。スラスラと流れるように、かつ丁寧に接客しているのはウォーリーだ。改造してからわずか3日、すでに完璧に接客をマスターしている。動きもかなり滑らかになり、すでに人間の動きと見分けがつかないレベルだ。四角い豆腐みたいな頭は近所の人から「変わったお面をつけている人間」だと思われているらしい。お客さんが途切れてウォーリーが店内の掃除を始めると、店のバックヤードからランスさんが出てきた。

「おうウォーリー、お前さんのおかげで売り上げが絶好調だな。作業にも集中できるし、最高に助かってるぜ。」

「ランスさん、もったいないお言葉デス。ランスさんの腕が確かなので、我も自信を持って売りまくれるのデスよ。人とたくさんお話できるのも嬉しいデス。」

「へっ!ありがとうよ!あとで手が空いたら射撃ブースに来てくんな。ちょっと新作の調整を手伝ってくれ。」

「今、大丈夫デス。試射は楽しいから楽しみデス。デカイ銃がイイデス。」

「ロボットのくせに、わかってる野郎だなお前さんは!」

ランスさんに背中をバシバシ叩かれながら、並んで歩いていく。2人とも身体がムキムキでゴツいので、並んで歩くとなかなかの威圧感だ。・・・それにしてもあいつ、ランスさんと仲良くなりすぎじゃね・・・?昨日あたりから、銃の調整や簡単な作業も手伝っているらしい。射撃に関しては3500年の実績があるから、大いに役立つのは間違いない。

「ホントに、びっくりするほど馴染んでるねー・・・アタシは店番嫌いだったし、助かるよ。」

俺と一緒にウォーリーを観察していたハルが言う。

「そうなの?なんで?ハルは店番、得意そうじゃない?」

ハルのかわいさなら、それはもう評判の看板娘になるだろう。胸元がいつも油断してる美少女がやってる店が近所にあったら、俺だって用もないのに足を運びかねない。

「得意かどうかって言われたら得意だけどね。・・・なんかね、用もないのに店に来る男の客が多いんだよ。買い物もしないでくだらない話ばっかりしてさ。ガイもしょっちゅう来てたし。とーさんがある程度は追い払ってくれるんだけど、キリがなくてね。」

ああ、なるほど。それはたしかにありそうだな。なにせハルはカワイイし、胸元も油断してるし。今後はハル目当ての冷やかしは減って、ちゃんとした客が増えるだろう。ウォーリーがいればほとんど24時間営業みたいになるし、せっかく来たのに店がやってない!とお客さんを困らせることもなくなる。ウォーリー本人も楽しそうだし、万事解決ってやつだ。

「さあ、次はプラズマライフルの林を見にいこう。」

俺とハルは、自宅兼店舗から歩いて数分のプラズマライフルの林にやってきた。ナナによる最初の超高速耕作からわずか数日、すでにここは何もない空き地ではない。約2メートルの高い塀で囲まれ、敷地の中には高さ8メートルほどの木が等間隔にびっしりと生い茂る、立派な林が完成していた。

入り口に設置した金属製の門を押して入ると、ナナが大笑いしながら白い粉を木の根元に撒いて回っているところだった。その後ろをクロがシッポを振って追いかけている。

「おーい、ナナ!おつかれさん!」

「あ、おとーさん!ハルおねーちゃん!ナナがんばってるよー!ほめてほめてー!」

「おお、超えらいぞ。おかげで木が立派に育ってるな。やっぱりこの仕事をナナに任せて正解だった。」

「それにナナちゃん・・・かわいすぎるわああああああああああああああああ!!!」

「えへへーーーー!ほめられたーーーーー!!えへへへへーーーーー!」

ナナは顔や身体を白い粉・・・たぶん石灰・・・まみれにして笑い、ハルにぎゅうぎゅう抱きしめられている。今日はワンピースではなく、作業用のツナギに麦わら帽子というスタイルなので、思いっきり汚してくれてかまわない。どちらもハルが小さいころ使っていたものを貰ったのだ。人形のように白い肌と銀色の髪が美しいナナにバリバリの作業用ツナギはどうかと思ったが、着せてみると案外似合っているし、汚れを気にして走り回れない白いワンピースを着ているよりずっと子どもらしくみえる。何より本人が楽しそうだ。

「ご主人様、木の育成状況はこの上なく順調です。もう物資の生成を始めてもよろしい頃合いかと。」

林全体の情報取得を完了したマキちゃんが報告してくれる。この林は一見すると普通の林だが、その実態は高度に管理された物資生成プラントである。現在のプラズマライフルの木は124本。どの木も根元付近にアクセス用のコネクタがあり、全ての木のコネクタにケーブルが接続してある。ちなみにこの大量のケーブルは、ガイにあげたケーブル生成器で作ってもらった。

「マジっすか・・・124本・・・全部100メートル以上・・・?しかも屋外仕様で・・・参ったなー、これは徹夜だなー。ケーブル生成で徹夜だなー。」

と嬉しそうに話していた。俺としては機械を貸してくれれば、寝なくても平気なナナかウォーリーあたりにやってもらうつもりだったんだけど。徹夜明けのガイが「寝てないわーマジつれーッスわー」と楽しげに話していたので、まぁアレはアレで良かったんだと思う。

話がそれた。124本の木に接続したケーブルは、土地の端っこに作った掘っ建て小屋まで伸びている。小屋の中には大量のケーブルを収容するためのハブと呼ばれる機械があり、ハブに124本のケーブルが全て接続されている。さらにハブは小型のサーバー・・・コンピュータのこと・・・と、無線通信装置に繋がっている。要するに、124本のデータをサーバが自動的に収集し、集めた情報を無線でマキちゃんに飛ばせるようになっているのだ。みんなで協力して目隠し用の壁を作り、ケーブルをつなぎ、小屋を建てた。といっても大半の作業はナナとウォーリーがありえないほどの高速でやってくれたので、1日もかからずに終わったわけだが。とにかくこのシステムのおかげでマキちゃんが直接124本もある木に1本1本アクセスして情報を収集する必要はなくなったし、座ってお茶でも飲みながら木に命令を出して、物資の生成をすることもできる。木の管理も簡単で、マキちゃんが木の成長速度や大きさをコントロールし、土壌をナナが完璧に管理することで最高の状態を維持している・・・俺は特に何もしていない。あれ?本当に何もしてないな。俺、いらなくない?

「にーさん、これ、とーさんから預かってきた探してる部品のリストね。」

ハルが10枚ほどの紙束を渡してきた。1枚ごとに必要な部品や武器の詳細が手書きで書いてある。丁寧な絵と説明文は、ワイルドなランスさんの外見からは想像できない。

「じゃあ、マキちゃん、やってみてくれる?」

「承りました。部品の生成を開始します。」

掘っ建て小屋の前に、壁を作ったときに余ったガレキが積んである。ナナに頼んでいくつか座りやすい高さに並べてもらって椅子代わりにし、簡単な休憩スペースを作った。5分も待っていると、クロがせっせと俺の前に、生成が終わった部品を並べていく。結局、10分もかからずにランスさんのリストは完了してしまった。早い。

「にーさん、もう全部揃ったの⁉︎GR-3199用のロングバレル、エルゴノミクスグリップ・・・大型プラズマドライブ用の磨耗してないカムシャフトも!こんなの探そうと思ったら、何ヶ月かかるか・・・。」

「思ったより早かったな・・・マキちゃん、林への影響は?」

「ほぼ影響ありません。この程度でしたら、1日に100回行ったとしても問題なく林を維持できますわ。」

「おお・・・やっぱり野生の木より、ちゃんと管理してる木のほうが強いのかな。」

「はい、ご主人様。大量の部品を生成できるように土からしっかり管理しておりますので、一般的な野生の木と比較して1500%の耐久性があると予想されますわ。」

マキちゃんがドヤ顔で胸を張った。プラズマライフルの林計画を取り仕切ったのは実質マキちゃんだから、好きなだけドヤってほしい。俺、なんにもしてないし。

「すごいねーにーさん!この林があれば、もうとーさんが部品探しに困らなくていいね。・・・ところでさ、思ったんだけど。」

「ん?なぁに?」

「こんなにすごい林を作らなくても、2、3本ぐらい木を植えれば十分だったんじゃない・・・?」

「・・・やっぱりそう思う?だよなぁ・・・。」

えてしてハッカーという人種は凝り性だ。ひとつのことを始めると際限なくなくこだわるし、楽をするためにものすごく苦労して高度なシステムを作り上げてしまう。今回はまさにそれをやってしまった。

「なにするかなぁ・・・この林で・・・。」

なにかすごいことができるのは間違いない。適当に高く売れるものを生産しまくるだけでも簡単に金持ちになれるだろう。なにせ元手がほとんどかからず、武器や兵器が生成しほうだいなのだ。しかしせっかく作った林、もっとなにかすごいことに・・・せめて人の役に立つことに使いたい。

ハルと2人でうんうん考え込んでいると、林の中からガイがやってきた。

「どうしたんスかふたりとも?何のケーブルのことで悩んでるんスか?」

ものは試しとガイに質問してみたところ、間髪入れずに答えが返ってきた。どうせケーブル絡みの物資を作れ、とか言うんだろ・・・と思っていたが、そうではなかった。

「そりゃもうこんな世の中ですから、クロみたいなボディーガードを作りまくるべきでしょう!野盗とか野生のナマモノに殺される人がグッと減ると思いますよ。」

「おっ・・・ガイにしてはまともな意見だな・・・!絶対ケーブル生成器を量産しろとか言うと思った。」

俺の言葉に、ガイは納得いかない顔で反論した。

「アニキ・・・それはだって・・・言わなくてもやるでしょ?」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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