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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

ジャングル脱出編

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機械のジャングル

「マキちゃん、トンボだよ。俺、初めて見たよ」

「ご主人様、コンピュータのいじりすぎで視力がクソ以下になられている可能性をご報告させていただきます。あれはネジです。」

目の前を、羽の生えたネジが飛んでいく。普通のトンボかと思ったが、なるほどよく見たらネジだった。昔の機械に使われていたミリネジだと思う。意味がわからない。わからないが、樹液に群がるカブトムシをよく観察したらツノの部分がマイナスドライバーだったし、でっかいムカデが出てきてギョッとしたけどよく見たらCAT20Eという見慣れた規格のネットワーク用ケーブルが這い回ってたりしたので、もう気にしないことにした。俺の知っているケーブルは這い回ったりしないのだけど、ケーブルムカデの身体に「CAT20E 50cm」と書いてあったから間違いない。成長したら「50cm」の部分は更新されるのだろうか。いやいやケーブルが成長するわけないだろ。いやケーブルなのかアレ。頭が痛い。

このジャングルはおかしい。人工物と自然の境目がメチャクチャである。

とにかく、この状況の説明が欲しかった。どこかに人間はいないのだろうか。いや、ある程度の知能があって、言語が使える生物ならなんでもいい。冷蔵庫だろうがストーブだろうが、喋れるヤツならもうなんでも大歓迎する。何語だろうが左腕の口の悪いメイド型AIが翻訳してくれるはずだ。プラズマライフルを肩に担いで、もう12時間以上ジャングルをうろついていた。体内のナノマシンが老廃物を栄養分に再構築し、すべての細胞をベストなコンディションに維持している。疲れや空腹、のどの渇きはまるで感じない。蒸し暑さにもすぐ慣れた。このまま何日でも、何ヶ月でも、たぶん何年だって余裕で歩き続けられるだろう・・・頭がおかしくならなければだが。こんなに冷静でいられるのは、ナノマシンが脳内物質をコントロールしてくれているのと、マキちゃんがいてくれるおかげだろう。

当面の問題は他にある。このジャングル、猛獣が襲ってくるのだ。

最初に遭遇したのはトラクターだった。みんな知らないかもしれないが、トラクターは大昔に畑や田んぼで活躍していた機械である(と、マキちゃんが教えてくれた)。トラクターは農耕に役立つ機械であって猛獣ではないはずなのだが、ここではそういうわけでもない。俺だって、見つけた時は乗り物として使えるかと思って喜んだのだ。しかし、こちらを見つけたトラクターは信じられないスピードでこちらに向き直り、すさまじい勢いで体当たりしてきた。もちろん運転席には誰も乗っていない。慌てて木が密集した場所に飛び込むと、木を倒そうというのか、狂ったように体当たりを繰り返してくる。ミシミシと木が傾き、トラクターの車輪が俺の眼の前で凶悪に暴れる。このままだと、トラクターに殺されそうだ。マキちゃんが「ご主人様、私を少し先の安全そうな場所に投げてください。食べられる前に。ほら早く」とか言っている声が聞こえるがもちろん無視する。傾いた木々の隙間から暴れるトラクターを狙い、プラズマライフルを数発撃ちこむ。プラズマ弾はトラクターのボディを易々と貫通し、小さな穴をいくつも作った。

動かなくなったトラクターを間近で観察する。ヘッドライトの部分をよく見ると、ライトの中にカメラのような、センサーのような部品がある。目だろうか。目の下のほう、車体の底面を覗き込むと、ギザギザの歯が並んだ、生き物っぽい口が付いているのがわかった。やはり俺を食べようとしていたようで、今さらながら全身に鳥肌が立つ。

「やはり、ご主人様を捕食しようとしていたようですね。こんなに不健康でマズそうなのに。」

「腕時計に言われたくない。」

襲ってきたのがトラクターだったから良かったようなものの、これがもっと大きな機械や戦闘向きのロボットだったら脅威だ。俺は基本的に不死身かもしれないが、機械に食われて無事かどうかははっきり言って分からない。大型の機械の腹の中で永遠に消化されながら再生し続ける運命とか・・・考えるだけで発狂待ったなしである。プラズマライフルは強力だが、所詮小さい穴を開けられるだけで、大型の機械に致命傷・・・機械だけど致命傷でいいのか?・・・効果的にダメージが与えられるかどうかはわからない。それに自慢じゃないが、俺はインドア派だから射撃はヘタクソだ。幸いにしてここは鬱蒼としたジャングルなので、大型の機械がいたとしても自由に走り回れるようなスペースは少なく、また盾にできる樹木も豊富である。マキちゃんのレーダー機能も活用すれば、危険は最小限に抑えれるだろう。

・・・と思っていた時期が、俺にもありました。

現在。俺は大ピンチを迎えていた。木の上、地面、360度あらゆる方向を、手足が生えた小型の機械が取り囲んでいる。その数、ゆうに100台以上。

「124台ですわ、ご主人様。あ、さらに12台の群れが向かってきております。大人気ですわね。」

絶望的な数字をご親切にどうもありがとう。ウキーウキーとサルのような声を出し、サルのように樹上を自在に飛び回り、大軍が連携して俺を追い詰めていた。プラズマライフルを何度も撃つが、当たらない。俺はインドア派だから、射撃がヘタクソなのだ。適当に連射したプラズマ弾が、偶然近くにいたサルに命中する。地面に転がったサルは、よく見ると手足が生えた炊飯器だった。

「ズージルシ製、5号炊きタイプの炊飯器に酷似しています。・・・ご主人様はわびしい1人暮らしですから、もう少し小さいタイプをオススメいたしますわ。」
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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