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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

モノリス遺跡編

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無呼吸

『ご主人様、足元には細心の注意を払ってくださいませ。わずかでも音を立てたらそれまでですわ。どうしても私と心中したいというのであれば、まぁお付き合いしないこともありませんが・・・。』

エレベーターを出て、一本道になっている廊下を進む。静かに静かに、とにかく静かに。俺の身体は光学迷彩で透明になり、当然声を出せないのでマキちゃんとの会話はすべて神経接続で行っている。

角を1つ曲がると、20メートルほど先に空間が広がっているのが見えた。正面に、休止状態のロボット・・・グレートウォールがダラリと天井からぶら下がっている。イメージより、ずいぶん大きい。上半身だけというデザインだが、それでも俺の身長の1.5倍はありそうだ。完全に脱力していて、すっかり機能を停止しているように見える。グレートウォールまでの廊下は一本道だが、進むのは非常に難しい。というのも、ここまでやってきたレイダーたちの死体や装備が散乱しているのである。バラバラだったり、骨だったり、燃えカスだったり、ミイラ化していたり・・・。それらは道のそこかしこに散らばっていて、踏んだりぶつかったりすれば、小さくない音を立てるだろう。足の踏み場を慎重に選ぶ必要がある。

『ビルの管理機能が停止しておりましたので、掃除がされていないようですね。』

『これ、ひとつでも踏んだらヤバそうだな。』

『ええ、ちょっとした物音で、次の瞬間には消し炭ですわ。くれぐれもご注意くださいませ。』

他人事のようにマキちゃんが言う。AIにも自己保全欲求ってあるんじゃないのか。なんでこんなに死を恐れないんだ。400年越しの肉体への欲求のなせる技だろうか。だとすればほぼ俺のせいだ。ごめんなさい。土下座するから帰っていいですか。

『もう1メートル進んだら、呼吸も止めてください。呼吸音を探知される可能性がございますわ。ご主人様は息なんかしなくても死にませんから。』

『マジですか・・・これ、俺よりクロの方が適任なんじゃない?』

『クロに光学迷彩の機能はございませんし、なにより犬型ロボットはドライバーが回せませんわ。』

『あいつ最近、役に立ってなくない・・・?』

『ご主人様は今まさに初めて誰かの役に立っているところですから、クロのことは言えませんわね。』

『ですよねー。』

呼吸を止めても体内のナノマシンが酸素を合成してくれるので、確かに死にはしない。しかし無意識に行っている呼吸を完全に止めるのは意外と難しいものだ。息を止め、足元に最大限の注意を払いながら、とにかく慎重に進む。

・・・それにしてもグレートウォール、全ッ然動かないんですけど。あいつ、ホントはもう壊れてるんじゃないの?ひょっとしてこの状況、マキちゃんによる壮大なドッキリか?グレートウォール(笑)。

その時、2メートルほど前方の壁の一部が崩れて、拳ほどの大きさのブロックが落ちた。内装が老朽化していて、些細な振動や空調の風で剥がれてしまったのだろう。

瞬間、グレートウォールの目に赤い光が宿り、その全身にエネルギーが満ちた。西部のガンマンのごとき早撃ち。まばゆいレーザーの閃光が走り、ブロックがあったはずの場所には直径30センチ程度の、白い煙を上げる綺麗な円形の穴が出現していた。

なるほどやばい。俺は微動だにせず、目の前の穴を見つめている。背中を冷たい汗が伝っていくのを感じた。こいつはヤバイ。マジでヤバイ。お前のビームで俺がヤバイ。

『光学兵器で良かったですわ。もし今のがレールガンだったら、衝撃波だけでご主人様の身体はバラバラでした。さすが、ご主人様は幸運ですわね!』

なに言ってんのこの人。軽く狂気を感じるんですけど。グレートウォールはそのまま10秒ほど自分の開けた穴を見つめた後、再び脱力した。目の光が消える。また休止状態に戻ったようだ。

『マキちゃんさん、相談があるんですけど。』

『なんでございましょう、ご主人様。撤退以外のお願いであれば、なんでもお申し付けくださいませ。』
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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