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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

決戦編

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核心と罠

【前回までのあらすじ】

・エドとナナ → エキィーンキングと決死の戦闘中
・ハル・ランス・クロ・その他チーム → 遺跡の入口で防衛 ハル死にそう
・サリー → 20体のゴリラと乱闘中
・ウォーリー → アルティメットグレートウォールにボコられる
・主人公・マキ → 研究所へ ← 今ここ
「ここだ・・・ここだね、マキちゃん。」

そして俺はついに、第072研究所にたどり着いた。

数ヶ月前に、マキちゃんがゴリラの姿で素通りした研究所。それはどこまでも普通のビルで、地下都市の中にあるという点を除けばただの雑居ビルに見える。とても今回の騒ぎの元凶がいると思えないほどひっそりとしていて、むしろ隣のビルの方が敵の本拠地っぽいぐらいだ。

っていうか隣のビルは煌々と電気が付いているし、外観もオシャレだ。通過してきた地下都市はまさにゴーストタウンといった風情で電気どころか人の気配すらなかったけど、なんでこのビルだけ明るいのだろうか。

「・・・隣のビルじゃ、ないよね・・・?めっちゃ電気点いてるけど・・・。」

マキちゃんは神妙な顔で、隣のビルを見ている。

「ええ、情報と本人の証言によれば、『彼』の本体は研究所にあるはずですわ。・・・しかし、これは、やはり・・・。」

「なにか知ってるの?マキちゃん?」

「ええ、歩きながらお話しますわ。先を急ぎましょう。」

俺たちは無造作に歩き出し、普通にドアを開けて研究所に侵入した。鍵がかかっているわけでもなければナマモノが出て来ることもなく、警備ロボット等も姿を現さない。ただ、薄暗いビルのエントランスがそこにある。

「以前M-NET内を漂流した時に入手したデータによれば、隣のビルは、ナノマシンの生成施設です。」

「ナノマシンの・・・?」

「ええ、ご存知とは思いますが、ナノマシンとは非常に危険な技術です。旧文明においても、その生成は厳密に管理されていました。」

聞いたことがある。

目に見えないほど小さな機械であるナノマシン。彼らは原子を直接掴んで操作することができ、そうやって自分自身を複製することもできる。もしナノマシンが暴走して地球を分解しながら自分の複製を作りまくるようなことになると、ねずみ算式に増えたナノマシンが1日とかからずに地球そのものを分解してしまうのだとか。

「ナノマシンの開発は、『基礎体』と呼ばれる、もっとも基本的な機能を持った素体を改造して行われていました。『基礎体』には何千ものプロテクトがかかっており、その改造には専用の生成施設が必要だったのです。」

「・・・それが、隣のビル?」

「はい。生成施設の稼働には、大量のエネルギーが必要です。そのために『彼』は、プラズマライフルの林で大量のジェネレーターを生成したのでしょう。・・・どうやって電力をここまで引いているのかはわかりませんが・・・。」

階段を下り、地下へと侵入する。ドアはすべて解錠されていた。マキちゃんがコピーから聞いた話が本当なら、爆破のための作業の途中で旧文明の人間は消滅させられたのだ。作業のためにドアがすべて開け放たれて、そのままなのだろう。

マキちゃんの推理は続く。

「つまり彼の目的はナノマシンです。旧文明を消滅させたのと同じテラフォーミング用のナノマシンを、再び作り出し、世界をまた作り変えるつもりなのでしょう。」

その時、研究所のスピーカーから聞き慣れた声が響いた。暗い廊下に響くその声は、とても聞き覚えのあるもの・・・俺の声だ。

「ご名答!その通り、さすがだね、マキちゃん。ちなみに電力はツチモグラに穴を掘らせて、ケーブルを引いてるんだよ。意外と地道でしょ?」

「ご主人様・・・いえ、『元』ご主人様。ご無沙汰しておりますわ。」

マキちゃんの皮肉に満ちた言葉に、しかし彼は動じない。

「はっはっは・・・マキちゃん、今、正気に戻してあげるからね。君は俺のものだ。」

「いいえ、私はこちらの・・・生身のご主人様のものですわ。身も、心も、髪の毛一本、データの1ビットに至るまで、全て。」

あまりに堂々と宣言するマキちゃんに、俺は思わず真っ赤になってしまう。見れば、マキちゃんもちょっと赤くなっている。なんだこの可愛い生き物は・・・!

「・・・。」

それきり黙ってしまったコピーを気にすることなく、俺は地下の真っすぐ伸びた廊下をじっと見つめる。いくつもドアが並ぶ中、ひとつだけ半開きになっているドアを見つけた。コピーを始末する作業の途中でそのままになっているとしたら、ドアが開けっ放しだったりするかもしれない。そう思って、真っ先にその部屋を目指した。

「・・・あれ、か?」

その部屋は、大きなガラスで真ん中から仕切られている。そのガラスの向こう側に、黒くて一抱えぐらいある、ホコリをかぶった箱が置いてある。数本のケーブルが伸びていて、チカチカとLEDが光っていた。

人間が1人はいっているとは思えないほど、静かに。

人間が1人はいっているとは思えないほど、粗末な。

そんな箱だった。

だが、きっとアレだ。

間違いなく、あれがコピーの本体なんだ。なぜかわからないが、そんな確信があった。

俺は勢い良く、部屋に足を踏み入れる。終わらせよう、そう思った。

「・・・死ね。」

その時だった。

突然、天井から2機の機銃が出現した。俺はまったく反応できなかったが、問題ない。俺の身体、服の下に巻きつけてあった触手【ホワイティ・ラバー】が飛び出し、弾丸が吐き出される前に機銃を叩き壊したからだ。

最新バージョンのホワイティ・ラバーは、俺が作ったプログラムによる制御ではない。動かしているのはマキちゃん自身。無敵である。

しかしその時、俺の、俺たちの注意は確実に上方に集中していた。いつの間にか背後に立っていた小さなロボットの一撃を避けることができず、俺の背中に小さな穴が開いていた。

「・・・!申し訳ありません、ご主人様!」

マキちゃんがすぐに背後のロボットを叩き、攻撃はそれきりだった。背中に穴が開いて血がダラダラ出ているけど、いつものことだ。すぐに治るだろう。

「大丈夫だよ、マキちゃん。それより、はやくコピーのヤツにトドメを・・・」

そう言いかけたところで、急に視界が暗くなった。

足がふらつき、立っていられない。

吐き気もしてきて、ゲエゲエ吐いた。思えば、ゲロを吐くのは産まれて初めてかもしれない。苦しい。

おまけにガラスの前に鋼鉄のシャッターが下りてきて、「箱」に近づくことすら出来なくなった。シャッターは目視できるほど強力なプラズマ防壁が展開されていて、どうにかハッキングしないと物理的に破壊するのは無理そうだ。

「ご主人様・・・ご主人様!?」

フラフラと進み、そして地面に倒れた。穴が開いた背中が熱くて、身体は寒い。スピーカーから勝ち誇る「俺」の声がした。

「はっはっは・・・!俺が何も、備えていないと思ったのか?」

「コピー様・・・一体、何を!?」

「なあに・・・ちょっと薬を打ってあげただけだよ。彼の身体を蝕む悪いナノマシンを無効化する薬を、ね。」

ナノマシンを・・・無効化?そんなことができるのか?

ああ、ナノマシン生成施設が隣にあるもんな。ナノマシンを破壊するナノマシンとか作れば、できるのかもしれない。

じゃあこれはアレか、背中を撃たれて死にそうなのか。

撃たれるとこんなに辛いのか。知らなかった。銃社会、マジ反対。

朦朧とする意識の中、コピーの声とマキちゃんの声が重なる。

「ご主人様・・・しっかりしてください、ご主人様!」

「お前のせいで少しだけ計画が遅れたが、これからテラフォーミング用ナノマシンを生成する。お前はそこで、自分の無力さを後悔しながら死ね!はっはっは・・・!」

こいつ、マジで典型的な悪役みたいなこと言うなぁ・・・ホントに俺なのか?ちょっと凹むわぁ・・・。
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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