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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

放浪編

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放浪

【前回までのあらすじ】

・マキちゃん、いなくなる
・主人公、家出する
「そろそろか・・・。」

俺はたったひとり、焼け付く荒野を歩いていた。

家を抜けだし、町の外壁をすり抜け、それから3日間休まず歩いて目的地に到着した。痕跡は一切残さなかったし、今こうしている瞬間も荒野に散らばるレーダーウサギの目に干渉して発見できないようにしているので、誰も俺の居場所を見つけることはできないだろう。レーダーウサギに干渉すると言うとハッカーっぽい雰囲気子が出るが、実際には元々ネッコワークに関する全ての権限を持っているので全然難しいことはない。

それにしても、なぜここまでして1人になろうとしたのか自分でもわからない。マキちゃんを失って、ひとりで引きこもっていた頃の俺に戻ってしまったのかもしれない。人間キライ、孤独ダイスキ。

「ここだ・・・デカイな・・・。」

目の前にあるのは直径1キロはありそうな巨大なクレーター・・・ここは研究所の爆心地、厳密に言えば研究所は空中で爆発したので、爆心地直下の大地だ。クレーターの周囲をよく観察すると、まばらではあるがアンドロイドや建物の残骸が落ちているのが目に入った。ここに来るまでにもたくさんの残骸を見つけた。半径数百キロという広い範囲に研究所は飛び散ったと推測される。

「あそこが中心で・・・それから・・・」

この地点からでも、付近にいるレーダーウサギを利用してネッコワークにアクセスすることができる。ネッコワーク上に残る、過去に空飛ぶ研究所を撮影した画像データ。それと、現在目視で確認できる無数の残骸。これらをデータとして端末に打ち込み、爆発時の状況を正確に再現するのだ。完全にあの爆発をシミュレーションできれば、マキちゃんの残骸が・・・もし残っているのであれば、だが・・・どこに飛ばされていったのかを知ることができるだろう。

そのためには、一つでも多くのデータが必要になる。俺はクレーターの周囲を黙々と歩き周り、小さいものから大きいものまで、ありとあらゆる残骸のデータを打ち込んでいく。時々、アンドロイドの腕や脚が落ちていてドキリとさせられるが、どれもマキちゃんのものではない・・・おおざっぱに計算しても、爆発の中心にいたマキちゃんの腕や脚が原型を留めている可能性はほとんどゼロだ。

「ギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョ」

突然、岩のかげから何かのナマモノが飛びかかってきた。俺のナメクジ程度しかない反射神経ではその攻撃を避けきれず、正面から思いっきり体当たりされて地面に転がる。肋骨が折れて口から少し血が噴き出した。見れば襲い掛かってきたのは6本の脚がついた電子レンジ・・・たしかレンジムシとかいうナマモノだ。大して危険なナマモノではないが、普通に考えて電子レンジがすごい勢いで体当たりしてくれば大怪我する。わかっていたことだが、やはりこの世界は危険である。

「ギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョ」

レンジムシはバクバクとドア・・・いや、口を開閉させながら近づいてくる。獲物をしっかり弱らせたと確信しているのだろう。食いちぎった相手をマイクロ波でしっかり加熱し、分解しやすくしてから消化するらしい。

しかし俺の方は肋骨を砕かれたぐらいではどうということもなく、地面に転がったまま冷静に高性能端末のキーを叩いた。俺の背中から二丁の拳銃・・・プラズマピストルが飛び出し、レンジムシに銃口を向ける。銃は俺の手ではなく、背中から生えた2本の「白い手」によって持ち上げられていた。

「不意打ちされるとびっくりするな・・・」

二丁のピストルから発射された緑の光弾は、正確にレンジムシの身体を貫く。ドアからよだれを垂らしていた家電の怪物はグシャリと地面に倒れて動かなくなった。それを見届けると、二丁の拳銃を持った白い手はまた俺の背中に戻っていく。

ホワイティ・ラバー。

それがこの白い手の名称だ。俺がこの過酷な世界をひとりで旅するために開発した自動攻撃システム。その正体は、俺の部屋に残されていた例の白い触手である。マキちゃんが残していったそれは不定形のロボットであり、プログラム次第で動作も形も自由に変更できる。射撃が絶望的にヘタクソな俺は、俺の代わりにこの触手に射撃してもらうことを思いついた。普段は俺の身体に巻き付いているが、ひとたび指示を出せば服の下から飛び出し、敵に正確無比な射撃をお見舞いするのだ。プラズマピストルはもちろんランスさんの店から拝借したので、その性能は折り紙付き。ちなみにホワイティ・ラバーは白い恋人という意味だ。我ながらオシャレなネーミングで、エドにも負けていないと思う。

「自動で攻撃するように改善するか・・・いや、それとも防御機能を付けるか?」

服に付いた土を払いながら立ち上がり、俺は探索を再開した。俺が探しているのはもちろん、マキちゃんの中枢ユニットである。彼女ならきっと・・・あの状況でも、中枢ユニットを保護したはずだ。ボディ全体は無理でも、小さな中枢ユニットだけなら守りきれた可能性はある。もしそうなら・・・きっとそうだが・・・俺が中枢ユニットからマキちゃんを回収すればいい。ボロボロの雑巾のようになったレイの中枢ユニットでさえ、AIデータを回収することができたのだから。

「マキちゃん、きっと・・・きっと見つけてみせるから。」

大事な人が命をかけようとしたあの時、俺は全身をダクトテープで巻かれてモガモガ言うことしかできなかった。我ながら情けない、情けなすぎて自分に止めどない怒りが湧いてくる。もう二度とあんな目に会うのはゴメンだ。俺は強くなる。なってみせる。もう絶対に、モガモガいうようなことにはならない。マキちゃんを守れる男になるのだ。絶対にモガモガだけは言わないぞ。

その時、岩のかげから新たなレンジムシが飛び出して、俺の頭に飛びついた。すぐにホワイティ・ラバーがゼロ距離射撃でぶち抜いたが、、硬直した残骸はがっしりと俺の頭をつかんで離さない。こいつ・・・離れろ、この!この!頭を覆われた俺の口から、くぐもった声が漏れた。

「モガモガ・・・」
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勇者様はロボットが直撃して死にました
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