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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ- 作者:じいま

町での生活編

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12/202

帰宅

「いやーこいつら結構貯めこんでるねぇー!装備も売ればかなり良いお金になるし、こりゃ襲われ得だったよー。」

ハルが野盗の死体を漁りながら楽しげに笑っている。さっきまで真っ青になって震えていたのに、荒野の天使はタフである。ハルの横には、主人のはずの俺をほったらかして、クロがついて回っている。さっき褒められたのですっかりハルに心を許したらしい。ハルが笑うたび、シッポを振ってワフワフ吠えている。この自立兵器ちょろいぞ。大丈夫か。

「おいハル、こいつらを始末したのはこのニーチャンのイヌだ。戦利品はニーチャンのモンだぞ。」

ランスさんが渋い声でいう。片手には野盗の生首。こいつらが賞金首の場合、首を持っていけば賞金が出るらしい。さっきから死体の首を大きな電熱ナタで切断しては、大きな袋に放り込んでいる。こわい。

「いやいや、俺じゃ換金の方法も分からないですし…。山分けってことで。」

『ご主人様、貰えるものは貰ってください。お金があれば、私のボディが買えるかもしれませんわよ。私のボ・デ・ィ・が。』

マキちゃんの戯れ言はさておき、賞金は山分け、そのかわりしばらくの間、ランスさんの家に厄介になることで納得してもらった。せっかく出会えた親切な人たち、もう少し落ち着くまでお別れしたくない。

『ご主人様、若い女性とひとつ屋根の下に1ヶ月居住した場合、現実にラッキースケベが起こる確率はおよそ0.15%です。』

コラ!ロマンを数字で語るんじゃない!…じゃなくて、そんなつもりじゃない!じゃないよ…じゃない、と思うよ…たぶん。

戦利品漁りもそこそこに、ジープにランスさんとクロが乗り、野盗の武装車両にハルと俺が乗って出発した。武装車両は貴重らしいので、多少プラズママシンガンで穴があいていたとしても持っていかない手はない。俺は運転できないので、運転はハルが担当する。野盗どもの死体は首から上以外は捨てた。武装車両の後ろには、野盗どもが乗っていたバギーをロープで数珠つなぎにして3台ほど牽引している。

驚いたことに、お金というのは紙幣や硬貨ではなく電子マネーだった。残額が表示された黒いカードがそれで、カード同士を近づけて操作するだけで、簡単にお金がやりとりできる。俺も野盗の1人が持っていたカード(ハルはサイフ、と呼んでいた)を拝借した。サイフを作っている職人がいるのかと思ったが、これは水辺や湿地帯にたくさん自生していて、ものすごくありふれたものなんだそうだ。本当によく分からない世界だ。電子マネーなら、うまいことハッキングして残高を書き換えたりできるかもしれない。たぶん犯罪だろうから実際にお金を増やしたりするつもりは今のところないが、ハッキングできるかどうかだけは試してみたい。試すぐらいいいじゃん?

その後の道のりは順調だった。きっかり1時間後、俺達は町に到着した。

高さ5メートルほどのコンクリートの壁が四方を囲む小さな街である。俺たちは壁にいくつか設けられた門のうちの一つ、東門の前で停車し、門番と話をしている。

「ランスさん、おかえりなさい。帰りが遅いので心配していました。」

門番は意外にも女性であった。それも美人である。軍服らしい服を身にまとい、頭には軍帽。帽子の下には、きれいな金髪がきっちりまとめられているのが見える。門番らしい、しっかりした立ちふるまいに感心する。俺が知っている門番はみんな電気で動いているから。

「おうエリスさんか。途中で野盗に襲われてな。偶然一緒になったこのニーチャンが撃退してくれた。13人いたが、頭はひとつ残らず回収してきたから、確認してくれ。」

「やっ…野盗ですか!?ついこの間、掃討作戦を行ったばかりだというのに…。とにかく、ご無事で何よりでした。ランスさんは…その…この町になくてはならない方ですから。」

『門番さんの自立神経が興奮しているのを検知しましたわ…あらあら?』

マキちゃんが不要な情報を報告してくれる。しかしこういう不要な情報は大好物だ。なるほど、門番さん・・・エリスさんか、彼女の視線に熱っぽいものを感じますなぁ…ほほう…マッチョおじさん好きですか…ほほう…。ニヤニヤしながら観察していると、ハルに不審な目で見られてしまった。いかんいかん。

「すまないがちょっと疲れてな。首は置いていくから、詳しい話は明日でもいいか?」

「はっ承知しました!明日、ランスさんのご自宅に伺わせていただきます?」

「いつもいつも、ワガママいって悪いな。」

「いっいいえ、そんな…おいお前たち!ランスさんから首をお預かりして、すぐに照合だ。」

どこからかエリスさんの部下らしき人が2人走ってきて、ランスさんから13人分の首が入った袋を受け取っていった。ランスさんは片手で持っていたが、彼らは2人がかりだ。そりゃ重いよな…13人の頭だもんな…。どうなってんだこのオッサンの筋肉は。

再び車に分乗して、門を抜ける。時刻は夕暮れ時。空は赤く、まもなく太陽が沈む時間だ。初めて見る町にはほとんど高い建物がない。木造ではない、コンクリかセラミックか強化プラスチックか…白いのっぺりとした建物がいくつも並んでいる。道にはまばらに人が歩いていて、車も少ないが走っている。どこからか美味しそうな匂いがしてくる。この世界でも食べられそうなものがあるようで、少し安心した。メインストリートらしい大通りをゆっくりと走ると、時々ジープを運転するランスさんに手を振る人がいる。どうやらランスさんはこの町の重要人物で、人気者のようだ。並外れたマッチョだからかな。俺も筋肉つけたら人気者になれるかな。

5分ほど進んでから細い路地に入り、まもなく停車した。どうやら家についたようだ。

ハルは「ちょっと待ってて」というと先に車を降りていき、すぐに「もういいよー」と俺を呼んだ。あたりは薄暗く、景色が夕暮れから夜に変わっていく。

ハルとランスさんの家は他の家より大きいが、同じようにのっぺりとした白い建物だ。右側に大きめの店舗があり、左側の少し奥まったところに自宅用の入り口がある。暗くてよくわからないが、敷地が広いようで、まばらに草が生えた庭が広がっている。

ハルがつけたのか、玄関らしき入り口にオレンジ色の明かりが見えた。車を降りて近づいていくと、玄関で俺を待っているハルが両手を広げて、天使のような笑顔で、言った。

「おかえりなさい!いつまでになるかわからないけど、今日からここがにーさんの家だよ!」

瞬間、胸がいっぱいになった。500年生きていて、こんなに暖かく迎えられたことが何度あっただろう。ナノマシンでも抑えきれない感情が溢れて、目頭が熱くなる。こんなことで泣きそうになるなんて恥ずかしくて、思わず目をそらしてしまった。

『ご主人様、自律神経に大きな乱れを検知しました。繰り返しになりますが、ラッキースケベが起こる確率はおよそ0.15%です。』
新作の連載をはじめました。こちらもよろしくお願いします。
勇者様はロボットが直撃して死にました
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