嘘つきぃ〜PDFで表示縦書き表示RDF


一部、文章に問題があったため、加筆修正いたしました。作者未熟なため、申し訳ございません。
嘘つきぃ〜
作:カトラス


 俺の名前は森田透。元ホストだが、今は無職で日がな一日ギャンブルに明け暮れている。
 自分でいうのもなんだが、俺は女によくもてて、非常にずる賢くて悪い男だと思う。今も隣で寝ている彼女の美咲の顔を見ながら悪巧みを考えている。美咲は一年ほど前に、俺が街でナンパして見つけた女で、その日のうちに肉体関係に発展してしまった。それ以降、俺は美咲のマンションに厄介になっている。いわゆる世間でいうところのヒモってやつである。
 真面目に働く気のない俺にとっては、女神のような女なのだが、少々、俺自身、美咲に飽きてしまったのと、好きな女が出来たので正直邪魔に思えてきていた。それで、美咲と別れる前に俺はひと芝居して、美咲から金をふんだくってやろうとしている。そして、俺は猿芝居をするために深夜の二時に美咲の体をゆすって起こした。
「美咲、美咲ぃ――ちょっと起きてくれよ」
「どうしたの? 透くん」
「うん……実は心配事があって寝れないんだよ! このままだと俺は……死ぬしかないんだよ」
 俺は、真実味を出す為に事前に目薬をさして涙を流す。そして、こめかみに手のひらをあてて、いかにも困ってますといわんばかりに頭をかかえる仕草をしてやった。
「いったい、どうしたのよ?」
 突然、深夜に起こされて寝ぼけまなこだった美咲だったが、俺の嘘泣きを信じて真剣な表情になっている。
(しめしめと俺は思った)
「実はさぁ、俺、友人の保証人になっていて、そいつが逃げてしまってね。それで借金が百万も出来てしまったんだよ! それで、昨日怖いお兄さんに、責任とれって言われてしまって……美咲、お金貸してくれない? でないと俺は……」
「透くん、そんな事、突然言われても私、お金そんなにもってないよ」
 俺は、美咲が金を持ってないことなど、百も承知だった。なぜなら、いままで何度もいろいろな嘘をついては美咲から金を巻き上げていたからだ。無論、友人の保証人ってのも嘘であるが、借金があるのは本当である。借金の理由はパチンコで負けがこみすぎて、つい消費者ローンのカードに手を出した為である。
「うん、わかってるよ。美咲にお金が無いのは俺のせいだからな! でも、今回だけ助けてくれないか!」
 俺は美咲に土下座して頼んでいた。
「でも、私、ホントにお金ないよ!」
 俺は美咲に本題を切り出す。
「実はなぁ、美咲にしか出来ない仕事があるんだよ! でも少し、美咲にとっては辛い仕事かもしれないんだよ。――もし、美咲が快くこの仕事してくれたら、美咲が前からいってる”俺達の将来、結婚”のこと考えようと思ってるんだ。この件が片付いたら、真面目に就職しようとも思ってる」 
 美咲は怪訝な表情をしていたが、”結婚”という言葉がでて一瞬、美咲の顔が輝いたのを俺は見逃さなかった。
(よし、いける)
「透くん、私にしか出来ない仕事って何よ? 私、風俗とかで働くのは絶対嫌だからね!」
「うん、風俗とかじゃないんだけどね。グラビアの撮影して欲しいんだよ! 知り合いにカメラマンがいてね、美咲の水着姿撮影したいんだって、短時間で済む仕事でけっこうギャラいいんだよ……ダメかな?」
「水着だけなら、やってもいいけど、ほんとにそれだけなの?」
「ほんとにほんと、水着で少しセクシーなポーズとってくれたらいいだけだし――それに美咲可愛いからね」
「それだけっだったら、私やってあげるわ。そのかわり、”結婚”の話は裏切ったら許さないからね」
 美咲はそういって、優しい笑顔をうかべた。
(全くバカな女だ)

 それから二日後に、俺と美咲は都内にある撮影スタジオに向かった。撮影スタジオといっても雑居ビルの一室を借り切っている粗末なものである。美咲は普段、商社で受付嬢をやっているが、今日は仕事場には、体の調子が悪いと言って休暇をとらせている。
 スタジオに行くまでの間、美咲は俺の右腕に左腕を絡ませてきて、ずいぶんとご機嫌な様子である。歩きながら美咲は、私、綺麗に撮ってもらえるかしらとか、撮影のために脱毛したとか、嬉しそうに声をはずませて俺に話した。
 スタジオに着くと、プロデューサー兼監督の男が俺に撮影の確認をしてきた。美咲は別室で水着に着替えにいってこの場にはいない。
「お兄いさーん、ずいぶん可愛い子じゃないか! ほんとにいいの? うちのDVDはかなり過激だよ! その分、ギャラは半日で百万払うけどね。あとで、あの子から訴えられても責任とらないからね、といっても、うちのDVDは無修正だから、それ事体違法なんだけどね! あとね、うちのは、生でいくのと、中でだすから、事前に女の子に薬飲んでもらっておいて、あんたも、妊娠されたら困るでしょ! あと男優さんね、一応HIV検査してるから、安心だけど、黒人なんで、そこのところよろしく」
 監督は早口で、そう言うと俺にピルを渡した。俺は美咲に薬を飲ませる気など、さらさら無かったので、ジーパンのポケットに薬をねじ込んだ。
「監督ギャラの方は……いつ? いただけますか!」
「そんなもの、撮影が終わってからだよ! 途中で女の子に逃げられたら困るでしょう、そんな事この業界では常識だよ」
 監督は少し馬鹿にした笑いをうかべて言った。
「撮影が終わるまで、あんたも一緒に撮影見学してたらいいよ! その方が女の子も嫌がっていい表情とれるからね」
 俺も悪い男だが、この男も相当な悪だと俺は思った。
 監督との話が終わるかいなかの時、美咲が泣きながら、水着姿で現れた。
 美咲が泣いてる理由は水着姿を見てすぐに理解できた。その水着、いや水着といっていいのかわからない。とにかく、その水着らしきものは透けているのだ。美咲の乳首もアンダーヘヤーもうっすらと確認できた。
 監督はイヤラシイ目つきで美咲の体を舐めるように見ると、
「いいねぇ〜いいよ、実にいい」
 と使いもしないメガホンを片手で叩きながら言った。
 美咲は、目に涙を浮かべてイヤイヤと首を横に振っていた。
「私、こんなのだったら帰ります」
「頼むよ! 美咲この場になって駄々をこねないでくれよ」
「だってこんな格好するって話じゃ、ないでしょう」
 監督は俺達の会話を聞いて、
「どうするのよ?」
 とニヤニヤ笑いながら言ってきた。恐らく監督にとっては、男女の修羅場のやりとりなど何度も目撃してることであって、最終的にどうなるってこともわかっているのだと俺は監督の笑みを見て感じた。
 気づけば、俺は美咲のほっぺたに平手うちをしていた。
「今更、ぐだぐだ言ってるなよ! 監督こいつの事は気にせず、撮影お願いします」
 監督は、やはりこうなるのだと予見していたかのように満足そうに俺の目を見た。
 美咲の方は、俺に暴力を振るわれた事がショックだったのか、おとなしく監督に手をとられて撮影部屋に入っていった。部屋の中には、カメラマンと黒人の男優が美咲を待っていた。部屋の中は簡易ベットがおかれていて、照明によって明るくてらされている。
 そして、監督の合図によって撮影が始まった。俺は監督の横に座って美咲と黒人のセックスを見学した。
 撮影まもなくにして、美咲の嫌がる叫び声が室内に響きわたる。
「いやぁ、いやぁ、やめてぇ!」
 それは、まぎれもないレイプであった。小柄な美咲は、大柄な黒人にいろいろな体位でもて遊ばれていた。
 黒人の分身はかなり巨大であって、もちあげられた美咲の体に突き刺さっているように見える。俺は興奮して美咲と黒人のセックスを観察していたのだが、ときおり美咲とは目が合った。
「痛、痛いよ、透くん、助けてよ!」
 美咲は俺と目が合うたびに哀願して助けを求めた。
 嫌がれば嫌がるほど、監督は満足そうな表情を浮かべていて、カメラマンにしっかり苦悶の表情を撮らせている。そうして、二時間ほどたっぷりもて遊ばれた美咲は、体内に大量の黒人の種を注入されると、監督の合図によって撮影は終わった。
 美咲は、撮影が終わってからも、監督にプライベートでセックスを強要されスタジオを後にするころには、どっぷりと日もくれてしまい、スタジオの行く前の明るかった美咲とは嘘のように美咲の心の陽も消えてしまったように俺には思えた。
 美咲は、あまりのショックの為か、スタジオをでてからというもの放心状態になっており、ぶつぶつ小声で何かをつぶやいていた。俺はというと、手にした百万が嬉しくて舞いあがっていた。
 それは、美咲との別れを意味する百万でもあったのだが、俺は早く、新しく出来た彼女のマンションに行きたい気持ちでいっぱいであった。
 美咲のマンションに着くと、俺は、新しい彼女のマンションに行くための口実を考えていた。美咲はさっきからボォーと、天井のしみを見ていた。
「美咲ぃ、俺ちょっと出てくるわぁ」
 俺はこの陰気なマンションから出て行く口実をきりだした。俺の声を聞いて、さっきまでうわの空だった美咲が目をむいて言った。
「いやぁ、一人にしないで! 私一人になったらオカシクなっちゃうよ! お願いだから一人にしないで!」
「困ったなぁ、早く借金返しに行こうと思うんだよ。すぐに帰ってくるって!」
 俺は、玄関に行くと急いで革靴を履こうとしていた。
 美咲は俺の後ろに立って小声で言った。
「嘘つき、嘘つき! 嘘つきぃ〜」
 俺は美咲の嘘つきの一言でカチンときた。
「あ? 誰が嘘つきだって! てめぇーはよぉ、黙って待ってたらいいんだよ!」
 俺が後ろを向いて、美咲の顔を見ていったら、美咲は物凄い怖い形相で今度は大声で叫んだ。
「嘘つきぃ〜」
(チェ、全く、うざい女だ)
 俺は、このままだと、また暴力を振るってしまいそうなので早くでていこうと思い、玄関のドアノブに手をかけようとした時、美咲に腕をつかまれた。
「お願い……いかないで!」
 美咲は興奮しているのか、爪を立てて腕をつかむ。
「おーい、やめろって! 痛ぇじゃないかよ!」
 俺はそういって無理に美咲の手を振りほどいて、マンションからでていった。無理に手を振りほどいた為、腕に激痛が走った。美咲が掴んでいた腕を見てみると、美咲の割れた爪が腕に食い込んでいた。
(あのやろう。痛いじゃないかよ!)

 美咲のマンションから飛び出した俺は、新しい彼女に携帯電話で連絡をした。
「もしもし、香織ぃ〜、今からそっちいっていい?」
「うん。待ってるね」
 新しい彼女は香織といって、学生ではあるが、親が医者をしているため裕福である。
 俺はタクシーをつかまえると、香織のマンションの場所を運転手につげて香織のマンションにむかった。
 タクシーにのってる間、俺の携帯電話はうるさく何度もなっている。かけてきてるのは、もちろん美咲である。俺は五月蝿いので携帯の電源を切った。もう、俺は美咲に会うつもりは無い。あのように汚れた女には、もう興味はないからだ。

 香織のマンションに着いた俺は、今日からここにお世話になりますと言って、香織の体にむしゃぶりついた。昼間、美咲と黒人の激しいセックスを目撃していただけあって、俺はずいぶん興奮して香織とハッスルした。気が付くと眠ってしまったらしく昼過ぎになっていて、香織は大学にいったのか、マンションには誰もいなかった。
 さて、今から何しようか? 俺は香織とのセックスの余韻に浸りながらタバコに火をつけて一服する。
 そして、携帯の電源を入れると、いきなり着信音が鳴った。
(ちぇ〜またあの女だ)
 ひつこいので、電話にでることに俺はした。
「もしもし、透くん。今どこにいるの? 私、あなたの事が心配で昨日寝ないでずっと待っていたのよ!」
「あぁ〜ごめん、ごめん。今、新しい彼女のとこにいるんだよ! いきなりで悪いんだけどさぁ、俺達もう終わりにしないか! はっきり言って、お前には、もう飽きたんだよね。それにお前、昨日黒人と楽しくやってたし、俺もう、ひいちゃってさぁ〜 前みたいにもう愛せないよ! だから、もう電話とか、かけないでくれるかなぁ〜 はっきり言ってうざいんだよね」
「……ひどい……”結婚”してくれるって言ったじゃないのよ!」
「え〜俺そんな事いったけぇ?」
「嘘つきぃ、嘘つきぃ〜、恨んでやる! 呪ってやる!」
 そして、電話は切れた。
 それから、一ヶ月ほど俺の携帯には美咲からの恨みや呪いの言葉が入った留守電やメールがひっきりなしに入ってきていたが、三ヶ月ほど経ったころには、美咲も諦めたのか、連絡してこなくなっていた。
 俺は、相変わらず香織のマンションにずっと居候していて、香織のいるときはセックス。いない時はパチンコにいそしんでいた。
 そんな、ある日、見慣れない番号から携帯に着信が入った。すぐに、電話をとった俺だったが、相手は美咲だった。
「もしもし、あなたに報告したい事があって、電話したのだけど……」
「いったい、なんのようなんだよ!」
 俺は冷たくそう言ってやった。
「実はね、私、あなたの子供身ごもったみたいなのよ! 透くん、パパになるのよ!」
「何いってるんだ! 子供なんか出来るわけないだろう。どうせ、お前の腹の中にいる子供は、あの時の……どっちにしても、今だったら間にあうから病院いって堕ろせって!」
 すると、美咲はようやく俺の本性に気づいたのか! 声のトーンが変わっておちついた口調で話した。
「やっぱり、あなたってひどい男ですね。わかったわ、金輪際、あなたには連絡とりません。でも、一度だけ私のマンションに来てもらえませんか? いつでもいいので――あなたの忘れ物の洋服とかあって困ってるのよね。それに、渡したいものもあるし……」
「あぁ〜わかったよ、俺もお前のマンションの合鍵持ってるし、返さないとと思っていたんだよ、明日でいいか? そうだなぁ、明日の二時ごろそっちにいくよ」
「じゃ、明日の二時ね。待ってるわ」
 電話を切った俺は邪魔くさい用事が出来たと思ったが、渡したいものがあるという美咲の言葉も気になったし、合鍵も返さないといけないので諦めることにして、その日はパチンコに行った。 

 次の日になって、約束の時間に、俺は美咲のマンションを訪ねた。しかし、チャイムを鳴らしても美咲はでてこなかった。仕方が無いので、俺は合鍵を使ってドアを開けた。開けた途端に、部屋の中から、物凄い異臭がした。その臭いの源は、浴室からでているみたいで、俺は浴室のドアを開けた。
 浴室のバスタブの中に美咲は居た。バスタブの中の美咲は笑顔で、首を剃刀で深く切って絶命していた。
浴室の中は無数の蝿と、うじ虫が湧いていて、美咲の腐乱した体を食い物にしている。俺は思わず、匂いと初めて見た自殺死体のために、その場で吐いてしまった。そして、俺はすぐに警察に電話した。警察がくるまでの間に、俺は居間に行って匂いと戦いながら、気持ちをおちつかせる為にタバコに火をつけた。
 灰皿の置いてある居間のテーブルの上には、美咲の遺書というべきか、俺への恨み事と呪いの文面が血文字で書かれていた。
「恐らく、この手紙を読んでるあなたは、さぞかし青くなってることでしょうね! 私はあなたに、おもちゃにされて、ゴミのように扱われたことは、決して許さない! 死んであなたにつきまとってやる。
呪って、呪って、呪ってやる! ウフフ〜。後悔しても遅いから、あなたも私と同じように、死ぬのです。死、死、死、死、死」
 俺はこんな物、警察に見つかったらあらぬ疑いをかけられかねないので、くちゃくちゃにちぎって、便所に流してやった。それから、数分後に警察がやってきて、美咲の死体を手際よく片付けていった。
 俺は、第一発見者ということで、警察署にいって軽く取り調べをされたが、明らかに自殺ということなのですぐに返してもらえた。警察の話によると、美咲の腐乱した状態から見て、死後十日ぐらいだそうだ。
 しかし……昨日の電話はいったい誰? あれは、確かに忘れもしない美咲の声だった。俺はそのことを考えると悪寒が走った。
 
 警察署からの帰り道をとぼとぼと、そんな事を考えていたら、携帯電話が鳴った。
 電話をかけてきてるのは、香織からだ。俺は急いで電話をとった。
「もしもし、香織」
「……」
 返事がしない、「ツゥー」という通話音だけが鳴っている。
 しばらく、沈黙が続いた後、聞きなれた声が聞こえてきた。
「嘘つきぃ〜、嘘つきぃ〜、呪ってやるぅ〜、死んでしまえ〜」
「うわぁ〜〜〜」
 俺はあまりの恐怖の為に携帯電話を地面に落とす。
 電話の声は自殺して死んだはずの美咲である。
(ありえない!ありえないよ!)
 落ちた携帯電話を拾おうとしたら、地面からまた美咲の声が……
「コロシテやるぅ〜ころ……」
 俺は足で携帯電話を踏み潰すと走って香織のマンションに向かった。
(きっと疲れているんだ、そう疲れているだけなんだ!)
 マンションに着いた俺は、香織のマンションのドアを勢いよく開けてリビングに飛び込んだ。
 でも、リビングに居たのは香織ではなく、美咲だった。
「あなたぁ、お帰りなさい。見て見て、私のお腹、こんなに大きくなってるのよ!ウフフゥ。きっと透くんに似て元気な赤ちゃんが産まれるはずよ、ウフフフフゥ」
 俺はキッチンに行くと包丁を手にとった。
「あらぁ〜パパったら身重の私に気づかって料理してくださるのね! なんて優しいパパなんでしょうね」
 美咲はそういって大きくなったお腹をさすりながら、じりじりと俺に近づいてくる。
「うおぉ〜やめてくれよ! 近寄ってくんなよ!」
 俺は、近寄ってくる美咲のお腹に向かって、恐怖のあまり包丁を突き刺した。
「なんでぇ〜透くん……」
 そこには、ずっぷりとお腹に包丁が突き刺さった香織が立っていた。
 香織の口からは、真っ赤な血がでている。
 
 そして、どこからともなく、美咲の声が聞こえてきた。
「ざまぁ〜見ろ!ウフフフゥ〜、嘘つきぃ〜透くんが悪いのよ!ウフフフフゥ〜」
 俺はこの場所から一刻も早く逃げ出したかったので、マンションから飛び出した。
 耳からは、美咲の声がずっと聞こえる。
「嘘つきぃ〜、嘘つきぃ〜」
「うわぁぁ〜俺が悪かったよ! 許してくれぇよ」
 声から逃げるように、俺は道路に走って飛び出した。
 前方から、激しく、クラクションを鳴らす音が聞こえていた。

 気がつくと、俺は病院のベッドで目覚めた。看護師の話によると、大型トラックにはねられて病院にかつぎこまれたのだそうだ。奇跡的に命は助かった。でも、命が助かった代償は大きく、俺の両足は綺麗になくなっていた。
 そして、意識を取り戻してしばらくすると、また聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 そう、美咲の声だ。
 美咲は俺にこう言った。
「簡単には、透くんは殺さないわよ! もっと苦しんでから、ゆっくりと、私が……」 了。














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