序章回想。エピローグ。
雨が降っていた。
その日はどしゃ降りであった。
数メートル先も見えなくなるような、見たこともないどしゃ降りであった。
それに助けられた。
見たくもないものを、ある程度は隠してくれた。
ある程度は、隠してくれた。
それだけだった。
その量的にも被害的にも歴史に残る大雨の日が、僕が人間を辞めた日に重なった。
それだけ、それだけではなかった。
人間を辞めただけではなかった。
動物を辞めただけではなかった。
生物を辞めた。
不死身になった。
それだけだった
何も変化の無い世界の中で、僕はひっそりと、ただ単純に生き物を辞めたのであった。
そして僕は数時間後には下宿に帰り、雨で冷えた体を風呂で暖め、冷凍してあるおかずと炊いてある米を食べて寝るのだろう。
そしてその数時間後には異質を迎えた初めての朝を何の変哲も無くこなすに違いない。
僕が生き物を辞めたからと言って、世界が終わるわけでもなく、ましてや何かが変わるわけでもない。
そんなものだ。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。