挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

ラーさんの短編集

映画少年と恋愛少女

作者:ラーさん
 私の大好きな男友達が無類の映画好きなので、映画を餌にデートに誘ってみたら、パクリと簡単に食いついた。
 じゃあ日曜日ね、と約束を交わして学校を出た私は、その足で本屋にファッション誌を買いに行く。
 決戦の日曜日まではあと二日。雑誌で得た知識をフル活用で、鏡の前で髪型研究。上げたり、下ろしたり、引っ詰めたり、巻いてみたり。「化粧はどうしよう?」「バッグはアレね」と、眉毛を抜きながらアレソレ考え、「姉ちゃんへんー」と、うろちょろうるさい弟をけたぐりながら、服を合わせに合わせて、それでも覚える心許なさに服を買い足し、美容院でセットしてもらって、ついに迎えた決戦の日曜日。
 バッチリの私に普段着の彼は、挨拶もそこそこに映画館へレッツゴー!
 貯金の尽きた私は、母から借りたお金で彼とチケットを買う。
 彼のお隣り。
 彼の横顔。
 こちらに振り向く。
 二人で分け合うポップコーン。
 カップにすれ違う二人の手。
 暗くなる館内。
 映画が始まる。
 彼の横顔。
 スクリーンなんて見ちゃいない。
 彼の横顔。
 私の手はゆっくりと大胆に、
 ひじ掛けの上にある彼の手に近付き、
 その手に触れるか触れないかの、
 わずかなためらいを往復する。
 手はかすかに汗ばんで、
 こんな手で触ったら嫌われるかも……
 などというネガティブと、
 もし彼の手に握り返されたらドキドキしちゃう!
 などというポジティブに、
 ついにその手を、

 掴んだ!

 ……。
 彼の横顔。
 暗闇に前向く彼は、スクリーンしか見ていなかった。
 彼の横顔。
 私はそっと手を離した。
 映画が終わって、二人きりのお茶タイム。
 彼は目を輝かせながら、今見た映画の話をしている。私は必死に相槌を打ちながら、半分も見てない映画の話をしている。
 そんな彼の目を綺麗に思える私は、やっぱりどうして彼が好き。
 彼が笑顔で話している。
 私の瞳に映る彼は、今は横顔まで。
 なーに、すぐに振り向かせてやるさ。
 彼の瞳に映る私が、キュッと唇を引き締めた。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項をご確認ください。

名前:

▼良い点
▼気になる点
▼一言
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ