テイルズオブシンフォニア・自分の笑顔を誰かのために(2/2)縦書き表示RDF


テイルズオブシンフォニア・自分の笑顔を誰かのために
作:プリンメロン



第二話


キンッ キンッ キンッ

金属がぶつかり合う音が響きわたる


一人二人三人四人・・・・・・・

いったい何人の山賊を倒したか

長い間戦っていなかった身体での戦いで、疲労もたまり、体中が悲鳴をあげていた

息遣いも荒くなり、もう敵の攻撃を防ぐので精一杯なのだ


だが、引き下がるわけにはいかない

ここでやられたら、皆が危ない





「へへっ、もう限界っぽいな。お前ら!やっちまえ!!」

山賊たちは私を囲むようにすると、じりじりと近づいてきた


(・・・・こうなったら・・・・・・)

胸の前で十字をきり、天使術の呪文を唱えた

「その御名の元、この穢れた魂に裁きのひかっ!」

ガクンと膝から崩れ、地面に手をついた



もう呪文を使えるほどの体力も残っていなかったのだ

(もう、だめ・・・・・・・)

そう思ったときだった。

『そこの金髪、伏せろ!』

と、何処からともなく声が聞こえてきた。すかさず地に伏せると、ブンッという音と共に、大きな円形の閃光が走るのが見えた


そっと顔を上げると、私を取り囲んでいた山賊たちが倒れていた

そして、私の前に見知らぬ男が立っていたのだ


真っ黒いトレンチコートに黒いダボダボのズボン。靴はとても頑丈そうな皮製の靴に、ズボンにジャラジャラ長いチェーンをつけている。銀髪の短髪のウニ頭。

おまけに自分より大きな鎌のような武器を持っていた


盗賊の仲間ではないようだが・・・・・

その時後ろからもう一つ、誰かの声が聞こえた

「コレットさん!大丈夫ですか!?」

シスターだった


私の傍によると、救急箱を取り出し、私の傷の手当をしてくれた

「シスター・・・・危ないですよ・・・」

シスターはニッコリと笑うと、

「大丈夫ですよ。
「彼」が来てくれました。」

彼?  彼とはもしかして、この黒服の人のことだろうか・・・・

黒服の人は、山賊の最後の一人と対峙していた



「て、てめーはなんなんだ!?急にあらわれやがって!!」

震える手でナイフを持ち直し、切りかかってくる山賊に大鎌を振り上げ、斜めに振り下ろす

振り下ろした衝撃波が紫の閃光となり、山賊に直撃した


「ッぴやっややや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

と、謎の奇声と共に吹き飛び、見えなくなってしまった

倒れていた盗賊も、それを見て逃げるように走り去っていった


ふぅ、とため息をつき、大鎌の柄の部分を引っ張ると、大きな刃の部分が ガチン とはずれ、地面に落ちた


「ったく、また変えないと・・・・・」

そうぼやきながらこちらに近づき、私の横にいるシスターの前まで来た

「大丈夫かシスターっと、・・・誰だこいつ?」

「この方はコレットさんですよ、アスラさん。コレットさん、ありがとうございます。こんなにボロボロになってまで・・・・ホントにすいません・・・」

アスラと呼ばれた男は、ギロッとこちらを睨むと

「えっと・・・今までここ守ってくれてありがとな」


意外な発言に驚き、目を丸くしている自分にきづいた。慌てて笑い顔をつくって

「いえいえ。その、助けてくれてありがとうございます」

ペコリとお辞儀をする

照れくさそうに、頭をかきながら
「お、おう」と言った仕草が、何故だか『彼』を思わせた






シスターの傷の手当が終わり、再度自分の怪我した部分を見てみた

幸い浅い傷が多々あるくらいだった。さっき戦えなくなったのは、単なる体力不足だったらしい

「そういえば・・・」

シスターが何かを思い出したか、口を開いた

「コレットさん、お家に帰るのは大丈夫ですか?」


・・・・・忘れていた

空を見ると、夜空が広がり、とっくに門限が過ぎていることをしらせる

「少しまずいですね。それじゃ、傷の手当ありがとうございました!」

「いえいえ、こちらこそ今日は本当にいろいろありがとうございました。夜道お気をつけて」


立ち上がろうとしたとき、右足に激痛が走った

またその場にバタンと座ってしまった。どうやら足が攣ってしまったようだ。ホントなさけない・・・


「えへへ。足攣っちゃったみたいです」

「まあ、どうしましょう。・・・!そうですわ。アスラさんコレットさんを家まで送ってくださらない?」


俺?っと自分を指さし、ふぅとため息をつくと、アスラは私の前にしゃがみこんで、背中を向けた

「わかったよ。おい金髪、ほらおぶされ」

「い、いいですよ。少しすれば直ると思いますし」

「時間、やばいんじゃないの?それとも、嫌か?」

「い、いえっ、そんなことはないです。・・・あの、それじゃスイマセン、お世話になります」


肩に手を回し、アスラの背中に体重をかけた

「あの、私重くないですか?」

「いや、ぜんぜん重くないぞ。ってか、お前痩せすぎじゃないか?」

「駄目ですよアスラさん」

はにかむコレットを見て、シスターはアスラに肩をすくめて見せた

「女性に体重のこと聞くなんて失礼ですよ」

「そうなのか、金髪?」

「えへへ、そんなこと無いとも言い切れないような言い切れるような・・」

自分で何を言っているのか分からなかった

アスラは困ったように頭をかしげ、

「う〜ん・・・・。乙女心はわっかんね〜な」

ふふっと笑うシスターに、私も照れ隠しで笑う






・・・・・こんな光景、前にあった気がする






『ロイド、私重くない?』

『ぜんぜん!前よりずっと軽いぜ。お前、痩せたんじゃないか?』

『駄目だな、ロイドは。女性に体重のこと聞くなんて失礼だよ。最悪だね』

『そうなのか、先生?』

『ええ、そうね。禁句と言ってもいいわ』

『・・・馬鹿を言ってないで、行くぞ』






・・・ずっと昔の思い出だ

懐かしくもあり、胸を締め付ける感じもある

でも、今この感情を表に出したらまたシスターに心配をかけてしまう

とどめておこう、心の中に・・・






暗い森の中をしばらく歩き続けた

アスラは特に喋ることも無く、無言のまま歩き続けた

静かな時間の中に、アスラのズボンについているチェーンの チャリン チャリン  と言う音だけが、響いていた。その音を聞いているうちに、急に眠気が襲ってきた


コクン コクン

視界が歪み、意識が遠のいてゆく

(あ、寝ちゃう・・・・・・・・)












《アスラ視点》


少女を背負いながらしばらく森を歩っていたとき

くー  くー

背中から寝息が聞こえた。足を止め、喋りかけた

「・・・・寝たのか?」

問いかけに答えない。どうやら寝てしまったらしい

「ったく。少しは警戒しろよ」

こいつは多分、馬鹿がつくほど人がいいんだろう。他人のために山賊に立ち向かうなんて・・・

ホント・・・よくやるもんだよ


(・・・・サンキューな)


そう心の中で呟き、歩き出した









《次の日》

チュン チュン チュン

鳥の鳴き声が聴こえ、カーテンの隙間から光がさす

寝返りをすると、布団の隙間から涼しい風が入ってくる

目を開けると、見慣れた自分の机が見えた

それで気がついた

どうやら私は自分の部屋で寝ていたようだ

「彼」、アスラが私を送り届けてくれたのだろう


(後でお礼を言っておかないと・・・)


そんな事を考えながら着替えをし、一階に下りていった

今日の服は昔の神子装束。何故か今はこの服を見ても何もかんじなかった


つめたい階段をひたひたと下りていく。下に行くにつれ、パンの焼いた匂いとお父様の話声が聞こえる

お客さんでも来ているのであろうか。サッと髪を整え、リビングに行こうとした時、懐かしい声が聞こえた



・・・・ロイド・・・・



私はその場から動けず、そのまま立ち止まっていた

ロイドは数分話をすると帰って行った


それを見て、安心した自分がとても嫌だった


それから少し時間を空けて、一階に下りていった


食事をとりながらお父様やお婆様との会話は、ほとんど帰ってきたロイドの話であった

それと、驚いた話だが、昨日家に運んできてくれたのはロイドだったそうだ

どういうことだろう・・・


「コレット。今日はロイドに合いに行ったらどうだ?昨日お世話になったんだし。お礼を言うのも含めて、せめて顔くらい出したらどうだ。・・・・お前の気持ちもわかるが、いつまでもそうしてはいられんだろう。」

私はスッと立ち上がり、食器を片付けると玄関に向かった

そしてお父様の方を見て言った

「お父様にはわかんないよ・・・・絶対・・・」

それだけを言うと家を出た

お父様は私を止めることも無く、ただ私の背中を見ているだけだった



・・・・私はいつからこんな嫌な子になったんだろう

自分の親の言うことも聞かず、お世話になった相手にお礼も言いにいかないなんて


最悪だよね・・・・ホントに・・・・・・


自分を責め、下を向きながら歩いていると・・・・


ドンッ!


「キャッ!」  「うおっと」

誰かにぶつかってしまった

ぼと ぼと ぼと

ぶつかった相手の手に持っていた紙の袋から、ジャガイモが転がり落ちた


「す、すいません!今拾います」

(何やっているんだろう私。また人に迷惑かけて・・・)



「あれ?お前・・・金髪か?」


聞き覚えのある声が聞こえた

顔を上げると、そこには黒いトレンチコートが特徴的なアスラさんが立っていた

手には溢れんばかりの荷物を抱えている

「あ、アスラさん!何しているんですか!?」

「見りゃわかんだろ、買出しだ。シスターに頼まれてな。てか、ジャガイモ。ほら、拾ってくれ」

「あ、はい!」

急いで拾い上げ、抱えている袋に入れた

「すいませんでした。下を向いて歩いていたんで」

「いや、別にいいんだけどさ。てか、お前今日暇か?」

「え、はい。暇ですけど・・・」

「そんじゃ頼みがあんだけどよ。またガキどもの相手してくんねーか?あ、ちゃんとバイト代は出すぞ」

「バイト代なんていらないですよ。私でよければ遊び相手になります」


助け舟だった。あんな事を言ってしまったので、家に帰ることも出来ず、行くところも無い。こんな中で、また昨日のような一日が過ごせる場所に行ける


こっちがお金を出したいくらいだった


「まあ金の事はおいといて。んじゃ、今日も頼むな。」

ポンッと私の頭をはたく

私は今出来る最高の笑顔で

「はい!よろしくお願いします。あの、その荷物持ちましょうか?」

「ん?んじゃ、これ持っててくれ。」

ドンと手渡されたのはさっきのジャガイモが入った紙袋であった

少し重いが、持てない程ではない

持ちやすいように持ち直し、アスラに話しかけようとした時には、スタスタと歩き出していた

おいていかれないように、隣に並び、歩き続けた





《コレットの家にて》

深いため息が、家の中から聞こえる

コレットの父だった

テーブルに座り、遠い目をしながらコレットの笑顔を思い出していた

その隣に座っているおばあさんに話しかけた


「・・・私は父親失格だろうか。あの子をまた傷つけてしまった・・・」

「自分の子を心配する親父が、父親失格なんて事はない。大丈夫じゃよ。あの子ならまた心から笑ってくれる」

その言葉をどう思ったのか、コレットの父は立ち上がり、二階・コレットの部屋に向かった


静かにドアを開けると、綺麗に整頓された清潔的な部屋だった


周りを見渡していると、一つの写真たてが目にとまった

その写真たては倒されていて、ホコリもかぶっている

ホコリをはらい、持ち上げて写真を見てみた

そこに写っていたのは



     赤い服を着た少年と自分の娘が肩を並べ、笑っている写真であった








「・・・・・コレット。お前はまた笑ってくれるか?」


自分以外誰もいない部屋で、一人そう呟いた














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