第七百九十九話 二人の密かな関係
第七百九十九話 二人の密かな関係
台湾は今日はタイのお家にお邪魔しています。それで色々なことをお話しています。
「それでこれからはこのことはこうするのね」
「はい、それで行きたいと思っています」
こんなやり取りを続けていきます。そうしてそのうえで話を決めています。お話自体はとても順調で台湾にとってもタイにとっても満足できるものになりました。けれどお話が終わってから台湾はすぐに帰ろうとしたのです。
「じゃあ今日はこれで」
「あれっ、もう帰られるんですか?」
「実はまだ用事があるから」
こうタイに対して言うのでした。
「だからね。悪いけれど」
「そうですか。用事ですか」
タイはそれを聞いて仕方ないな、という顔を見せました。少なくともこの時まではそれで話が済みました。ところが、でした。
「ちょっと。ベトナムのところに行かないといけないのよ」
「・・・・・・・・・」
ベトナムと聞くと一瞬、本当に一瞬ですがタイの表情が消えました。普通の人ならそれにすら気付かないところでしたが太平洋でもクッシの苦労人である台湾、そのことに気付いたのです。
(あれっ、まさか)
「ならしょうがないですね」
タイはいつもの微笑みに戻ってまた言ってきました。
「今日はこれで、ということですね」
「ええ。御免ね」
「いいですよ、台湾さんにも都合がありますし」
やはり今も穏やかな微笑みを浮かべてはいます。
「それではまた今度」
「ええ、またね」
こう別れの言葉を交えさせて別れはします。ところがそこにあるのはどうにも。随分と複雑な事情のようです。
第七百九十九話 完
2009・6・14
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