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第七十一話 遠い昔の日
                第七十一話  遠い昔の日 
 フランスがまだ若くてついでに馬に乗るのは上手でしたがイギリスにこてんぱんに負け続けて上司共々これからどうしたものかと悩んでいたある時のお話です。
「私は貴方の為にここに来ました」
 いきなりこう一人の少女に言われました。何か小柄で豊かな色彩の栗色の髪に青い澄んだ瞳をした髪の短い女の子です。美少女と言ってもいいでしょう。そんな娘がかなりやばい状況のフランスのところにやって来たのです。
「ってあんた、誰なんだ?」
「フランスの為に、イギリスを倒し」
「そう言ってくれるのは有り難いけれどさ」
 しかし今の彼は。クレーシーとかあちこちで負けてそれでこのブールジュに引き篭もっていたのです。家はかなりの部分をイギリスとその部下達が占領しちゃっている笑うに笑えない惨状であります。
 そんなフランスのところに来たこの少女は何者なのか。フランスは彼女に尋ねます。
「あんた、名前は?」
「ジャンヌです」
 少女はこう名乗ってきました。
「ジャンヌ?」
「そう、ジャンヌ=ダルク」
 少女はまた名乗ります。
「それが私の名前です。いざ戦場に」
 まだ武器も持っていないというのに高らかに叫びます。
「フランスの為に。貴方の為に」
「俺の為か」
 それまでいじけていたフランスの心に何かが宿りました。
「そうだよな。俺だって」
 今自分が腰に下げている長い剣を見て呟きます。そして。
「イギリスの野郎に勝ってやるか。こうなったらとことんまでな」
 こう決意するのでした。一人の少女に励まされて。


第七十一話   完


                   2008・3・3
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