第六十四話 ボリス=ゴドゥノフ
第六十四話 ボリス=ゴドゥノフ
ロシアは素朴だけれどとんでもなく怖いです。そんな彼ですが結構繊細なところもあったりします。
「音楽はやっぱりいいよね」
無類の音楽好きでいつも聴いています。武骨な音楽も民謡も繊細な音楽も何でもいけます。とりわけ好きなのがチャイコフスキーです。
「あとはイタリア君のオペラもいいよね」
「あっ、俺の国の音楽好きなんだ」
「大好きだよ」
にこりと笑って答えます。
「歌だってほら」
「うわ、凄く上手いや」
これにはイタリアも驚きです。意外や意外、ロシアは歌が上手かったのです。しかもダンスも。コサックダンスだけではなくバレエなんかも。イタリアが見ても驚くレベルです。
「フランス兄ちゃんよりも上手いかも」
「悔しいけれどそうかもな」
フランスもそれを認めます。
「あいつにバレエを教えたのは俺だったんだけれどな」
「そうだったんだ」
「僕もオペラ作ってみたんだ」
自分でも作曲します。さらに凄いです。
「へえ、どんなの?」
「ちょっと見せてみろ」
「うん、こんなの」
ボリス=ゴドゥノフという作品です。
「是非観て聴いてみてよ」
「うん、それじゃあ」
「わかったぜ」
イタリアとフランスは誘いに乗って観劇しました。ところが感想は。
「音楽はいいんだけれどねえ。ストーリーも」
「ただな。どうもラストが」
「あれ、こういうのは駄目かなあ」
「最後が陰惨なのがな」
フランスはそう言って言葉を濁します。それが二人には少し合わなかったようです。
第六十四話 完
2008・2・25
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