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第六百九話 美味しくない理由は
              第六百九話  美味しくない理由は
 スイスは日本のお家ではチーズやバターで有名です。日本の中ではそうしたものを美味しくいただいているイメージがあります。けれどそれはあくまでイメージでしかありません。イメージと現実は時として違うのです。
 そのスイスのお家の主食はパンです。そのパンを今いつもの通りイタリア、ドイツと三人で食べてみますと。
「このパン相変わらず美味しくないよ」
「どうしてこう御前のパンは今一つなんだ」
「当然である」
 困った顔になっているイタリアと少し憮然となっているドイツに対して言います。日本はあえて何も言いませんがやっぱり美味しいとは思っていないようです。
「我輩は味よりも安全を優先させている」
「安全とは?」
「その年に取れた小麦は保管しておく」
 日本に対してもこう言います。
「何かあった時の非常食としてだ。保管しておくのだ」
「いざという時にそれをパンとして炊かれるのですね」
「そういうことだ。だから今食べているこのパンは去年の麦を使ったものだ。だから普通のパンより味が落ちるのは当然である」
「そんなのだとずっと美味しくないパンだよ」
 イタリアは安全よりも味の方を優先させて考えているのでした。
「こんなの食べていて楽しい?俺なんか悲しくなってきたよ」
「悲しみたければ悲しむといい」
 スイスはそんなイタリアはスルーです。
「我輩は困らん。一向にな」
「何でスイスっていつもこうなんだろう」
「確信犯であるだけにイギリスより困ったことだな」
 ドイツも言います。とにかく二人はスイスのそうしたやり方に不満です。日本もそうであるようですがあえて言いません。この辺りは個性の違いでししょうか。それでもパンを食べる口が普段より進んでいないところに日本が今どう思っているのかが出ているようです。


第六百九話   完


                  2009・3・2
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