第五十話 パスタになると
第五十話 パスタになると
パスタになると何故か出て来るのはドイツの上司です。この人は意外にもベジタリアンでそれこそ料理にラードさえ使いません。そんな極めつけのベジタリアンなのです。
それでスパゲティが大好物なのですが味付けはかなり難しいです。何しろお肉もお魚もラードさえも使わないのです。ドイツの料理が大変です。
「日本のタラコスパは」
「却下」
即刻突っぱねられました。
「タラコは魚の卵だな」
「はい」
(くっ、流石に御存知か)
どんな難しい本でも読破して三週間前の報告も平気で憶えているこの人にはまず下手なことを言っても通用しません。勿論怒らせたら楽しい結果が待っています。世界で一番怖い人の一人であることは間違いありません。
「では納豆スパは」
「腐っているのではないのか?」
健康管理にも気をつけています。お薬は特に好きです。
「駄目だな」
「では一体何を召し上がられますか」
「肉も魚も使っていないものだ」
注文はまずこれが本当に絶対条件です。
「そして腐ったものもだ」
「それでは何を」
「ペペロンチーノか」
スパゲティにはかなり詳しいです。
「それをもらいたい。いいか」
「ではいつもと同じ感じですね」
「うむ。それが駄目ならトマトでだ」
野菜はオッケーですので当然トマトもいけます。
「頼むぞ」
「わかりました。それでは」
「おっと」
ここで料理に取り掛かろうとするドイツを呼び止めます。
「飲み物だが」
「はい、何を」
「苺ジュースを。デザートはチョコレートケーキをな」
「畏まりました」
意外と食べ物は子供っぽい上司さんでした。けれどとても怖い人なのは変わりません。
第五十話 完
2008・2・15
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