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第四百五十九話 南にありますので
              第四百五十九話  南にありますので
 台湾は暑い国です。実は日本のどの島よりも南の国にあります。ですから。
「相変わらず夏に来ると凄いですね」
「そうですか?」
「はい。年寄りにはこたえる時があります」
 外見に似合わず実は結構ご高齢の日本、台湾の暑さに結構参っているところがあります。けれど台湾は至って平気な顔をしています。
「どうにもこうにも」
「今日は涼しい方ですよ」
「これでですか」
「ええ。日本さん今まで何処におられたんですか?」
「北海道の方へちょっと」
 よりによって日本の最北の地です。
「そこでヒグマを見ていました」
「熊ですか」
「はい。これが中々獰猛でして」
「らしいですね。お話に聞く限りは」
 台湾はヒグマは知りません。北の方の生き物は大きいとは聞いていますがそれでもよくは知らないのです。これも暖かい国にいるからです。
「けれど寒いですから蛇はいませんよね」
「あまり見た記憶はありませんね」
 日本も首を捻りつつ己の記憶を辿ります。ですがやっぱり北海道で蛇を見た記憶はありませんでした。
「そういえば」
「うちには一杯いますからね。もうそれこそ」
「そういう場所には行きませんから」
「わかってますよ」
 にこりと笑って日本に答える台湾でした。日本に対してはそうです。ところがある人には。彼女にも人の好き嫌いがあるのです。


第四百五十九話   完


                2008・11・17
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