第二百六十九話 お互い覚えられない ☆
第二百六十九話 お互い覚えられない
こんなとことんまで目立たないカナダさんですがちゃんとお家はあります。以前アメリカに自分の家にしてしまおうかと言われたこともありますがそれでも今でもちゃんとお家はあります。しかもこのお家はかなり広いです。
ただしいる人達はかなり少ないです。その広いけれどがらんとしたお家の中のこれまたかなり広い部屋の中でカナダは。一匹の白い熊と向かい合ってお話をしていました。
「ねえ熊子さん」
「何かな、君」
「僕頑張ってるよね」
「うん」
熊はこのことはちゃんと認めてくれました。
「確かに頑張ってるよね、凄く」
「家だってそこそこお金あるしサミットのメンバーだし太平洋の会合にもいつもちゃんと出ているし働いているし」
カナダも努力しているのです。それでもなのです。
「けれど。どうして目立てない、誰も覚えてくれないんだろう」
しょげかえって言います。
「必死にやってるのに。どうしてかな、熊吉さん」
「わからないね。運かな」
「運かあ」
「ところでさ」
ここで熊さんはカナダに問い掛けます。
「何?」
「君誰?」
最早飼い主に向かって言う言葉ではありません。
「誰だったかな、君」
「・・・・・・カナダだよ。覚えてくれよ」
「そうだったんだ」
「頼むよ、熊一郎君」
カナダもカナダで熊さんの名前を覚えていないのでした。もう存在感のなさが危機レベルにまで達しているカナダなのでありました。
第二百六十九話 完
2008・8・12
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