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第二百四十八話 長いんですけれど
第二百四十八話  長いんですけれど
 ワーグナーといえばニーベルングの指輪です。空前絶後のこの大作、今日はバイロイトに皆を呼んで観劇です。バイロイトはワーグナーの楽劇の為だけにある歌劇場、まさにワーグナーファン、即ちワグネリアンの聖地です。ここに来られるというだけで感激する人だっています。ところが皆の反応は。
「長いんだよなあ」
「合計四日か、また」
 楽しみでありながら何処か困惑しているのがわかります。
「一作一作も長いしなあ」
「それで四日なんて」
「嫌か?」
 ドイツがその困惑している皆に対して問います。その指輪の観劇のことを。
「俺の上司は大好きなんだが」
 そのチョビ髭のおじさんです。この人はそれこそワーグナーばかりでも飽きない人です。何を隠そうワーグナーを盛んに宣伝している一人でもあります。
「この作品を観るのは」
「だって四日ですよ」
「合計十五時間」
 ここまで長い作品は勿論他にはありません。これだけです。
「長過ぎるなんてものじゃないし」
「しかも内容は凄く濃いし」
 ただ長いだけがワーグナーではないのです。その内容の濃さでもまた非常に有名なのです。ワーグナーは唯では済まないのです。
「聴くともうそれだけでへとへとだしねえ」
「僕最後に立っていられるんでしょうか」
 皆最後まで大丈夫なのか不安で不安で仕方ありません。そして実際に最後まで観終わるともうそれだけでへとへとになって倒れてしまった皆でありました。


第二百四十八話   完


                2008・6・29
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