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第二百四十六話 消えてしまった王様
第二百四十六話  消えてしまった王様
 王様は自殺してしまったのです。湖に入って。こうして皆の前から永遠に姿を消してしまったのです。
 ドイツは王様が自殺してしまったその湖のところに来ました。そのうえで話を聞いていました。ドイツの後ろには皆が控えて。ドイツと一緒にその湖のほとりにいます。皆とても悲しい顔をしています。本当は王様のことが好きだったのでしょうか。
「ここでなんだな」
「はい、そうです」
「ここで王様は」
「そうか」
 ドイツは後ろにいる皆の説明を聞いています。とても沈痛な顔で。
「ここでか。自殺したんだな」
「最後にこう言い残されたそうです」
「何てだ?」
「僕は全ての人から永遠に謎でありたいと」
「そう言われたんだな」
「そうです。そして」
「そうか、わかった」
 ここまで話を聞いてまた頷きます。さらに沈痛な顔で。
「・・・・・・本当にもっとよくお話して理解するべきだった」
 王様のことを思い出して言うのでした。今までの思い出を。
「そうしたらこんなことにはならなかったのにな。ワーグナーとのことも」
 遠くにはお城が見えます。王様があらん限りの情熱を込めて築かせていたあのお城が。王様が最後の最後まで愛していたワーグナーの世界をこの世に映し出したあのお城が。静かにその白い姿を山の上に浮き上がらせていたのでした。


第二百四十六話   完


                  2008・6・28
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