第二百四十三話 少しずつ
第二百四十三話 少しずつ
王様はワーグナーのことばかり考えて。遂にはこんなことを言い出してきました。
「お城だ」
「お城!?」
「そう、お城を建築するんだ」
こうドイツに対して命じるのでした。
「白鳥の城を。あちこちに一杯建築するんだ」
「あの、陛下それは」
ドイツはその王様に対して戸惑いながら述べます。もうお城の時代ではないのです。そんなものを建築しても全くの無駄だからです。お金も凄くかかります。唯でさえ王様はワーグナーのことでお金を随分と使っているというのにです。周りにとってもドイツにとってもとんでもないことです。止めるのも当然です。
「御言葉ですがあまりにも無意味ではないかと」
「いや、無意味じゃない」
けれど王様はドイツの言葉を聞き入れませんでした。
「ワーグナーの世界をお城にするんだ。だからいいんだ」
「ワーグナーの」
「そう、そして僕はそこに住むんだ」
またしてもとんでもないことを言います。
「一人でね。だから建築して欲しい」
「一人で・・・・・・」
王様がそんなことをできる筈がありません。ドイツにとっても皆にとってもとんでもないことです。けれど王様は頑として聞き入れないのでした。
「最近僕とワーグナーのことに皆あまりにも冷たい」
一人呟くのでした。
「いいじゃないか。僕だって人間なんだ、もう一人でいたいんだ」
それが王様の願いでした、けれどこれが適うことはなく。王様はどんどん孤独を愛するようになりました。もう周りの人達とも会おうとはしなくなってきていました。
第二百四十三話 完
2008・6・27
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