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第二百十四話 トイレはどうなった
            第二百十四話  トイレはどうなった
 ある日のことです。フランスの上司の人が我儘を言い出しました。
「宮殿に住むぞ、大きくて華麗な宮殿にだ」
「それで何処に?」
「ベルサイユだ!」
「げっ!!」 
 ベルサイユと聞いてフランスは絶句です。何しろあそこは碌に水もない僻地です。たまたま上司の休む場所があるだけの辺鄙な場所です。あそこにでかい宮殿を置くなんて途方もないことです。
 けれど言い出したら聞かないこの上司、本当に宮殿を建てさせます。フランスもその大工事に駆り出されて連日くたくたです。
「何だよ、これって」
 万里の長城かピラミッドか。そんな途方もない建築物を造っている気分です。周りの家の人達もへとへとです。まずお水を確保するだけでも大変です。
 しかもお庭も整理してフランスの上司がオレンジの木が欲しいと言えばそれを植えて。かかるお金は途方もないものになりフランスの財布はピンチです。
「何で俺の財布ってこんなに簡単にお金がなくなるんだ?」
 その原因のかなりの部分が上司達にありますがそれは言えないのでした。かくして何とかその宮殿は建ったのですが建ててみてわかったことは。
「あれっ、この宮殿って」
「トイレがないぞ」
 設計ミスでトイレはあることはあっても凄く少ないのでした。そしてその結果として。
 宮殿の隅やカーテンの陰、折角造ったお庭なんかがトイレになってしまいあちこちが非常に汚い有様になってしまいました。もう臭くて臭くて仕方がありません。
「トイレが欲しいな」
「・・・・・・無理言わんで下さい」
 上司の今度の我儘は流石に聞けませんでした。かくしてフランスはこのとても臭い宮殿に住む破目になってしまったのでありました。困った上司でありました。


第二百十四話   完


                2008・6・2
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