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第百八十九話 おっとりとしたお兄さん
            第百八十九話  おっとりとしたお兄さん
 最近どうもおっとりした人が目立ちます。というか騒がしい人が多いのでそういう人が逆に目立ってしまうだけですが。
 このギリシアもそうです。茶色い髪に黒い目をしていて肌は少し日に焼けています。物静かで穏やかな青年です。
 ですが穏やかというよりはスローモーだとも言われています。とかくおっとりとしていて動きもそんな感じです。それが慣れていない人には結構いらいらくるものがあります。
「おいギリシアよ」
「何だ?」
 フランスの言葉に応えます。やっぱりおっとりとした調子です。
「御前もう少し早く動いた方がいいと思うんだが」
「早くか」
「ああ、ちょっとだけな。そうじゃないとお兄さん困るんだよ」
 見れば買い物で並んでいます。ギリシアが先頭にいて買った品物を出しているのですがそれが遅れているのです。すぐ後ろにいるフランスがそれを注意したのです。
「皆待ってるんだからな」
「わかった」
 とは言ってもやっぱり遅いです、非常にゆっくりとした動きです。それで品物を出しているので時間はさらに遅れていきます。
「本当に急いでいるのか?」
「必死だ」
 本人はこう言います。
「だから少し待っていてくれ」
「いや、俺はいいんだがな」
 後ろでは怒っている人が並んでいます。しかしそれでもギリシアの調子は変わりません。相変わらずのスローモーで品物を出していった。時間が悠久に過ぎていくのでした。よりによって混雑しているスーパーで。


第百八十九話   完


                     2008・5・21
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