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第百七十一話 出発の時 ☆
                第百七十一話  出発の時
 神聖ローマに言われても。イタリアは何が何かわかりませんでした。彼はその時の神聖ローマのこともお家のこともあまりよくはわかっていなかったのです。けれどそれでも戸惑いながらも彼に尋ねます。
「それって・・・・・・」
 いつもよりもずっと言葉が出ません。それでも言います。
「どういうことなの?一体」
「・・・・・・そのままの意味だ」
 神聖ローマは悲しい顔で言います。
「・・・・・・もう俺はこのまま。ずっと御前と」
「神聖ローマ」
 周りの人達がその神聖ローマに声をかけます。
「もう時間だ。馬車も出発するぞ」
「ああ、わかってる」
 皆の言葉に頷きます。そして遂にイタリアに背を向けて。
「じゃあな。元気でやれよ」
「まっ・・・・・・」
 やっぱり中々声が出ません。けれどイタリアは何とか声を出します。
「本当に行っちゃうの?・・・・・・やだよ」
 言葉を出すとそれと一緒に神聖ローマとの思い出も蘇って。辛くて困った筈なのに何故か今ではいい思い出です。
「そんなの。これで終わりなんて」
 けれどどうしていいかわかりません。おろおろするだけです。それでも何とか、いえイタリア自身の口から自然に出たのでした。その言葉が。
「神聖ローマァ!」
 彼を最後に呼びます。振り返った神聖ローマも少し泣いていました。堪えてはいましたが。
「イタリア・・・・・・」
 イタリアの方を向き直ると二人はあらためて見詰め合いました。まるでそれが運命で最初からそうなるものなのだと決まっていたかのように。二人見詰め合うのでした。


第百七十一話   完


                  2008・5・12
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