第百六十八話 そのままでいて欲しい ☆
第百六十八話 そのままていて欲しい
イタリアは泣きながら、けれど真剣に神聖ローマに対して言います。
「だってお爺ちゃんは大きくなり過ぎて滅んだんだよ」
もうローマ帝国はいないのです。遠い彼方に消えてしまったのです。イタリアはそのことを思い出してとても悲しい気持ちになって泣いたのです。
「お爺ちゃんの身体」
彼はさらに言います。神聖ローマに。
「あちこち傷だらけで凄い辛そうだったよ」
多くの戦いで傷を受けてしまったのです。ローマ帝国は栄光の分だけ深い傷をあちこちに受けてしまっていました。イタリアはそのことを知っているのです。
「あんなふうになった神聖ローマなんか見るの嫌だよ」
「イタリア・・・・・・」
「だから神聖ローマ」
彼の手を取って言います。もう既に小さな傷が幾つかあります。
「ローマ帝国になったら駄目だよ、だから御願い」
そうしてまた言います。
「このままの神聖ローマでいて、ずっと」
「イタリア・・・・・・」
イタリアから手を離しました。戸惑う顔で。
それから彼の顔をじっと見ます。けれど何て言えばいいのかわかりません。戸惑って、とても悲しい顔を見て最後には。
踵を返して走り去ります。後に泣いているイタリアを残して。二人は白い花びらが舞う中を別れました。遠い遠い昔のお話です。
第百六十八話 完
2008・5・9
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