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第千百十九話 トリの前に
第千百十九話  トリの前に
 タイにも渡った猫耳ですが彼が着けてみるとです。それがやけに黒いものなのでそれを見たベトナムがその彼に思わず言ってしまいました。
「貴方のところの猫みたいね」
「シャム猫ですか」
「ええ、それみたいよ」
 まさにそれだというのです。
「見てみたらね」
「あの猫は僕の家の象徴みたいなものですからね」
 そう言われてまんざらでもないタイです。
「そうですか。それみたいですか」
「ええ。本当にそんな感じね」
 またタイに対して言います。
 そうしてベトナムも着けてみますと。彼女の場合は。
「猫というより黒豹ですね」
「豹なの」
「はい、そんな感じです」
 すらりとしたスタイルのベトナムは確かにそう見えるものでした。その長い黒髪が彼女をさらにそうしたように見せています。
「黒豹ですね」
「黒猫っていうのかしら、この場合は」
「あっ、そうですね」
 タイは彼女のその言葉を受けて頷きました。
「確かに。この場合はそうですね」
「そうよね。私は黒猫よね」
 このことを確かめることになりました。二人はシャム猫と黒猫なのでした。


第千百十九話   完


               2009・12・19
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