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第百十話 ドイツの食事
                 第百十話  ドイツの食事
 そのドイツはというと。これまた至って質素です。
 硬い黒パンにソーセージにジャガイモにザワークラフト。これにアイスバインがつけば上出来といったものである。何かスープもありますがそれは大したものではありません。
 それ等をおもむろにお腹の中に入れるだけです。本当にそれだけです。
「ドイツっていつもそうなんだ」
「そうだ」
 イタリアの質問に対して答えます。
「戦場だ。贅沢は言わん」
「本当にそれだけ?」
 イタリアは少し頑ななドイツに対して尋ねます。
「本当にそれだけで満足できるの、ドイツ」
「量はあるからな」
 まずはこれでした。
「それにだ」
「それに?」
「栄養は考えてある。味もそんなに悪くない」
「あっ、本当だ」
 ちょっとつまみ食いすると確かに。一見して粗食ですが味自体は悪いものではありませんでした。
「これは中々。けれど寂しいような」
「いや、全く寂しくはない」
 けれどドイツはこう反論するのでした。
「全くな」
「!?どうしてかな」
「これがあるからだ」
 出してきたのはビールでした。
「これさえあれば。もう何もいらない」
「ビールなんだ、やっぱり」
「どうだ。一緒にやるか」
 さりげなくイタリアにもそのビールを勧めます。
「確かビールも好きだったな」
「うん。ぞれじゃあ」
「うちの上司には内緒だぞ」
「わかってるよ」
 お酒を飲まないドイツの上司には内緒でした。実はドイツの上司は菜食主義者でお酒も煙草もやらない生活自体は修道僧みたいな人でして。この人に気遣ってドイツは中々ビールを飲むのも一苦労なのでした。困ったことです。


第百十話   完


                 2008・4・10
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