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異世界「が」転移してきたので、自宅ダンジョンに引きこもる  作者: さいとうさ
第四章 なんということでしょう迷宮都市
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第二十九話 最上級の武器の宝箱

2ヶ月一回更新ペース。牛歩の如くなり。


受験勉強やだよ。逃げ出したいよ。

模試受けたけど、時間足りなすぎるよ。意味わかんないよ。


まあ東工大の長時間試験コースも嫌だけども。あれはあれで地獄です。数弱な私にはとうてい無理です。

『国立魔工研究所が開発した魔力を電力に変換する装置が、早急に全国に配備されることが決定しました。今朝の会見で……』


 おおう。

 これで日本のエネルギー事情は改善したかな? むしろ1124事件以前よりも良くなっている気がする。


 俺は適当にこたつで朝食を取りながら朝のニュースを見ていた。

 早朝のトレーニングは終わっている。俺は健康優良系の引きこもりなのだ。


 ダンジョンの周りの町は順調に広がっている。

 最近は監視塔のような物が出来たらしい。木製であるため、どちらかというと物見矢倉みたいなビジュアルだけども。

 町防衛用とかでは無く、空竜スカエドの監視用らしい。しかし全く収穫はないのだとか。

 すまん。空竜は空に居ないんだ。

 地下深くにいらっしゃるんだ。

 というか俺が閉じこめているだけなのだが。


 ダンジョン周りの町のことを考えていると、朝のニュースが一段落付き、星座占いの時間に移行した。

 あまり根拠のない占いではあるが、やはり見てしまうと気になるものだ。さて、俺は牡牛座である。いったい何位なんだろうか。


『今日の運勢第一位は、牡牛座のあなた!』


 のっけかい。


『友達との仲も恋愛も絶好調。気になるあの子に告白してみよう! ダンジョンに潜ると良いアイテムが手に入るかも? ラッキーアイテムは、魔石のアクセサリー!』


 お、アイテム手に入るってよ。現在ダンジョンにいるんだがな。

 気になるあの子……誰一人として思い浮かばん。そもここ一年ダンジョンから出てないから、コアやルドルフ以外と仲良くなるどころか話してすらいないからな。


 ああ、今の星座占いに色々つっこみ所があるかもしれないが、慣れろ。

 1124事件以降ずっとこんな感じだ。カオスジャパンにとって、そんなつっこみ今更なのである。


 そしてどんどん星座占いの結果は発表されていく。

 所々挟まる謎の写真は何なんだろうな。何か意味があるんだろうか。


『今日最も悪い運勢なのは……ごめんなさ~い、射手座のあなた』


 お、コア残念だったな。

 転移してきた日……11月24日は、ギリギリで射手座だったはずだ。まああくまでも、その日を誕生日にするって事だったらな。

 ダンジョンコアとしての誕生日なんて知らないし、きっと相当昔だから、コアも覚えていないだろう。


『仕事でミスを連発、友達とも仲が悪くなっちゃうけど、くじけないで頑張って! 今日は依頼にはいかない方がいいかも。そんなあなたのラッキーパーソンは、エルフの弓使い! それでは今日も元気に、いってらっしゃ~い!』


 だめだ、つっこんではいけない。

 カオスジャパンで生きていくためには、目の前のカオスを華麗に無視するスルースキルが必須なのだ。









 目の前にあるのは、美しい金箔に覆われた、神々しい宝箱である。人一人が伸び伸びと寝られる大きさである。

 DPに余裕が出てきたので、気まぐれに一つ召喚したのだ。


「さて、鬼がでるか仏がでるか」

『今度はスコップじゃないと良いですね』


 そう、前回はスコップが出てくるという残念な結果であった。まあ、そのスコップも空竜狩りに一役買っていたので、DP無駄になることはない……と信じたい。

 こんな大きい宝箱に、ちょこんとスコップが収まっている時の脱力感はどうしようもなかったが。


 仰々しい宝箱に手をかける。

 宝箱を開ける際、罠が掛かっているというのは定石だが、今回は勿論設置していない。

 まあ多少の罠なら、俺の高ステータスな体が耐えてくれるだろうが。


「なんつーか、課金ガチャと同じ様なワクワク感と緊張感だよな」

『というか、リアル版ガチャとも言えますが』


 ソシャゲのガチャとかだと、引く前にジンクスがあったり無かったりするが、俺はさっさと開けてしまう派である。


「よし、じゃあ開けるぞ。出でよ俺のニュー武器(ウェポン)!」


 宝箱の中には、クッションのような下敷きが置かれている。赤色の布がレッドカーペットを彷彿させる。

 そしてその宝箱の中に収まっていたのは──


「槍……いや、矛?」

『大矛と分類すべきでしょうね』


 ──宝箱ギリギリの大きさの、つまり人一人分の大きさの、両刃の矛だった。

 際立った装飾もなく、無骨な感じのデザインだ。だがその少し反った刃は触れただけで切れそうな程鋭く、美しい光沢を持っていた。

 素人目にもかなりの業物だと見える。


 そしてダンジョンマスターである俺と、ダンジョンコアであるコアは、ダンジョンの中にある物を把握、鑑定する能力がある。


『鑑定によりますと、魔力を込めることで大きさが変わるようですね。他にも、刃こぼれ防止、自己再生、魔法耐性などの効果があります』

「……サイズ変更が出来る矛、か。とても実用的な能力だな」


 試しに手に取り、魔力を流して小さくなるようにする。

 すると、人間サイズだった矛は一瞬で縮み、ナイフサイズまで小さくなった。

 軽いな。サイズと一緒に、重さも変化するようだ。

 サイズ変更が思いの外早い。戦闘中にサイズを変えれば、相手の虚をつけるかも知れない。


「んじゃ次は大きく……ぉお!?」


 大きくなるように魔力を流すと、勢いよく伸びて刃が天井に突き刺さってしまった。


「待て待て、縮め縮め」


 慌てて小さくすると、するすると元のサイズに戻った。

 天井には深い傷が出来ているが、ダンジョンの自己修復の作用で徐々に塞がっていく。


『凄い切れ味ですね』


 コアの言うとおりだ。伸びた勢いだけで天井にささるとは。

 如意棒に刃がついたような物だろうか。まああそこまで伸ばすと重くなり過ぎるし、不便だろうが。

 ふーむ。しかしこれは……


ご主人様(マスター)にピッタリの武器ですね』

「お、分かるか」


 丁度思っていたことを言い当てられる。さすがに過ごしてきた時間が長いのか、コアは俺の思考をトレース出来るようになってきた。


 俺は触手を伸ばし、大きくした大矛をつかむ。

 うむ。やはり長い柄の武器は、触手を巻き付けるのにちょうど良い。


複製触手(クローンテンタクル)


 能力(アビリティ)を発動し、最上級の大矛を複製する。さすがにMPを食われるが、DPを流用すれば大したことはない。

 無事、俺の九本の触手それぞれに大矛を持たせることが出来た。

 大きくした矛は相当な重さだが、化け物ステータスの俺には屁でもない。

 これで攻撃力は格段にあがったな。というか、今までで初めてまともな武装な気がする。


『おお、カッコいいですご主人様(マスター)


 コアが誉めてくれるが、正直見た目は誉められたものではないと思う。

 何せ白いブヨブヨした触手が矛に巻きつき、ウヨウヨと放射状に並んでいるのだ。

 お世辞にも格好良くはない。むしろ恐怖の対象である。


「まあ、しかしこの武器は当たりだったな。やはり牡牛座の俺の運勢が良かったからか……ただ、コアの運勢は最悪だったから、星座占いは所詮占いってことかね」

『今日の星座占いですか。確かにご主人様(マスター)が見ていた番組の星座占いの最下位は射手座でしたね。……でしたら、私の本当の誕生日だったのでは?』

「本当の誕生日? その時は自我が芽生えていなかったはずだが、覚えているのか?」

『いえ。記憶はありませんが、数字の記録としてのこっていますね』

「ああ、そういう……」


 製品に製造日がついているようなものか。


『ちなみに日本の暦に当てますと、私は牡牛座のようです』

「同じかよ……」


 つまり二人とも運勢一位だったというわけだ。

 星座占いも馬鹿に出来ないのかも知れない。




 さて、取りあえずこの大矛の扱い方を身につけねば。

 槍を想定した訓練はしていたが、大矛はまだやっていないからな。

 それにこのサイズ変更機能付きの大矛を扱うとなると、もう少し大きい訓練場を作った方が良いのかも知れない。戦いの幅が広がるだろう。

 そんなことを頭で考えながら訓練場に入ると、中には先客が居た。


「フゴフゴ」


 不遜に鼻を鳴らす大きな猪。レッドボアからラースボアへと進化なさった彼である。

 ダンジョン内で研鑽をつみ、日々レベルを上げている。


『あれ? 一回り大きくなっていませんか?』

「む、言われてみれば確かに」




Lv.112 アークボア

HP 1469/1471

MP 102/102




 またこの子進化しちゃってるじゃないですかやだー。

 しかも大台の100を余裕で突破しているし。


「で、ここに居ると言うことは、また戦いにきたのかな?」

「ガフッ」


 ラースボア改めアークボアは、こちらを睨みつけながら意気良く鼻を鳴らす。

 ほほう、おニューの武器でハイテンションになっている俺に挑むとは、良い度胸しているじゃないか。


「よろしい。また全力で相手してやろう……『解除』」


 俺は自分の身にかけていた『ダンジョン保護』を解除し、ステータスを十分の一に制限していた状態から元に戻す。

 体の中から力の奔流が沸き立ち、持っていた大矛が羽根のように軽くなる錯覚を覚える。


「さあかかってこい」

「ガフゥゥッ」




 まあ流石に圧勝だったが。

はいどうも。数学と理科が出来ない理系のさいとうさです。


何故理系を選んだのかって? 社会が嫌だからですよ。歴史嫌い。


Q.得意科目は?

さいとうさ「…………」


Q.苦手科目は?

さいとうさ「英語と、数学……あと物理と、地理。古漢は無理。化学も苦手だし、現代文もわかんない」


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