第二十八話 二ヶ月経ちました。
ちょっと二ヶ月に間に合わなかった。数日間だけ「二ヶ月更新されてません」表示が出ていましたね。すんません。
空竜を捕らえてから、実に二ヶ月が経過していた……。
あ、たしかにそんくらい経っていたなとか言わないで。しかも本編からは四ヶ月だなとかいわないで。
ちなみに今は11月下旬な。お外寒いよ。
では、十文字以内で二ヶ月で何があったかを説明しよう。
「周辺に町が出来た」
な……、何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった……。
頭がどうにかなりそうだった……。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
町、と言っても、それほど規模の大きいものじゃない。畑もないし、農民も居ない。冒険者のみで構成された基地ってところだ。
たぶん空竜を監視するのが目的なんじゃないだろうか。目撃情報もあったはずだし、それくらい大きな脅威がこの周辺にいるってだけで、冒険者ギルドや警察にとってはかなりの心配事のはずだからな。
まあ、ここは空竜がブレスを放ったせいで大分開けているし、その上ダンジョンに潜れば食料が出てくる、パイプラインも通っている。町というか基地を作るのはこれ以上なく楽だろう。
どうやら現代の建築技術と魔法を組み合わせた新技術は、恐るべき効果を発揮しているようだ。まだ彼らが来てから二ヶ月だと言うのにもう数件の家が立っている。最初のテントばかりの光景とは大違いだ。
俺にとってはDPが恒常的に手に入ってウハウハですけどね。ありがとうございます。
最初は数人の冒険者だけだったのだが、徐々に人数も増えてきた。
どうやらパンやラーメンの食べたさにここに来る日本人が多いらしい。
さらにそれを狙ってパン屋やラーメン屋、小麦加工屋などなどが既に建てられているし、大豆などを工場にもっていくためトラックが常に行ったり来たりしている。
住人の数に相応しくない活気さをもっているのだ。
DPガッポリで嬉しいです。
空竜さんからもガンガンDPを手に入れられるので、最近のDPは鰻登りだ。予定よりも早く最下層を仕上げられそうだ。
しかし、空竜が近くにいるかもしれない、という恐怖と、そもそもそれを監視するのが目的であることもあって、冒険者達はあまりダンジョンに深く潜らない。
平和だからそれでいいのだけれど、冒険者達は上層しか行かないので、せっかく完成した中層や下層が日の目を見ないのである。
そして新たに配置したボスも、全く出番がない。
紹介しろって? どうせ出番は先なんだから気にすんな。
ちなみに下層よりも下のアンデッドには、空竜の素材を使った武器をもたせ、防具を身につけさせている。
これらはコアさんが作ってくれました。なんか下層の一部がロボットの工場見たいになっていて恐ろしいです。
あといつの間にかコアさんが『京』ばりのスパコンになってます。誰得。
下層はロボットやら家電やらが放浪したりしている。ファンタジーってなんだろう。家電が飛ぶとかある意味ファンタジーだけど。
あ、一応下層のボスの一人? というか一つ? を紹介しよう。
我らが「ル◯バ」さんです。なんか勝手にレベルがあがっていて、恐ろしい性能を持ち始めている。
とりあえずルン◯が高速飛行しながらカマイタチを飛ばしていることにつっこんでいいか?
空竜さんをいたぶってレベル上げしているのだが、最近は流石に止まり始めている。というかもともとスライムの時みたいに全自動じゃなくて、俺がいちいち殺さなきゃいけないから効率悪いんだが。
とりあえず200レベルくらい上がったんだが、少ないと思っている自分がいる。そろそろ感覚おかしくなってきたな。
『ご主人様。ルドルフが来ました』
「お、了解」
もろもろの手続きをやってルドルフを部屋の中に入れる。
ちなみに彼の信頼は、空竜が来たときに逃げようとしたのでガタ落ちである。
部屋に来るのが面倒とか、酒が少ないとか言っているが無視である。
最近髭が伸びてきたのに娘に気づいてもらえないとか愚痴ってるけど無視である。ていうか剃れ。
「よお。例のアレ持ってきたぜ。ついでに昼飯を食わせてくれ」
そういって彼はでかいダンボールを持ってきた。その後ろに、数体のロボットがまた何かのダンボールを背負ってついてくる。
あ、このロボットはコアのやつな。結構デカいのをルドルフに頼んだりするので、荷物持ちようにルドルフの家に置いている。外出は流石に許していないが。
「で、これって本当に必要なのか?」
「ぶっちゃけ全く必要ないし、俺も心底欲している訳ではなかったが、とりあえず異世界物だと必要なものだ」
「何言っているのか全然わからねえ」
ウチって、日本人にあるまじき事があるんだよな。それをルドルフに持ってきて貰った。
すなわち、コタツと畳である。
とりあえず畳は一枚あればいくらでもって生産できるので、あとはコタツを一つで簡素な和室が完成である。
「というわけでちゃちゃっと作るぞルドルフ」
「へーい」
ちゃちゃっと作りました。
「おー、こりゃいいな。もう出たくないぜ」
正面でコタツに入ったルドルフが、定番すぎる反応をする。お前本当に月並みな発言しかしないな。
「これダンジョンに設置したらどうだ? 冒険者がくつろげるかもしれないぞ?」
「気味悪すぎるだろう」
ダンジョンに突然畳の部屋があって、真ん中にコタツがあるとか怖すぎる。
多分罠を警戒して誰も部屋に入らないだろう。
右をみる。
全く無駄のない、美しい横顔が見えた。
銀色の。
これ、コアが操るロボットである。別にこれと言って人間に似ているわけでもない、ガッチガチの金属のロボットが、コタツに入っている。
なんともシュールな光景だ。
何故入っているのだとか、暖かさを感じる事が出来るのかとか、そもそも暖かさを感じる意味があるのかとか、つっこみたい。
さっきから足部分のフィンがめっちゃ回っているが、コンピューター的にこんなに熱がこもっているのは大丈夫なのか小一時間問い詰めたい。
そして左をみる。
白い美しい造形の横顔が見える。
骨だが。
多分頭蓋骨の構造は美しいのだろうが、性的なアレを感じろと言うのは土台無理な話である。
ちなみに名前は直樹である。覚えてる?
暖かさを感じる神経があるのかとか、そもそも暖かさを感じる意味があるのかとかつっこみたい。
カタカタ言っているが、何を言っているのかわからない。
さっきからミカンを剥いているが、それを一体どうするつもりなのだろうか。
食べるのか? 消化器官ないだろ。肋骨をスルーして畳に落ちるだけだぞ。
うん。何この絵面。シュール。
ロボットと骸骨と髭のオッサンがコタツに入っている。意味が分からない。ほのぼのの「ほ」の字もない。
やっぱりウチでおコタのイベントは無理がある。そう気づいた1日であった。
「カタ」
直樹が俺にミカンを一房差し出してくる。
って俺に食わせるつもりだったのかよ。いただきます。
ひょいパクッと。
コタツの上にあったリモコンを向けて、テレビの電源をつける。
「……ん? 今日って祭りとかあったか?」
やたらと画面に人が居て、お祭り騒ぎになっている。
日本人と異世界人が混ざり合って、ドンチャカドンチャカやっているな。
しかし、最近は別にイベントとかは無かった気がする。ハロウィンは一か月前だし、クリスマスはまだまだ先だ。
最近何かあると言えば……勤労感謝の日? とかあったかもしれん。
しかしその日は祭りをするような日じゃないだろう。社畜を崇める日だ。……違うか。
「コア、この祭りって何なんだ?」
『一周年を祝っているらしいですよ』
コアが操作しているロボットが、こちらを向いて合成音声で答える。
しかし、一周年?
一周年ってなんの……
「ん、あぁ、たしかに一年か」
今日は11月24日。その正午だ。異世界が転移してきた時──通称1124事件があってから、ちょうど一年だった。
全く忘れていたな。よく一年でここまでダンジョンを作り上げた物だ、と自画自賛する。
異世界が転移してきたのは、一年前の11月24日の正午。それにあわせてカウントダウンするらしい。
『では、転移してきたあの時からちょうど一年、カウントダウンです!』
──しかしまあ、なんというか……前代未聞の怪奇現象までお祭りにしてしまうとは……。
『10・9・8・7・6・5・4! 3! 2! 1!』
『0! 異世界サイコーーー!!』
『エルフ! エルフ!』『ネコミミに感謝を!』『合法ロリ! ドワーフこそ至高!』
……今日も日本は、平和でカオスでクールです。
昔、私は「新連載に本腰を移すつもりはない」とか言っていたな?
……あれはウソだ。
わかってましたかすんません。
だってもう評価も文字数もユニークアクセスもあっちが上なんだもん。唯一こっちがPVで勝ってるけど、それもすぐに抜かれそうですし。
受験終わったら同時に更新するかもって感じですかね。