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閑話 無口な銃使いと開発狂いなギルマス

「この連載小説は未完結のまま約2ヶ月以上の間、更新されていません。」の注意書きが出るギリギリで投稿するクズは誰だ? 俺だ。

しかもひさしぶりに投稿した話が閑話なのはどの小説だ? これだ。


すんません。なんだかんだいってめっちゃ召喚された件贔屓になってます。いやあっちも更新速度激遅ですけど。


受験終わったら更新ペースはやくなると思いますよ。たぶん。

それが何年後かは知りませんがね!


「ギルドマスター、ついに被験者を見つけました」


 アリアが部屋に入り、報告をした。その相手は、白衣に身を包み、その長い耳が特徴的なギルドマスターことキセル・ベーカーであった。

 いつもならアリアの声など難聴の老人のごとく聞き流してしまうところだが、今日に限っては違った。


「本当ですか!?」


 キセルは勢いよくアリアの方を向き直った。


「ええ。警視庁の向井(むかい) 明石(あかし)という刑事です」

「合致条件はなんです?」

「火、土、水の三属性持ちで、拳銃に関しては主席の成績を修めています」

「ほう。火、水、土とは都合がいいですね」

「また、備考ですが、実践レベルで二丁拳銃を使いこなせるとか。彼の友人の話ですが」


 キセルはその話を聞いて、嬉しそうに目を細めた。


「それはそれは……その話が本当ならば、実験には打ってつけですね。レベルはどうなっています?」

「高くはありません。15ですね。日本の規定の拳銃では魔物を倒しづらいそうで。本人がレベル上げに注力していないのも理由の一つですが」

「まあ、小口径の銃弾ではゴブリン程度が限界ですから。C、Dランクを倒せるかは怪しいですし」


 キセルは立ち上がり、白衣の寄れを正すと、アリアに命じた。


「一度本人と直接話をしましょう。高木警部に話を通して下さい」

「了解しました。あと、直接面談を行う上で、耳に入れて頂きたいことが……」

「なんです?」

「……どうやら、性格に少々難があるようでして……」











「あんたらが、俺に用があるって奴か?」

「ええ」


 翌日、向井がギルドマスターの部屋に呼び出された。

 彼は細身で、黒いスーツを着ている若者だった。黒髪は大して手入れもせずにボサボサとしており、黒縁の眼鏡をかけていた。

 開口一番、礼節を一切無視した言動をとる彼に、アリアはため息をついた。

 キセルはアリアに小声で尋ねる。


(これが、性格に難、ですか?)

(ええ。曰わく、『ギルドマスターとやらは俺の上司ではないから、敬語を使う必要は無い』とのことで……)

(それは、社会人としてはどうなんでしょうか……。この世界の社会は、我々でいう貴族社会に似たものが有るはずですが……)

「おい、なにこそこそ話しているんだ。早く本題に入れ」


 小声で話し合っていた二人に、向井が声をかけた。その言動に、怒りや苛立ちなどの感情は見えない。さっぱりしたものであった。

 向井 明石はその言動故、礼儀知らず、ガサツ、傲慢だと見られることが多いが、その実そうでもない。

 礼を怠ることが多いのは確かだが、上司や重要な局面では、まるで執事のような正確な態度をとる。

 ガサツなのは身の回りに関してのみで、それは彼が女に興味が無いことに起因する。ちなみにそれでもモテる。イケメンだから。死ね。

 特に仕事に関しては、几帳面に過ぎることもあった。

 態度が大きいため傲慢に見えることがあるが、彼と親しい人間ならば真っ先に否定するだろう。自分の能力を過信せず、常に第三者視点から物事を眺め、驕らずに努力を怠らず、負けたことを受け入れる。

 彼はさっぱりとした性格であった。周りの人間や部下には、侍のようだと評価を受けることもあった程だ。

 彼は高い能力を持っていたが、その性格が起因し、なかなか刑事より上の地位に上ることはできないで居る。


「失礼。私はキセル・ベーカーと言います。この冒険者ギルドのギルドマスターを務め、また、国立魔工第一研究所の所長を兼任しています」

「私は冒険者ギルドの副ギルドマスターのアリアです」

「向井様には、我々の実験に協力して頂きたいのです」

「内容による」

「では説明させて頂きます。アリア、あれを」

「わかりました」


 アリアはあらかじめ用意されていたアタッシュケースを机の上に置いた。

 ケースを開けると、中には四丁の拳銃が用意されていた。形状は三種類あり、最も口径が小さいものだけが二丁あった。


「私は研究所で拳銃や銃の研究をしておりまして、つい先日、試作品(プロトタイプ)の開発に成功したのです。この四丁が、それです」

「ふむ」

「これらはこれまでの拳銃と違い、魔法陣を組み込むことで魔法や魔力を銃撃に利用しています。本来我々が試験を行うべきなのですが、実用性という面を考え、実際に銃を扱う人物にテストをしてもらうことにしたのです」

「それで俺が巻き込まれたのか」


 キセルは笑顔で頷く。


「その通りです。卓越した近接射撃能力、そして三属性持ちというのは今回の実験の被験者にぴったりなんです。私を含めて、冒険者ギルドにも研究所にも、拳銃の技術がある者が居なかったのです。唯撃つことは出来ても、僅かな違和感などはわかりませんから」

「なるほどな……」


 向井は考え込むように顎に手を当てた。


「この技術の用途は?」

「対人間にはまた別の物を用意します。これらの拳銃は、対魔物です」

「ふむ。了解した。国の自衛能力に関わるのならば、喜んで手を貸そう」

「ありがとうございます」

「だが、俺は全く魔法に手を着けていないが、実験に支障はないか?」

「問題ありません。魔法は魔法陣により、簡単に使えるようにしてあります。魔力量も大きな問題ではありません。不足分は魔石で補えます。属性付きの魔石は、魔力をため込むのにあまり適さないのですが、向井さん自身が属性を持っているので、純魔力の魔石が使えます」

「よくわからないな……。見ての通り、魔法に関して一切の知識は無いため至らない所があると思うが、よろしくたのむ」


 その後、キセルは実験の概要を話し、二人で実験の進行予定を確認した。









 向井はまず射撃場に連れて行かれた。貸切のようで、周りに他に使っている者はいなかった。

 メンバーは4人、キセル、アリア、向井、高木だ。


「すみません。何故高木警部が?」

「簡単な話だ。何かあったら責任どうすんのってな」


 高木警部は向井の質問にめんどくさそうに答え、咥えたタバコに火をつけた。


「すみません。何かあったら困るので、煙草は御遠慮ください。火気厳禁で」

「……わかった」


 キセルの注意に、高木警部は惜しそうに煙草の火を消す。


「では早速、実験に移ります。向井さん、まずこれを」


 キセルはケースの中から、最も大きな拳銃を渡した。

 それを見て、高木警部はキセルに質問する。


「……俺は実験内容聞いていないんだが……これはなんだ? 拳銃にしては大きすぎると思うが……」

「研究所が一から作った、大口径拳銃です。口径は14mm」

「いや何作ってんだあんた!!」


 あまりの規格外なサイズに高木は大声でつっこんだ。拳銃の口径は大きくて12mm。それでも撃ったら使用者の腕が吹き飛ぶほどである。14mmは明らかに大きすぎるのだ。


「反動はかなり押さえてあります。無属性魔法の魔力爆発をカプセルで応用し、ハンマーを上手く連動させることで射撃の瞬間に反動軽減が起こるように調整されています。また射出は完全に魔法に依存しており、弾丸や薬莢が不要です。そのためジャムもなく、拳銃を横にしても安全に射出が可能です。射出には魔力爆発を火属性の魔法でブースとしています。魔力爆発はカプセルの前端で起きており、維持時間を減らしているためこれが……」

「ギルドマスター、簡潔にお願いします」

「……魔法で反動を軽減するようにしています」

「大丈夫なのか?」


 高木警部の心配に、キセルは笑って答える。


「多分」

「多分!?」

「心配しなくていいですよ。失敗しても肩が脱臼して骨が折れる程度ですから」

「なんも安心できねえよ! その責任俺に回ってくるんだからな!? おい、向井! いやなら止めてもいいんだぞ!?」

「大丈夫ですよ」


 ドガァァァン


「躊躇無えなお前!!」


 向井が撃った弾丸は、人型の的の喉元に大きな穴を作った。


「おい! ライフル並みの威力があるぞ! 実用化していいのかこれ!?」

「僅かにズレがあるな。左右のブレはないが、心臓を狙った筈だが上に逸れた」

「上下の反動軽減装置に誤差があるようですね。反動自体はどうですか?」

「並みの拳銃よりも強いな。素人が使ったら手を痛める」

「完全に反動は殺しきれませんでしたか」

「クールだなお前ら!」


 騒ぐ高木をよそに、実験は再開する。


「次はこれです。標準規格の市販の拳銃を改造したものです。まずはこの弾倉(マガジン)を」

「わかった」


 向井は慣れた手つきで遊底(スライド)を引き、安全装置(セーフティー)を外す。

 そして大して照準も定めずに、引き金を引いた。


 ダァン


 弾丸は寸分の狂いもなく、頭部の中心を撃ち抜く。


「すごいな……跳ね上がりがない。それに反動もほとんどないな」

「つかお前の射撃能力相変わらず狂ってるな」

「これは市販の拳銃に改造を施しただけです。次は特製の弾丸を用意しました。すでに薬室にあるはずです」

「わかった」


 向井はまた別の的を狙い、引き金をひく。


 ドゴォォォン


「おい! 的が爆発したぞ!」

「魔法陣を弾丸に用いた榴弾です。衝撃と魔力に感応して、火属性の爆発の魔法を展開します。小さな弾丸でも榴弾になり、また炸裂徹甲弾という代物も作成可能です。皮膚が硬い魔物には非常に有効でしょう」

「いやこれこの射撃場でやって良い事じゃないだろ! 演習場使えよ! 見ろよ的粉々だぞ!!」

「これは有用だな。しかも反動は変わらない、か」

「では次の実験に向かいましょう」

「わかった」

「総スルー!?」


 高木の虚しい叫びが、射撃場に木霊した。







「おい、なぜ俺たちは森にいるんだ。しかもなぜ、俺達の前にゴブリンの群れがあるんだ」


 四人は車で一時間ほどの、とある森に来ていた。

 高木の当然の疑問に、キセルは逆に不思議そうに答える。


「実験のためですが?」

「いやそれは……いや、もういい。もうなにがあっても驚かない」

「では向井さん、こちらの二丁の銃をお使い下さい。どうせなら二丁拳銃のスタイルで」

「二丁拳銃は簡単だが、リロードができないと思うが」

「……それはお前だけの話だぞ向井。普通の人間は二丁拳銃なんて実践できない」


 高木は頭を抱えながらため息をつく。


「問題ありません。これは土属性魔法によって、魔力が保つ限り半永久的に弾丸を作り出す拳銃です。しかも、どちらもフルオート射撃が可能です」

「恐ろしい物を作ったなあんた!」


 フルオート射撃は、機関銃のように連続して弾丸を打ち出すものだ。本来は弾丸の数の問題で、比較的大きな銃を使うのが一般的である。反動が大きく、連続するので、大口径の場合は固定する。もともと狙いを定めることは視野に居れておらず、広範囲に弾丸をばらまくことで敵の行動を制限したり、殲滅するのがほとんどである。

 拳銃でフルオート射撃は可能だが、弾倉(マガジン)に入る弾丸の数が少ないため、数秒で弾切れになってしまう。また連続した跳ね上がりを押さえることができず、銃口が徐々に上を向いてしまうなどの問題があるのだ。

 しかしキセルが開発した拳銃ならば、弾切れがなく、そのうえ反動軽減装置で跳ね上がりを適度に押さえ、実用可能なレベルまで仕上げられていた。


「これでゴブリンの群れを壊滅させて下さい」

「わかった」


 向井は二丁の拳銃をキセルから受け取ると、ゴブリンの群に向けてフルオート射撃を開始した。


バラララララララララララララララ………










「おい、なんで俺たちの前に血の池がひろがっているんだ」


 容赦なく殲滅されたゴブリンの群れを前にして、高木警部が呟いた。

 キセルは逆に不思議そうに答える。


「実験の結果ですが?」

「いやそれは……あぁ、もう何があっても驚かないと誓ったはずだったんだがな……」

「ふむふむ、魔石内の魔力の残存量はこんなものですか。……向井さん、使ってみてどうですか?」

「大きな問題はないと思うが、長く射撃を続けると、徐々に跳ね上がりがズレるようになった」

「うーん、反動軽減装置のタイミングにまだ改良点がありそうですね」


 うなだれる高木をよそに、キセルと向井の会話は続けられる。


「ギルドマスター。そろそろお時間です」

「わかりました。アリア、ありがとうございます。向井さん、良ければこの四丁はお貸しします。レベルが上がれば魔力が多くなり、魔石なしでも銃を使える事ができるはずです」

「わかった。感謝する」

「許可諸々は、高木警部にお任せします」

「なぜ俺が!?」





 その後、上司への許可と質問への説明に奔走し、やつれた高木警部の姿が見られるようになったという。




頭の中では完結までの構成が出来ているんですが……なんか終わる気がしない。

四章があまり重要では無いので、細かいところを決めずにずるずる来たってのもありますが。


なんか脳のリソースの小説部分の半分以上が「めちゃ喚」に浸食されてる。危うい。


もうプロット公開するから誰か続き書いてくんねーかな……


…………もちろん冗談ですよ!?



追伸

今回の話、銃の知識がないとわからなかったかもしれません。ろくに説明してないので。

でも、細かく説明すると一話じゃ収まらんのですよ。


また、銃の知識があるかたは、生暖かい眼で見て下さい。俺のもっている知識はにわかです。

つっこみどころは多々あると思いますが、致命的な間違いだけ指摘して、後は寛容な心で見逃して下さい。

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