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外九話 魔王とダンジョン

友達と話してて、次世代「艦○れ」として、骨格コレクション、「骨これ」ってどうよ的な話となり。

美少女化をどうしようか考え、「書いて見ろよ」と言われて骨格美少女を書いてみたらカオスになりました。(ちなみに書いたのは大腿骨と第五肋骨と骨盤と下顎骨です。骨盤は左右に分けてません。)

左右で対になる者が多く、「キャラの大半に双子がいる」問題や「肋骨兄弟多すぎ」問題、「骨盤が露出狂にしか見えない」問題が浮上。断念しました。

ちなみに友人は「骨盤美少女」がツボに入ったようです。俺を見る度「骨盤www」とか笑い始める始末。(骨盤美少女は、自分の恥部を骨盤でギリギリ隠しています。パンツ丸出しにしか見えない。)

どうでもいいですね、はい。


そういえば、新連載の「めっちゃ召還された件」が日刊ランキング三位になりました。後少しで総合評価も「自宅ダンジョン」を抜き去りそうです。

副次的効果で「自宅ダンジョン」の評価やPVも上がり、再び日刊ランキングに載りました。

 淡い森の中の舗装路を走る自動車があった。

 空竜が目撃されてから、この道はほとんど自動車が通らない。

 通る者も、一目空竜を見たいという好奇心にかられた日本人くらいなものだった。異世界から来た者は総じて、空竜の恐ろしさに身を震わせていた。

 走る自動車は黒塗りで、木の葉の隙間からこぼれる日光を、その艶のある表面で反射する。

 この道を通るのは、農家の軽トラックか冒険者のワゴン車くらいのものであり、黒光する自動車は余りにも不自然で、珍しかった。

 後部座席に座った、タバコをくわえ、ヒゲを蓄えた男が不機嫌そうに言った。


「カラハ、後何分くらいで着くのかね?」

「後二十分程度です。キリーヤ様」

「まだそんなにあるのか……」

「それでもこの世界だからこそ、です。あちらの馬車ならあと一時間はかかります」

「……はあ、それもそうか」


 キリーヤと呼ばれた男は、助手席に座る男に声をかけた。


「カラハ、あの(・・)ダンジョンの先見隊の報告をもう一度聞かせてくれ」

「はい。まず、ダンジョンの難易度ですが、DからE程度と予想されています」


 カラハは手元の資料をめくる。


「そして、ダンジョンの種類ですが、『遺跡のダンジョン』だと予想されます」

「根拠は?」

「まず、壁面がレンガで覆われていることから、それが印だと判断しました。」

「カラハ、間違っても『レンガのダンジョン』ではないな?」

「『遺跡』だと判断した理由は他にもあります。まず、奥に行くとレンガの隙間から所々木が生えている事です。これは前回の『遺跡』の特徴に酷似しています。また、ゴブリンやオーク、レッドボアといったアンデッド以外の魔物が存在していた事です」


 それを聞いて、キリーヤはため息を付いた。


「『レンガのダンジョン』はアンデッドのダンジョンだからな。外から紛れ込んだ可能性は?」

「二階層のボスを越えた先にまで存在していたので、その可能性は無いかと」

「ふぅ、ならば一安心だな」

「あの、すいません」


 それまでしゃべっていなかった、運転手に座った男が声をかけた。


「どうした山倉」

「その、『レンガのダンジョン』ってのは何なんですか?」

「知らんのか。これだから日本人と仕事をするのは嫌なんだ」

「いえ、キリーヤ様。昨今の子供は『レンガのダンジョン』を知りません。あの百年前の大災害を教えられていない事もあります」


 山倉に呆れた様子のキリーヤに、カラハが発言した。


「山倉。君は運転手として雇われただけだ。あまり我々の仕事に首をつっこまない方がいい」

「……はい」

「だが、まあ『レンガのダンジョン』についてなら教えてやらないこともない。我々と同じ様な世代の異世界人なら誰でも当たり前のように知っている話だ」


 前置きを終え、キリーヤは真剣な表情になる。


「『レンガのダンジョン』。またの名を『アンデッドダンジョン』、『迷宮』、『城』、『魔王のダンジョン』、そして『最凶のダンジョン』。かつてはおとぎ話にされ、怖がられた存在だ。

 百年前、魔物による大侵攻が起こった。十の都と百の町と千の村が飲み込まれ、破壊されたという。その元凶が『レンガのダンジョン』だった。聞いたことがあるだろう、『ダンジョンの幻』というものを。厳密には幻ではないとわかり、ダンジョンの7不思議に数えられているあれだ。ダンジョンの幻は、ダンジョンの外には出られないと考えられていた。その当時までは。

 『レンガのダンジョン』から大量のモンスターが湧き出したとき、『ダンジョンの幻』がその大半を占めていたという。『ダンジョンの幻』は、弱いが倒しても霧のように消え、またいつかその場で再生してしまう性質を持つ。一つ一つは弱いが、それが雪崩のように攻めてきたらもうたまらんよ。しかもそれが無限に湧き出てくるとある。

 しかも魔物の群れにはAランクの冒険者でなければ倒せないような魔物もいたのだ。『ダンジョンの幻』を相手している間に、その強い魔物に殺され、その強い魔物に注意を向ければ『ダンジョンの幻』の物量に押し流される。

 各国から討伐隊が出されたが、結果は散々なものであった。そしてその最中、あらゆる場所に、レンガの『印』をもった小さなダンジョンが現れたのだ。魔物達はその小型ダンジョンを砦のように使い、統率された軍のように行動し始めたのだ。

 悪夢が醒めたのは、覚醒した勇者がそのダンジョンマスターを殺した時だった。 ダンジョンマスターは自身を『魔王』と自称していた。あらゆる文献と勇者の情報から、彼は魔族の生き残りで、本当に魔王の一人であった可能性があるとわかった。

 ダンジョンマスターの死体から取り出されたダンジョンコアは、数々の封印を施され、厳重に保管された。以降、この大惨劇は『いかなダンジョンでも軽く見るな』という教訓として、おとぎ話となり、語り継がれるようになったのだ。

 『レンガのダンジョン』は、魔物が特別強いわけではなかった。他の有名なダンジョンのように、特徴ある複雑な構造も持っていなかった。成長度合いも普通だった。それでもあのような惨劇が起こったのは、ダンジョンが支配する空間が異様に広かったと見る学者もいる」


 一通り話し終えたキリーヤは、ふかふかの背もたれに背中を預けた。


「もしも今回の転移で『レンガのダンジョン』のダンジョンコアの封印が解かれ、さらにこの世界に根付いていたら、大事件だ。それならば何よりも優先し、冒険者ギルドに報告せねばならなかった。それでは今後の計画に支障がでる」













 二日前、日本政府、冒険者ギルド重役会議。


「では、報告を。高木警部」

「はい」


 高木はその声に頷き、立ち上がる。


「先日、私の部下である羽根が、100レベルに到達しました」


 ほう、というため息が、部屋にもれる。

 たとえ高ランクの異世界出身の冒険者であろうと、未だに100レベルには到達していなかったからだ。


「随分と早いじゃないか」

「羽根は能力(アビリティ)により、よりはやいレベルアップが可能でした。また、実験の面もあり、彼を冒険者とし魔物と多く戦わせました。その結果です。そして、彼が100レベルに到達したときに能力(アビリティ)に変化が起こりました。」


 同じ能力(アビリティ)持ちである内閣総理大臣の眉がピクッと動いた。


「なにがあったのだ?」

「簡単に言ってしまえば、能力(アビリティ)の統合です」

「統合だと?」

「改良と言っても良いかも知れません。彼の証言では、通常のレベルアップのナレーションとともに、『獲得経験値増加と必要経験値減少が併用されました。能力(アビリティ)の相乗効果を確認。新しく能力(アビリティ)、「成長促進」を獲得しました。能力(アビリティ)、獲得経験値増加と必要経験値減少は「成長促進」に吸収されます』というナレーションがあったと言います。ちなみに今のナレーションは羽根の証言を一語一句変えておりません」

「ふむ。レベル100到達というのが、一つのボーダーなのかもしれん」


 会議のメンバーが考え込んでいると、突然部屋の扉が開かれた。


「失礼します!!」

「なんだ! 騒がしい!」


 会議のメンバーは一斉に、不機嫌そうに、扉を開けた男を睨んだ。

 その中、ギルドマスターだけは、彼に驚いた声で聞いた。


「キリーヤ? キリーヤですか? どうしました? なにがあったのです!?」


 キリーヤは冒険者ギルド職員の古株であった。そのため、ギルドマスターと面識があったのだ。


「ギルドマスター! 大変です! 空竜が出現しました!!」


 場は騒然となった。

 異世界出身の者は冷や汗を垂れ流し、その様子を日本人は戸惑いながら見ていた。







 キリーヤの報告が終わった後、会議室の静寂を破ったのは、アリアの泣きそうな声であった。


「すいません……ギルドマスター……私が功を焦ったばっかりに……」

「いえ。責任があるとすれば、あなたに任せた私にあります。しかし、今回の空竜は……」

「責任は誰にも存在せんよ、ギルドマスター殿」


 そのしゃがれた声の主は、元Sランク冒険者、現冒険者ギルド相談役のカナズであった。


「空竜とはまさしく天災じゃ。そこに責任なぞ存在せんわ」

「失礼しますが、カナズ殿、それは甘えでは無いですか?」


 内閣総理大臣の質問に、カナズは首を振った。


「じゃあ逆に聞くが、総理大臣。たとえ嵐が起こったとして、その責任を誰かにもとめるかい?天災というのはそういう意味じゃて。もともと、ワイバーンと空竜は関わりが無いとかんがえられていたのじゃ。ワイバーンの巣に空竜がいるなんて、予測できんわ」


 カナズはアリアとキセルを振り返る。


「むしろ責任が問われるのはこれからじゃ。いかに対処し、いかに予防するか。いかに堤防を築くか、じゃて。」

「ギルドマスター、副ギルドマスター、対処を頼みます」

「はい」「……はい」


 二人が頷いたあと、キリーヤが手を挙げた。


「ならば、空竜の監視は私にお任せください。もともと私の管轄ですから。……費用を下さい。そうすれば、私は空竜の足元に基地を敷き、後に冒険者ギルドを建てましょう」

「キリーヤ、それは命を捨てる行為だ。いいのか?」

「ならば対価を頂きましょう。なに、あなたと私の仲です。キセル殿ならお分かりでしょう」












 対価とは、すなわち賄賂であった。

 空竜の最終目撃場所に、穀物が宝箱に入っているダンジョンがある、その情報を、キリーヤは掴んでいた。

 通常の作戦に関する費用から、ダンジョン産の穀物により浮いた食費を自分の物とする。キリーヤの計画はこうであった。

 無論、よい行いでないのはキリーヤもキセルも知っていた。

 キリーヤは金に目がない子悪党ではない。キリーヤは、賄賂を要求した分、どれほど危険な仕事であってもこなす、そういう元冒険者の冒険者ギルド職員であった。

 キセルは賄賂にあまり良い感情を持っていなかったが、賄賂を受け取ったキリーヤの仕事ぶりは信用していた。

 その奇妙な信頼関係が、二人の昔ながらの付き合いだった。


 自動車はその森を抜け、開けた視界の一本道を走る。

 フロントガラスの先に、大きなクレーターと一軒の家がぽつんとたっていた。

 所々削れた山肌が、空竜の存在を予感させた。












「随分と面白いことになっているじゃないか、糸目 隆司」


 上空高く、その白い空間で、一人の少年が下界を見て面白そうに口を歪めた。


「どうしたんだ?神様」


 彼の後ろから声がかけられた。神様と呼ばれた少年の後ろに立つのは、薄紅色の長い髪を二つに両サイドで束ねた、絶世の美女だった。

 そしてそのとなりからついてくるように、深くフードをかぶった寡黙な男が歩いてきた。


「大魔王レイピアナと、魔王リビルツかい? いやなに、下界の物語が着々と進んでいるな、と」

「……いつになったら私達を解放するんだ?神様」

「解放だなんて、嫌な言い回しをするじゃないか! 僕は君たちを生き返らせたのだよ? 十六人の魔王を蘇らせ、その九人をあちらに、七人をこちらに寄越したんだ。君たちの、千年前の復讐のために」

「ならば何故、いかせない」

「何、せっかくのゲームなんだ。ハンデが無ければ面白くないだろう? 君たち魔族には一人一人に能力(アビリティ)を、魔王には知識を、人間には時間を」


 なおも楽しそうに笑う神に、大魔王レイピアナはため息をついた。

 すると、フードの男、魔王リビルツが口を開いた。


「だが、いいのか神よ。十六人の魔王のうち、大魔王を含めた序列上位七人が全員この世界にいるのだぞ?」

「そりゃそうさ、あっちは余興。物量で押してくる勇者達に全滅されたい?」

「いや、断る。物量は怖いものだ。俺もそうだった」

「そうだね、あの百年前の大侵攻はなかなか面白かった……、そういえば、君のあのダンジョン、封印が解かれてある男の物になっているのだが、かなり面白いことになっているんだ。あの空竜をボス部屋に閉じこめちゃったんだ。」

「空を飛んでこそ真価を発揮する空竜を部屋に? 馬鹿のやることだ。ダンジョンコアとの融合で狂わされたか」

「君もあのとき狂っていたじゃないか。それに彼は空竜をボスとして使う気はあまり無いようだけど……」


 少年の姿をした神は、再び下界に顔を向けて笑った。


「準備は着々と進んでいる。アイテムが揃い、魔族が放たれ、勇者が覚醒し、戦争が始まる。百年前のような、千年前のような戦争が………我ながら面白いゲームだ。人間(プレイヤー)諸君、早く育て、青い実よ熟れろ。急がないと、魔族(プレイヤー)達が放たれるよ……?」











 ダンジョンコアと融合したパソコンから、そして糸目の脳内で、アナウンスが響いた。


『神の選抜を受けました。「レンガのダンジョン」を「七龍のダンジョン」に「龍の卵」として登録されました。』


「龍の……卵?」


 糸目は脳内で、既視感(デジャヴ)のような引っかかりを覚えた。

ようやく動き出した物語。これで閑話を除いて第三章は終わりです。

これからは不定期更新になると思います。

あ、別に新連載が調子づいているので本腰を移すとかではないですよ?

単純に、大学受験が近づいているなあ的な問題で。





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