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第二十三話 爆音再び

前回のあらすじ


主人公力


ラースボア>>>>糸目



とりあえず一昨日の爆発事件は修復がすべて完了している。

といっても、被害があったのは実質的には訓練ルームのみで、他は揺れた程度らしい。

まあそれでも家畜達やモンスター達は非常に驚いたらしいが。

修復力を集中させたお陰で、昨日の時点で訓練ルームは修復されており、今日はその残りをチョコチョコっとなおした感じだ。


未だにあの爆発の利用は出来ていない。

問題点がいくつかあるのだが、まず一つは威力が高すぎて、罠としては使えないこと。

二つ目は、俺の意志で爆発させるしかなく、さらに起爆まで詠唱というタイムラグが発生する点。

そして最も大きい理由として、俺自身のMPを消費してしまう事が上げられる。

これは検証してみて分かったのだが、複製魔法(コピー)複製触手(クローンテンタクル)で消費するMPはDPで補えたが、呪属性魔法で消費するMPはDPで肩代わり出来ないのだ。

予想できる理由としては、前者二つが能力(アビリティ)であるということ。

俺の持っている能力(アビリティ)はダンジョンの実績解除の際に手に入れた物なので、ある意味ダンジョンの力と言えるのかもしれん。

そのためダンジョンの力である能力(アビリティ)はDPで使用できるが、俺自身の力である呪属性魔法は俺のMPでしか使用できないと言うことなのだろう。

起爆には一々相当なMPを消費しなければならないので、迂闊に使うことは出来ないのだ。


ピンポーン


「ん?ルドルフか?」

『みたいですね。今繋ぎますね。』

「よろしく」


昨日と同じくしてルドルフが来るようだ。

ゲームは買ってきたのかな?でなければ許さん(理不尽)


『…夕飯を…食べさせてくれ…』

「ゲームは?」

『三本買ってきた…』

「ようこそwelcomeいらっしゃい!歓迎するぞ招待客!」

『お前……手のひら返しが露骨すぎるぞ……』


やったね糸目ちゃんゲームが増えるよ!

これで引きニート堕落生活をまた楽しめるぜ!


「じゃあコア、よろしく。」

『わかりました。衛兵、扉をあけてください。』


ルドルフがこのコアルームに来るには、コアの命令で開く隠し扉を開けてもらい、コアが操る足場が来るのを待ち、その上に乗って来なければならない。


そのため、


『だあぁぁ、めんどくせぇ!』


というわめき声がたまに聞こえてくるのだ。








「おっす。おつかれさん。」

「なんで妙に機嫌いいんだよお前。」


げっそりしたルドルフが俺をジトッと睨んでくる。

おっさんのジト目はいらないんだよ。


「ほい。」

「? なんだその手は」

「ほい。」

「………」

「ほい。」

「ああ、はいはいわかったよ。」


俺の差し出した手に、ルドルフがゲームを三本乗せる。


「お、新作じゃんありがとう」

「お前キャラ変わってないか?」


何を言う。俺はいつでもクールだぞ。


『料理は何にしますか?』

「ビーフシチューで」

「オムライスで」

『間をとってハヤシオムライスにしますね。』


二人して注文が子供すぎるだろう。俺も含めてだが。


『ソースがちょうど余っていたのでそれ使いますね。』


コアの操作でキッチンのロボゴーレムが動き出す。

そしてルドルフは俺の前の椅子に座り、いつの間にか持ってきていた酒を開けた。


「すぐ酒に走るなお前。実はそのネコミミは偽物で、種族はドワーフなんじゃないか?」

「いや、ドワーフはもっと小柄だし、酒なんて水のように飲むぞ。俺なんて比べりゃまだましだ。」


マジレスで返すな。

ていうかドワーフはこいつより飲むのかよ。飲みすぎだろ。


ルドルフが瓶を一本空けた所で、ロボゴーレムが料理を持ってきた。

白身と黄身がほどよく混ざり合い、柔らかく焼き上げられた卵に艶めくビーフソースがかけられている。


「酒にハヤシオムって合うのか?」

「さーな。ま、合わなくても水を飲んでるようなもんだから気にしねーよ。」


いやその理屈はわからん。

あれか、こいつにとっては酒はドリンクバーみたいなもんなのか。

ルドルフはスプーンを卵に沈み込ませ、ソースを絡ませながら薄く赤いチキンライスと共にすくい上げ、頬張った。


「しかしこっちの料理はうめーな。こんなフワトロな卵は食ったことねえよ。」

「いや、ここまでのはこっちの世界でもなかなか食えないぞ。」


コアのダンジョン内把握技術とロボゴーレムの細やかな微調整の結果だな。


「あとあれだな。愛がこもってるよ。」

「何言ってんだルドルフ。」

『それはもうご主人様(マスター)への愛情をたっぷり込めてますから。』

「うらやましーねー」


ルドルフが茶化してくるがどうでもいい。

いやコアは非常に助かってるし良い奴なんだが、どーも恋愛対象にはならん。つかパソコンに恋するって端からみたら変態だぞ。

あれだな、恋愛には性欲が伴うのかとかいうあれだな。

ただ、コアの魂が人間に近しいものだからか、料理は非常に人間味あるものになっている。

流石だぜコアさん。もしかしたらそこも計算済みかもしれんが。

こうして考えてみると、料理、家事、仕事の補佐と万能なコアさんは良妻と言えるかもしれない。

いや、ご主人様(マスター)と呼ばれているからどちらかというとメイドか。


「おーい、どうした?」

『考えにふけっていますね。』

「ん、あぁ、すまん。」


黙った俺を心配してくれたようだ。

大丈夫、真面目なことは考えていない。


「そーいえばよ、前から聞きたかったんだが。」

「ん、なんだ?」


唐突にルドルフがまじめな顔になり、俺も身構える。


「なんでそう徹底的に、外の連中を拒むんだ?」

「……そう見えるか?」

「ああ、隷属して、仲間であるはずの俺にさえ、これ(・・)だけ侵入し難くするほど警戒している。なんつーか、自分以外の全てを拒絶しているような……」

「………」


黙り込んだ俺を見て、ルドルフは酒臭い息を吐きながら言葉を続ける。


「おまえ、過去になんかあったのか?」

「………さあ、」






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ガチャ

「隆司ー、明日香ー、帰ったわよー。」

「おかえりなさいー、おかーさん。」

「おかえり!お母さん。」


ガチャ

「りゅ、隆司……?」

「あ、お母さん。口紅落ちてたよ?」

「なんで勝手に私の部屋に入ってるの!?」

パァンッ

「痛っ……お、お母さん?」

「早く出て行きなさい!」

「………」

「いい!?勝手に人の部屋に入ってはいけないのよ?わかった!?」

「……はい。」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~









「………………なんでだろうな………。」

「?」


再び黙った俺を見て、しゃべる気がないことを察したルドルフは、さらに酒をあおる。


「ま、話したくねーならいーさ。過去は人それぞれだ。」

「そうかい。」


食べ終わり、ハヤシソースがへばりついた皿を洗い場に持って行こうと立ち上がる。










ドオオォオォオオォオォォォォンンンンン…………


「『「!?」』」


そのとき、突然空間が揺れるような連続爆発の崩壊音が鼓膜を叩いた。


パラパラと落ちてくる砂や小石を手で払う。


「何が起きたんだ!?コア!」

『確認中です………

………っ!!』

「どうした?」

『地上部分が攻撃されています!』

「何!?」


地上でたむろしている冒険者か!?

いや……あれほどの音を鳴らせる攻撃手段を持った冒険者などいなかったはずだ。


「地上からの映像を画面に映してくれ!」

『はい。』


急いでディスプレイの前に立つ。

すると画面に 半分崩れた部屋が映った。


「敵はどこだ!?視点を変えられないか?」

『お待ちください。』


カメラがグルッと回転し、崩れて穴になった所から空が見える。


「何!?」

『あ……』


崩れてギザギザになった壁の隙間から見えたのは、遙か上空に翼をはためく存在であった。


「……竜?」


そいつはこちらを再び振り返ると、ガパッと顎を開き口の中に白く光渦巻く何かをくわえ込む。

そして次の瞬間、閃光と共に放たれたそれは、残りの壁をたやすく吹き飛ばし、画面は灰色のノイズに埋められた。


『高密度のエネルギーによって監視が妨害されました。回復作業に移ります。』


何で竜がこんな所に来たのかはわからん。

そして何故ここを攻撃したのかも。

だが、俺の(ダンジョン)を破壊した罰は受けてもらおう。

俺は煮えくり返った(はらわた)に口を歪ませた。




別に糸目の母親は部屋に危険物を隠していたなんて事はありません。

母親には息子や娘にも隠し通さなければならなかった秘密が………ありません。

彼女は単純に自分の部屋に自分以外の人を入れたくなかっただけです。

別にそういうミスリードを誘ってるわけでもないので記しときます。

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