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第十九話 10ヶ月経ちましたが

前回のあらすじ


パンうめえ。




今回は完全に説明回です。

台詞無し。

はいお久しぶり。

みんなのアイドル糸目チャンです。

S級パーティーが近くに来ると言ってちょっとビビってる糸目チャンです。


1124事件から大体10ヶ月経ったようだ。既に俺たちが定めた半年のラインを越えているが、いまだに本格的な調査は行われていない。ラッキーですね。

そのおかげで大分準備を進めることが出来ました。完全に軌道に乗っております。

11月下旬から10ヶ月ってことは、9月下旬って事だな。流石に半袖だと寒くなってきた。

ちなみに俺は一般よりも衣替えが一月ほど遅い。まあ衣替えがめんどいってだけなんだが。


さて、ではここ数ヶ月の事をおさらいしてみようか。


まずは、当初の方針に定めていた、「このダンジョンが安全で有益だと知らしめる」は大体完了している。

ギルドの本調査は行われていないが、どうやらこのダンジョンはDかE級程度だと思われているらしい。

~級ってのはつまり、そのクラスの冒険者パーティーなら問題なくある程度潜れるってものらしい。そしてC級から一人前と見なされるようで、このダンジョンは初心者用程度なんだと。

まあ上層は「ダンジョン保護」かけたスケルトンやゾンビやゴブリンのような雑魚モンスターしか居ないし、罠もかなり節約して設置しているから当然のことだ。

未だに中層に到達した奴は居ないからな。まあ冒険者たちの目標が踏破じゃないからだが。


安全ってのは説明したが、有益ってのはどうするのか。

そしてその有益って言うのがあまり俺たちの不利にならない物を選ぶべきだ。

多大なDPを支払って、身を切ってまで益をもたらす必要はない。

さらに、冒険者をあまり強くしてはいけない。踏破される可能性が高くなるからな。

そこで、俺は日本で物価が高騰するであろう、麦をはじめとした穀物や牛乳(マッドカウ産)を宝箱に入れることにした。

これらの物は日本人から見ても異世界人から見ても、喉から手がでるほど欲しいものだ。

日本人的には、冷たいビールやラーメンなどを食べたいだろうし、異世界人は懐かしのパンを食べたいだろう。

ただの穀物と侮る無かれ。現在の日本では、これらは嗜好品も同然なのだ。

かつての香辛料ほどではないが、彼らからみればお宝同然の物なのだ。

おかげで外には冒険者達がたむろしているしな。良い傾向だ。

しかしパン仙人ってだれだよ。


もちろんこれらの穀物類は、ダンジョンの下層にある畑部屋と俺たちが呼んでいる部屋で取られたものだ。

オプションの畑を使えば、ほとんど対価無しに、大量の穀物を入手する事ができる。


宝箱からは季節に関係なく、恒常的に穀物類が手に入る。

しかも一階層はクローバー型にしており、一つ一つの(エリア)で取れる物が違うという構造だ。欲しい時にほしい物のエリアに行けばほしい物が手に入る寸法。

なかなかの親切設計だろう?

一階層でも、その潜った冒険者の分を賄うには十分な量が手にはいる。そして下に下りるほど取れる量は多くなっていき、販売などを目的としてもまかなえる量が取れるようになっている。

オプションの麦畑やらも、収穫する度に微小なDPが必要となる。しかし、宝箱の解錠方法が「少しの魔力を流すこと」であり、魔法と同等の扱いとなって流された魔力がDPに還元される仕組みになっているので、結果からみれば黒字である。

中に入れる物があれば、宝箱の設置にDPは必要ないんだよな。不思議だ。

しかも、ダンジョンの支配領域を上空にも増やし、超極薄の部屋を地表に作っている。

おかげでダンジョンの周囲五キロくらいに、ほんのわずかな段差がある。

そして地表でたむろしている冒険者達からDPを手に入れられるという寸法だ。ウハウハである。


鉄という物は異世界にもあったようで、試してはいないが、鉄鉱石を壁に押しつけてオプションとして追加すれば、鉱山みたいになると思う。無限に取れるという夢のような鉱山だ。

鉄以外にも、ミスリルやらアダマンタイト、オリハルコンなどのファンタジー鉱山も作ろうと思えば作れる。

鉄も輸入できないから日本には不足しているだろう。これを美味く使えば、今以上に利益を供給する事ができるかもしれない。

しかし俺はあえてその選択肢は取らなかった。

先ほども述べたように、冒険者を強くしてはいけないのだ。

鉄鉱石の供給は武器の増産に繋がりかねない。しかも鉄は鋳つぶせば再利用可能という厄介な代物だ。

他のファンタジー鉱石も同じ理由だ。

そして鉄鉱石なんてあっても、ダンジョンの益にはならない。

ぶっちゃけ、鉄インゴットなどの作り方がわからん。鍛冶なんてもってのほかだ。

使い道のない鉱山など作る意味はない。


その点、麦などの穀物は直接的に冒険者を強くすることはない。

筋力増強と言った特殊効果もないしな。非常に上品質にはしているが。

そして穀物は消耗品だ。絶対量を増やすわけではない。

しかも恒常的に生産できるとは言え、日本全体の食料と比べれば微々たる物だ。いや頑張れば半分くらいは行くかもしれんが。

すくなくとも、この穀物で国を豊かにして、兵力を増強させる事も無いはずだ。


……なんか考え方が、人間の敵になってきたな。

まああながち間違ってもいないが。


ちなみに牛乳に関してだが、ついにレッドボアに加えてマッドカウも飼育するようになった。

近くの川で水浴びをしていたところを捕らえてきたのだ。

水牛っぼいと思っていたのだが、肉や乳の味は牛と変わらない。というかめっちゃ美味い。御馳走様です。

一頭で乳用牛と肉用牛を兼ねるとかどういうこと。


まあただのチート無しの畜産なので、無限に搾取できる訳ではない。

故に牛乳エリアは他のエリアよりも宝箱が少ない。

あ、宝箱に直で入れている訳じゃないぞ。流石に瓶に詰める程度の事はしている。

しかし、この瓶の生産方法が未だに俺の複製魔法(コピー)しかないのが難点だ。


畑の収穫は、コア作成のロボゴーレムがやっている。

人型やら四輪やらキャタピラやら、様々な種類ができている。

初期の方にコアが操れる、ロボ開発用のアーム型ロボゴーレムを作ってからは、コアが操作してロボを作っている。

ああ、よかった。ダンジョンの中で延々とロボットを作る羽目にならなくて良かった。

まあ部品の作成(複製(コピー))やらは未だに俺の仕事だがな。

ロボットは完成品を一体作れば、いくらでも俺が複製(コピー)できるので、大量生産は容易だ。

これだけのロボットをコアのスペックで操作するのは困難だ。

しかしディスプレイとキーボードを除いたコンピューターを、俺がいくつか複製(コピー)すると、コアが魔物化やら眷属化やら回路の結合やらを施して、ちょっとしたスーパーコンピューターになった。

おまえ何者だよ。

おかげでコアルームや下層はほとんどがロボゴーレムに埋め尽くされている。

あれ?ファンタジーだよな?

ぱっと見SFにしか見えないんだが?



あ、そうそう。

ついに予定していた下層まで作ることができたんだよな。

上層で餌をまき、釣る。

中層で強者をふるいにかける。

下層で本気で迎え撃つ。

故に中層は常識の範囲内で、簡単にクリアできないようにした。

下層はかなり本気だ。

そしてこれから最下層、最終防衛ラインの作成に取りかかる。

これはかなりDPと時間を要するので、完成は一年後くらいだろうか。

まあ下層もかなり自重無しでつくったので、ほとんどの冒険者はたどり着けないはずだ。


まああくまで予測でしかないが。

S級冒険者がどれほど強いのか分からないから、もしかしたら簡単に突破されるかもしれない。

コアの知識は100年前のものだし、ルドルフの知識は一端の冒険者の意見でしかない。

俺自身、大量のレベルアップでかなり強くなったとは思うが、他のS級と比べれば大したこと無いのかもしれない。

彼らだってレベルアップしているはずだしな。

しかも最近はスライムの経験値増加装置が効かなくなってきた。

スライム達もかなりレベルアップさせた状態なのだが、もう1ヶ月ほどレベルアップの音を聞いていない。

これ以上スライムをレベルアップさせるわけにもいかない。

なぜなら、これ以上強くすると、罠の針では一撃で死ななくなってくるのだ。

故にレベルアップは頭打ちだ。


外の強さの基準がわからない以上、自身の強さにおごってはならない。

そして安全策は、より強くなることに他ならない。

俺に圧倒的に足りないのは戦闘訓練だ。特に対人戦の経験が圧倒的に足りない。

ステータスが高い人間が、達人の業に敗れるなんてのは良くある展開だ。それはなんとしても防がなくてはならない。

だからといって、訪ねてきた冒険者に戦いを挑むなんて事は出来ない。

外に師匠を作るなんてのはもってのほかだ。

そこで、コアのロボゴーレムを使うことにした。

ダンジョンに挑んできた冒険者の戦い方、体裁き、動き方を、コアが分析し、その未熟さをより効率化して補正、データ化してロボゴーレムにインプットする。

そのロボゴーレムと戦うことで、模擬対人戦を経験しようという計画だ。

コアが解析して効率化したことで、もはや達人の動きとなっているロボゴーレムと対戦するのはかなり難しい。

やはり技術は必要だと身にしみて感じた。

といっても、俺のそのままのステータスだと、ワンパンでロボゴーレムどころかダンジョンが半壊するので、自身に「ダンジョン保護」をかけて、ステータスを十分の一にまで制限して戦っている。

やっているのは剣術、体術、弓矢、盾、触手と、多岐にわたっている。

これが戦闘訓練として、日課になりつつある。

技術に対応するコツも、自身の技術も上がってきて、強くなっていることを実感しているところだ。

コアが俺の動きも解析して、アドバイスしてくれるのも助かる。


そろそろ魔法を使いたいところだが、何度宝箱を引いていても杖などの媒介魔道具が出てこない。

一回調子に乗って、最上級の宝箱を開けたのだが、スコップだったのは軽いトラウマだ。しかし、結構有用な特殊効果があって、後悔はしていないがな。

でもどうせなら聖剣とか、魔剣とか、そういうのが良かった。

スコップは対人戦や、体格が近いモンスターには有効だが、体の大きい魔物には効果が薄い。

重さで叩き切る、大剣の方が使えるだろう。

俺の無駄に強い筋力を生かすためにも、だんだんスコップでは心許なくなってきた。

最上級のスコップも、凄い強度があるとか、でかいとか、切れ味がやばいとかそう言うことではなかったからな。

まあ触手に持たせることを考えると、剣より槍とかシャベルのような柄が長い物の方が良いのだが。掴みやすいから。


あれ?なんか働くことと戦うことしかしてなくないか?

ヒキニートってなんだっけ。



人知れず、人類最強が人外の道をつきすすんでいる。

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