第七話 これからの方針
昨日で一日のPVが1000を突破しました。累計PVも3000突破。読者のみなさまのお陰です。ですます。
第一章の本編はこれで終わりかな?多分。
ふははははは!ついに俺様はチート能力を手に入れたぞ!!
厳密にはチートでは無かろうが、人外の力を手に入れただけでテンションあがるぜ!
『マスター、本当に、その能力で良いんですか?』
「当たり前だ。他に候補がない。一つ一つ言ってやろうか?
まず、ステータスアップ系、戦力増加系は要らない。俺が戦う状況になった時点で、このダンジョンは詰んだも同然だからだ。
鑑定は、ダンジョン内なら俺はすでに鑑定できる。俺はこのダンジョンからでる気はないから、メリットが少ない。マップも同様だ。コアがダンジョン内のマップを出せるんだからな。
遠視とか、千里眼は迷ったが、ダンジョン外の情報ならコアがインターネットで手に入れられる。他にも………」
『も、もういいです!それよりも、能力を試すんじゃなかったんですか?』
「お、そうだったそうだった。」
俺は机に置いてあった鉛筆を右手に持つ。
能力を使うと、体の魔力が抜かれる感覚があった。
ふむ。この能力はMPを消費するようだ。
能力の発動は一瞬だった。
そして俺は、右手と左手に同じ鉛筆を持っていた。
『うーん、やっぱり地味です。』
「いやこれ結構強力な能力だぞ?」
そう、俺の得た能力は、「複製魔法」だ。
手で持った物を、魔力を使って複製することができる。
実はリストにあった創造魔法という能力と迷ったのだが、創造魔法は燃費が悪そうなので、諦めた。
複製物はもう片方の手に現れる。ハ◯ター×ハ◯ターのギャラ◯ーフェイクっぽい能力だが、右か左という制限はない。
ふむ、複製した物は、解除できないようだ。
つまり、魔力で構成された偽物というわけではなく、完全に複製された物質であるということ。
(ステータス)
Lv.7 糸目 隆司 人間
称号 ダンジョンマスター
HP 77/77
MP 89/91
能力 「複製魔法」
お、能力なんて欄が追加されている。
つか消費MPたったの2かよ!燃費良すぎだろ!
まじでチート能力だぞこれ。良い買い物をした。
『あまりすごい能力には見えないのですが…』
「何を言う!この能力があれば、現在最大の問題を解決できるのだ!」
『最大の問題、ですか?』
「そうだ。」
そう、現状で最大の問題とは!
「食糧難だ!」
『さいですか。』
「お前はパソコンだから分からないかも知れないがな、人間の空腹とはまさしく死活問題なのだ。今までは食材を狩りにいくしか手立てがない状況だったが、これで魔力さえ消費すれば自産できるようになったんだ!」
『へぇ。』
「あと、死体を無限に生産できるから、今まで数が限られていたアンデット以外のモンスターも大量に召喚できるようになった。」
『それはすごいですね!!でも理由の優先度が前後逆だと思います!』
さて、能力の実験に戻ろうか。
まず、生物をコピーできるかどうか。まあお約束として、生きている物はできないと思うが。
ゴブリンを近くに招いて、右手でゴブリンに触れる。
能力、発動。
む、発動したにはしたが、必要魔力が多いか?足りないことはないと思うんだが……
「む?」
『あれ?』
なんか、どこか別のところから魔力が流入した気がする。
能力は発動した。左手にはゴブリンの死体がある。魂までは複製できないということか。
しかしそれよりも、
「コア、何が起こったか分かるか?」
『ど、どうやら、DPが消費されたみたいです……。』
な、なんだと……。
つまり、DPで俺の魔力を代替できるということか?
唯一の欠点だと思っていた、俺の魔力の不足による複製の限界が、消えたも同然だ。
ゴブリンの死体はどうやら15DP(MP)かかるようだ。まあ、かなり少ないな。
これは実に良い買い物をした。ぶっちゃけ賭けだったが、予想以上の収穫を得られたな。
「さて、コア。一通り、今出来るダンジョンの実験は終了した。それで、実際にダンジョンを作って行くに当たって、大まかな構想を練ろうと思う。」
『今の所、ダンジョンというか、ただの便利な家ですからね。』
「うるさいな。」
たしかに、自室に寝室、解体部屋にキッチンダイニングと、全くダンジョンっぽくは無いが、それも全て実験の為なのだ。
「まず、前提条件となる目標だが、『半年以内にまともなダンジョンを作る』でいいな。」
『問題有りません。』
そう。逆に言えば、半年は準備期間があるということ。
この半年というのは、コアと考えた、最短の準備期間だ。
現在、日本は様々な問題に直面し、滅亡の危機に瀕している。
そんな混乱している状況で、迷宮攻略なんぞ起こるかって話だ。
あらゆる問題が解決し、組織がまとめられ、このダンジョンが見つかり、捜索隊が出されるまでは、およそ1、2年かかると予想される。
そして、そこそこの強さを持つ冒険者などの攻略者が現れるまで、かなり短く見積もって、「半年」だ。
この半年の間に、攻略者を返り討ちに出来る戦力を整える。これが目標ってことだ。
無論、滅亡の瀬戸際ってことは、その半年の間に日本政府が崩壊し、群雄割拠の時代になる可能性もあるが、そのときはそのときで結果オーライだ。
「そこで、一階層の構想を練るわけだが、なるべく簡単に、広くしたい。」
『簡単に…ですか。』
「ああ。将来的に、強力な猛者共がチームを組んで、攻略に向かってきたらたまらない。そのために、このダンジョンが無害であり、有益であることをアピールしなければならないんだ。」
まあ、ダンジョン作成の基本だわな。上層は餌にする。
このダンジョンが人類にとって安全で有益であることを示せれば、大規模な討伐隊がくまれて攻略されるなんて事が無くなるわけだ。
迷宮都市なんか出来たら、勝ち組である。
まあ日本でそんなものが出来るとは思わないが。
ちなみに、何故防衛より先に上層のことを考えているかって言うと、ひとえにこのダンジョン作成の融通の利かなさにある。
一度階層を作ってしまうと、それを動かせないのだ。
例えば、防衛を中心とした強力なダンジョンを、一階層に作ったとする。
そして作った後に、簡単な階層を上層に作りたいと思っても、先に作った防衛ダンジョンを一階層から動かせないのだ。
というか、動かせはするが、大量のDPが要ると言っても良い。
コアルーム以外の部屋は、距離と量に比例してDPが掛かってしまうのだ。
なら全部コアルームにしてしまえばいいかというと、そうも行かない。
コアルームの拡張は、もともとのコアルームに接する部屋しか増やせないという条件があるのだ。
可動式のダンジョンもあったりする。
これは道順を変えたり、部屋を交換したりが自由に出来るのだが、もともと可動式ダンジョンとして作らなければ、動かないのだ。
エレベーターと部屋は、設計段階で根本から違うだろ?作ってしまった普通のダンジョンを、可動式に変更することはできない。
しかも可動式ダンジョンは作成に割とDPが必要なのである。
『しかし、有益というのはどうするんでしょう。相応な宝箱や、魔石などは、多量のDPを消費してしまいますが……』
「その辺は一応考えている。それに関する行動は、なるべく早い方がいいな。……まあ本格的に動くのは、攻略者が来てからになると思うが。」
ぶっちゃけどれくらい物を与えれば満足するか、相場を知らんからね。その辺の情報収集は、コアに任せよう。
ちなみに、魔石というのは魔物の心臓部に当たる、魔力を持った石らしい。
異世界では、物によっては高額になるとか。この日本でも同じことが起こるかね?
「まあその下の階層は、一階層が出来てから考えようか。」
『分かりました。』
「じゃあ次に、俺からの提案なんだが、レッドボアを家畜にしたい。そして増殖させたい。」
これはDP獲得のための一手だ。数頭のレッドボアを飼うことで、大量のDPを恒常的に得られる。
「とりあえずつがいが一対あれば、俺の複製魔法と死体からの魔物召喚の合わせ技で、ある程度の数までは増殖可能だ。」
『……今ご主人様の能力の有用性に気づきました。』
「おうよ。まあエサも要るから、行き当たりばったりだけどな。栽培できればいいんだが…」
「ダンジョン保護」を受けていない魔物はエサが必要だ。魔力、DPを注ぐことで代用も出来る。
今んところゴブリンにはレッドボアの肉を食べさせてる。
子レッドボアはその辺の草を。雑とか言うな。俺だってまともな食事をとってないし、しょうがないんだ。
『ダンジョン内のオプションに、疑似太陽なるものが有りますよ?』
「まじか?」
おお。それならダンジョン内で栽培も可能かもしれない。ダンジョン内だけで自給自足も夢じゃないな。
「よし、じゃあレッドボアの飼育と、穀物の栽培を、当面の目標に追加しよう。」
『了解です。』
さあ、今のうちにダンジョン作成だ!!
今回のあらすじ
チート能力得たぜヒャッハア!
これからの方針を固めたぜ。
次回予告
とりあえずレッドボアを増やしてみたが、人口密度がえらいことになった。
というかなんだか息苦しい…
もしかして酸素が足りないんじゃないのか!?
く、くるしい
次回!「糸目、死す。」お楽しみに!