オラに元気を分けてくれ!!
雪山遭難十日目
食料はとっくに無い。
体力も限界だ。
突然。
必死な声。
緊迫した空気。
意識を失う寸前そんな幻聴で目覚める。
あのままだと逝っていた。
救われた。
だが長くはもたない。
幻聴がやまないのだ。
死の間際、もうすぐ生まれる我が子の名を考える。
男の子ならーー
「お、おめえからは貰えねえよお」
それきり声は消え、少ししてヘリの音が。
救助だ。
助かった。
また声がした。
「勝ったぞ。みんなありがとな」
私も心で礼を言った。
考えていた子供の名前は
男の子なら[悟]
女の子なら[空]