「けどこのおっさんがここに居るってことは、殿下、けっこういろいろ分かったんじゃないのかい?」
「察しがいいな、そのとおりだ」
シーモアの問いに、殿下がにやりと笑った。
「早々に逃げ出してきたから、核心には届かなかったが。だが取っ掛かりは、おかげで掴めた。今公安に、情報を元に洗い出しをさせているところだ」
どうやらこのおじさんのおかげで、過激派の実像がだいぶ浮かび上がってきたらしい。
「じゃ、あのニセ学校なんかも?」
「ああ」
あたしたちがいちばん気になってたことも、表沙汰になったみたいだ。
「勉強をしたいというのに付け込んで、ムリに借金を負わせてなど、やり口がどう見ても詐欺だからな。その線で攻めている」
「ずいぶんいろいろ、一気に動いたね。少しは良くなりそうじゃないか」
言われて殿下も嬉しそうだ。
「まぁ、すぐにそう大きくは変わらんだろうがな。それでも何もしないよりは、ずっといいだろう」
そこで一回切って、殿下が笑って言う。
「ところで続きは、食事をしながらでもどうだ? 舞踏会とまでは行かないが、ささやかな晩餐は用意してみたんだが」
「もちろん!」
みんなの声が重なった。
「うっわ、すっごーい!」
「綺麗だね、思った以上だよ」
夜の空に声が響く。
あたしたちが今いるのは、アヴァンシティの上空だ。
竜に乗る乗らないの話は、意外な経路で実現した。話を察した殿下の老竜が、仲間を呼んでおいてくれたのだ。
これなら二人づつくらい乗れば全員飛べるから、帰る前にみんなで夜景でも見てみよう、ってことになった。
巨鳥は夜は飛べないから、空から夜景を見るなんて、きっと二度とないだろう。それに夜空なら、姿を見られたってどこの誰かまでは分からない。
眼下にシティが広がる。
世界でも屈指と言われる大都市は、窓や街灯の明かりで闇に浮かび上がって、とても幻想的だった。
――それこそ、幻みたいに。
不思議だな、と思う。
国も権力も国境も法律も、実体を持たない虚像みたいなものだ。なのに厳然としてあって、みんなにいろんな形で影響を与えてる。
その一方で、窓の明かりは現実だ。あのひとつひとつに、人の姿がある。
「あたしたち、何を見て何を分かってるのかな……」
「さぁな。つかきっと、永遠にわかんねぇだろ」
一緒に乗ってるイマドから、そんな答えが返ってくる。
「けどよ、必死に知ろうとしてりゃ、なんか見えてくんじゃねーか?」
「そだね」
けっきょく、そのつどひたすら悩んで考えるしか、ないんだろう。
竜が旋回して、高度を落としていく。
この窓の光が、消えませんように。そんなことを思いながら、あたしも屋敷へと戻った。
◇あとがき◇
いつも読んでくださって、ありがとうございます♪
なんとか完結しました……☆ 11月末からいろいろ修羅場で、しんどかったです。でもおかげで、書くのは少し早くなったかな?(笑)
明日からまた、新連載になります。よかったらお付き合いください♪
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